68.《ネタバレ》 シリーズ三作目はいよいよ本題の“広島抗争”が始まるわけですが、本作はいわば『広島抗争・前編』といった位置づけです。内容はもう“ヤクザ版国際政治(東アジアの某半島)”といった趣で、中世ビザンツ帝国の歴史を思い出させるような権謀術数の世界です。山守義雄=金子信雄をスケールダウンしたような打本昇=加藤武の登場で、ますますヤクザの屑っぷりが濃厚に描かれるようになってきました。前作から引き続き登場の成田三樹夫や山城新伍も、裏では卑怯な振る舞いをする凡人にキャラ変しています。原作者がモデルなだけに精一杯カッコよくしている広能昌三=菅原文太も、保身のために神戸の大組織と繋がって駆け引きに余念がなく、まあ地方都市の弱小組織のボスだからしょうがないといっちゃあ身も蓋もないですけどね。この広能昌三というキャラの最大の弱点は、山守義雄の子分になったり打本昇と兄弟分関係になっていたりとどう考えても人を見る眼がなくあとでそのことを後悔する愚を重ねるところでしょう。田舎のことですから、他に選択肢がなかったのかな。そう考えると、途中から若頭になって存在感を出してくる武田明=小林旭が本作ではいちばんおいしいキャラだったと言えるでしょう。もちろんいちばん酷いキャラは“手首切り落とし男”=川谷拓三で、舎弟の渡瀬恒彦をチクって殺させて自分は東京に逃げるというのはあんまりだ。でも、この渡瀬を同じ元教え子ということで就職の世話するみたいに文太の組に入れさせる教師と、まるで息子を奉公に出すようにしか感じていない母親も、かなりのクソですよ。こういうクズみたいな人間が沢山観れるのは、ある意味このシリーズの魅力かもしれません。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-02-03 20:10:39) (良:1票) |
67.《ネタバレ》 冷戦下、世界のあちこちで勃発した戦争は、大国間のいわば代理戦争だった。一方、日本のヤクザ社会もまた、そういう代理戦争の様相を呈していた、というのがタイトルの由来ですが、どうでしょうね、そんなに「代理戦争」感は強くない、ってか、もともとこのシリーズ自体が、消耗品としての男の生き様を描いてて、むしろシリーズの世界観そのまんま、という気も。 代理戦争、というよりは、心理戦。吹き荒れる暴力の背景には、裏切り、謀略が渦巻いている。上は金子信雄から、下は(一見何も考えてい無さそうな)川谷拓三まで、とかく要らん策略を張り巡らせては、事態を悪化させ、その結局犠牲になるのは、渡瀬恒彦のような若者。ただ死んでいく者が多い中で、渡瀬恒彦演じる若者は、母との関係が作中に織り込まれ、息子を失った母親の哀しみをこれでもかと描く。こういう、殺伐とした映画にウェットな情を絡めてくるのが、深作監督らしいところ、と言えましょうか。 危険なニオイをプンプンさせる菅原文太ほか、コワモテ俳優がずらりと並ぶ中(眉毛が無いとは言え梅宮辰夫の顔が、コワモテに分類されるのかは正直よくわからんが)、スター・小林旭がそこに顔を並べているのが、ちょっと異彩を放っています。正直、東映に来てもこういう「非・スター映画」の中に放り込まれてしまうのでは、もったいない起用、という気がしなくもないのですが、確かに作中で独特の雰囲気は醸し出しています。 ラストは、まさにここから、という場面でオシマイ。イジワル。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2021-01-02 07:13:48) |
66.《ネタバレ》 シリーズ3作目ですが面白さは健在。 これまでの作品との違いは組織対組織の裏切りのドロドロさ。 味方だったものが敵になり誰も信用できない、誰に殺されてもおかしくない緊張感がある。 これ実話を元にしてるらしいけどどこまでが真実でどこまでが虚構なんだろうか。 原作者はこれは真実であると言っているようだけど 結構事実なんじゃないかと思っています。 【Dry-man】さん [インターネット(邦画)] 6点(2020-05-24 03:17:06) |
65.《ネタバレ》 何も解決せずに終わるのが気持ち悪い。成田三樹夫良い。小林旭はちょっと役に比べて顔が幼な過ぎるかな。菅原文太は他の役者では考えられない存在感。良い演技とはこういうことを言うのだろう。 【なす】さん [インターネット(邦画)] 7点(2019-02-16 16:21:32) |
64.《ネタバレ》 シリーズ最高傑作の名に相応しいヤクザ社会における厳しさ、掟が見事に描かれている。金子信雄の嘘泣き、そんな小池信雄に対して許しを得ようと、ゴマをする田中邦衛のセコさ、このシリーズ初登場となる二人、小林旭、加藤武の人間的魅力、他にも渡瀬恒彦、成田三樹夫格好良さ、そして、前作では脇役的形に回った菅原文太が再び主役級としての格好良さを見せてくれる。相変わらず出てくる面子の顔触れ、熱い演技、このシリーズを見てしまったら他のヤクザ映画などアホらしくて見ていられなくなるぐらいの画面から伝わってくるエネルギー、代理戦争の名の通り、ヤクザ同士の組と組の戦いが見られる凄い映画だ。 【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2019-01-09 19:18:43) |
