10.《ネタバレ》 この映画でやはり小津さんってコメディが下地にあるんだなぁと感心させられた。カンニングのシーンは、チャップリンを思わせる。でも落第してからの、人情劇がじ~んと来るよね。上手いなぁとしみじみ思う。子役の使い方とかね。田中絹代がこんなに愛らしかったなんて知らなかった。可笑しかったのは卒業組が就職決まらず、早く卒業すんじゃなかったなんて言うシーン。大隈講堂がば~んと下宿の前にあってね。何でも現存する早稲田大学の最古の映像とか・・。字幕の字体がお洒落なんだけど、ちょっと読みづらくて、2回観ました。でも何回観ても良い。無駄なエピソードは一つもなく、こんな短編で面白い映画がいっぱいあればなぁと思う。2時間が長く感じる映画が多いものね。 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2016-10-30 23:39:12) |
9.《ネタバレ》 斎藤達雄の長い手足のコミカルな身振りが印象的である!小道具の数々がきわめて豊かな表情をみせる、いちいち挙げる必要もない、もうなにもいうまい、最高傑作だ。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 10点(2012-11-28 22:01:40) |
8.《ネタバレ》 これはギャグの豊富さでは、現存する小津作品の中でも一二を争う。試験場のカンニングをめぐる連発の密度の高さといったらない。四番を教えて、の合図が飛び交う感じ。教授の背中のカンニングペーパーを取り損なって、腕時計に耳を当てるリズム。あるいは下宿の仲間たちのワイワイやってる内輪の雰囲気。それらを通して「腐る」感情と「意気揚々」とした感情が交錯する(泣いてた突貫小僧がサンドイッチもらうと手をピンと伸ばして意気揚々と退出なんてのもあった)。小津のサイレント期のシナリオを読むと、失われた作品も含めて「腐る」というトガキがやたら目に付く(しばしば斎藤達雄の役どころで)。そうなのだ、小津作品とは「主人公が腐る」ドラマなのだ。意気揚々としたい学生生活・サラリーマン生活が、なんらかの障害に遭い、腐らざるを得なくなる。不機嫌を抱えたまま誰かに甘えかかって解消しようとし、活動が停滞する。それをスラプスティックな笑いに持っていってしまうところが小津の天才。止められた大きな動きは、小さな無意識の動作となって現われてくる。本作では、机にのせた足のリズム、角砂糖を放り上げて口でキャッチする遊び、などなどに。そして卒業したほうが「腐り」、落第したほうが「意気揚々」とすることになる。それだって問題が解消されたわけでなく、単なる延期ってところが苦い。純粋にコメディとしても傑作だが、時代の記録としても優れた作品。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-05-31 12:04:32) |
7.久しぶりの小津映画!小津監督によるサイレント映画はまるでチャップリンやキートンの映画を見ているような動き、無駄な台詞を極力避けて、俳優の動きだけで解らせる。この場合だとあの教室でのやり取り、カンニングしようとしては失敗する姿が何とも笑える。全体的にやや、しんみりした感じではあるが喜劇としてはなかなか面白い。みんながみんな同じ動きをしている姿などサイレント映画ならではの見事な動きだし、小津監督はやはり喜劇の監督さんなんだなあ!見ていてそう感じた。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2008-01-12 20:38:26) |
6.この頃の田中絹代は可憐で可愛らしいですね! 落第しても、あんなコに支えられていたならば報われると思います。 前半は面白くなかったですが、後半になるにつれ面白さが増しました。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2007-10-20 10:24:05) |
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5.《ネタバレ》 小津監督と言えば、戦後、その文体において、もっとも「非ハリウッド的」と世界に認知されている巨匠であることは周知の事実でしょう。ところが、この映画でみられる、パンを注文する影絵のシーケンスや、学生が並んで腕組みをしながらグルリとおどけてみせるダンスなど、いわばパントマイム的な表現技法の数々は、まさに当時のハリウッド喜劇そのものです。当時、小津監督ほど明確にハリウッドから影響を受けた監督は他にはいないのではないでしょうか。つまり、小津監督は最もハリウッドから影響を受けた監督であるにも関わらず、最も「非ハリウッド的」な監督でもあるのです。このあたりの議論は尽きることがなく、とても興味深いものがあるのですが、ここで僕が重要だと思うのは、むしろ、戦前、戦後を通じて小津作品に共通しているもの、つまり、その一貫性を探ることにあると思うのです。本作における、一人だけ落第した学生とその横で就職難に苦しむ及第生たち。どの道困難な世相を反映したこれらのプロットは決して明るいものではありません。しかし、これらの現実をねじ曲げず、直視する眼差し。そして、最も重要なのはその現実を受け入れる「包容力」がしっかりとフィルムに刻み込まれていることです。娘の結婚や自立していく息子との別れ、それによる必然的な家族の崩壊。戦後の作品においても、一貫して描かれているのは、これらの必然的な現実を受け入れる「包容力」に他なりません。決して「悲壮感」では無いのです。文体は戦前、戦後で違えども、本作のような戦前の作品が、戦後の名作群の土台となっていることは間違いないでしょう。何事も受け入れていくという、この「包容力」は、僕の体内で優しさにもなり、癒しにもなり、勇気や活力に昇華され、大きな前進力に繋がっていきます。こうゆう映画を創作出来る小津監督は、映画のみならず、その人生を「楽しむ」達人であったろうと思います。何度でも観たくなる映画の一つです。 【スロウボート】さん 8点(2005-01-19 22:57:35) (良:2票) |
4.パンが分かるまでに3度も掛かってしまった・・・学生時代、私もカンニングテクニックは磨きましたョ。六法持込可の科目のために六法に小さな字で隙間なく書き込みをしましたョ。「大学はでたけれど」同様、進むも地獄、止まるも地獄、今の学生も変わらないだろうけど大変ですね。バブル世代の超売り手市場だった私より今の学生さんの方が共鳴できるかな。 【亜流派 十五郎】さん 6点(2005-01-07 18:55:56) |
3.学生の頃よく古株の先生が「昔に比べて今の学生は・・・」なーんて言ってたけど、大して変わんないじゃん!少なくとも僕はカンニングはしなかったぞ(代返はしたけどね)。当時の大学生の姿が生き生きと描かれていて楽しい一編です。レコードをルーレットの代りにしたり、影絵で「パン」の字を出したり。これもまた、戦前の姿なり。 【ぐるぐる】さん 7点(2004-01-07 20:22:45) |
2.なんか今と昔はあんまりかわんないなぁと思った。田中絹代さんいいです。カンニングしまくる学生おもしろいです。ただちょっと中盤退屈で眠くなりました。見事に学ラン、学帽着てるのは時代を感じます。 【バカ王子】さん 7点(2004-01-07 01:59:11) |
★1.落第した斎藤達雄の哀愁の中の笑いが良かった。一見べたべたに見えるカンニングのシーンなど、当時としてはかなりの画なんだと思う。田中絹代が実にいい雰囲気を出していた。 【スルフィスタ】さん 8点(2004-01-06 18:49:02) |