1.《ネタバレ》 舞台となるバナナ島は、太陽の光降り注ぐ南の楽園。バナナ栽培が盛んなバナナ天国。ところが、ふとしたキッカケで良好なバナナ育成環境に変化が起こってしまいます。枯れる木々。朽ち落ちるバナナ。それでもパーナ姫に危機感はありません。ここはバナナ島。バナナが採れて当然だわ。彼女の姿は、まるで苦労知らずの三代目社長、あるいは努力せずとも結果が付いてくる天才アスリートのようでした。資産は守り育てなければいずれ底を尽きますし、折角の才能も磨かなければ錆ついてしまいます。今回バナナ島を襲った悪夢は、パーナ姫に“労力を払わずして手に入るものなどない”という貴重な教訓となったようです。未熟なゲスト(主人公)がアンパンマンとの出会い、困難を乗り越え成長を果たすのは、近年の劇場版定番のテーマ。ただし、今回はアンパンマン以上に、ばいきんまんの優しさがパーナを救った気がします。負ける痛みを誰よりも知るばいきんまんだから、彼女の弱った心に寄り添えたのかもしれません。ちょっとグッと来てしまいました。何故コオリオニが現れたの?どうしてコオリオニを倒せたの?整合性や論理性を求めると物語の主旨を見失うのが、アンパンマンワールドの落とし穴。“分からない”から駄目なのではなく、“分からないことを楽しむ”心の余裕が、アンパンマン観賞では必要と思われます。完熟バナナのように甘めの採点ですがご容赦を。