63.《ネタバレ》 仁義シリーズは、これが最高。切った張ったは少ないが、陰謀一杯のどきどきする映画。成田・丹波も良し。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 8点(2019-01-09 15:31:37) |
62.昔からテレビでは、仁義シリーズのどれか判らないが観たことは何度かあって、今回この“代理戦争”を初レンタル。結論から言うと、組織が多すぎて、最後まで良く解らなかった。成田三樹夫や丹波哲郎等、豪華キャストで好きな人もいっぱい出てただけに残念。やっぱ1弾から見なくちゃダメなのかな? 【SUPISUTA】さん [DVD(邦画)] 5点(2016-09-19 17:49:02) |
61.《ネタバレ》 ヤクザ抗争の活劇映画として、無駄な部分を省いて筋書きを追った映画。 カメラアングルや乱闘シーンは上手い、でも、ただそれだけ。 映画として観ると「ゴットファーザー」と比べることになるが、比べることは無理。 ドラマ性がない。 さあ、これから本番か・・というところで映画終了。TVドラマで先週までの粗筋を見ていて終わった感じ。 唯一、菅原文太の凄みだけは伝わった。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 4点(2016-05-28 22:19:21) |
60.《ネタバレ》 ドンパチとか肉弾戦もないことはないんだけど、本作で重要視されているのは「人事」と「儀式」。そこをしつこいくらい押さえているのが、逆に作品にリアリティをもたらしている。その中でも、喫茶店での密談のシーンが白眉(最初画面の端でうろちょろしていた渡瀬が、いつの間にかいなくなり、最後にすっと現れる美しさ、というオマケつき)。各登場人物の表と裏の行動が積み重なり、ここで爆発するだろう、というぎりぎりのところで、誰かの「顔」とか「仲立ち」で断念させられるくだりが再三登場するのも、かえって生々しい。 【Olias】さん [映画館(邦画)] 7点(2015-11-30 02:39:00) |
59.もともとヤクザものは好みでない上に、登場人物や組、勢力が数多く出てきてちんぷんかんぷんだった。盃やら義理などヤクザ社会の力学も分かるようでわからず、行動思考の優先順位が一般人には不明である。第1作から順番に観ていれば良かったのかも。ただ、今では大物となった俳優たちの若かりし頃の演技が観れたことは興味深かった。好み15/50、演出6/15、脚本8/15、演技7/10、技術5/10、合計41/100→4/10点 |
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58.山守といい打本といい、ヤクザ界のトップはどうして“外道”ばかりなんですかね。そうじゃないとドラマにならないのでしょうが、実社会の組織のトップはもう少しマシだと思います(団塊世代を除いて)。 ただし、アクの強い中高年幹部たちの私欲をめぐる争いにより、渡瀬のような若者が犠牲になるという構図は、当時のヤクザ界より今日の実社会のほうが過酷かも。そのへんの会社の世代間格差を映像化すれば、そのまま「現代版・仁義なき戦い」になりそうです。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 8点(2015-01-22 00:43:25) |
57.1、2作をすでに見ているせいで、初見の時の衝撃が今回はまったくない。 だいたい想定通りの内容とストーリー。あまりにも有名な映画であるがために、一度も見ていなくても音楽も内容も雰囲気も本やテレビなどでいつの間にか頭に入ってしまっている悲しさ。 その結果、まぁこんなものか、という感想になってしまう虚しさ。 |
56.《ネタバレ》 一番最初の「仁義なき戦い」は音楽の使い方がギャグとしか思えなかったが、2作目、3作目以降は音楽の使い方も死に様も漢たちの血生臭いドラマもどれをとっても切れ味しかなかった。 特に本作はシリーズの駆け引きと虚しさを噛み締められる一篇だ。群像劇としての面白さもより磨きが掛かる。 最初のダイジェストで前がどんなかおさらい、世界の代理戦争は、当然日本のヤクザ社会でも例外ではない。 今回の菅原文太の兄貴が味わう虚しさは、シリーズ随一。 小林旭の知性派というかインテリ的なキャラも喰えない野郎だ。 この世界、暴力だけじゃ食っていけないからねえ。 白昼堂々暗殺を仕掛けるヤクザの鉄砲弾ども、 相変わらず憎めない山村のおやっさん、 木刀から日本刀までブンブンうなる、 ビール瓶でも渇入れて~、 ちょっと可愛そうになってくるレスラーのおっさーん、 成り行きでヤクザになっちゃった倉元と母ちゃんのタバコの件が忘れられへん、 自重する気皆無な山守、 発炎筒もいきなりの強襲もビックリする時はビックリする人間臭いヤクザたち、 文太の兄貴だけ闘る気満々で空回り、 利用される女達の哀しみ、 停電の会合場面は妙に心に残る 、血で血を争うぐちゃぐちゃの殺し合い・・・。 クライマックスは何度見ても強烈だ。 文字通り粉微塵になってまで“殺され”続ける残酷さ。殺し屋たちも、時と場所は選べない。 砕け散った一片を、文太の兄貴が握り締め、打ち震えるシーン・・・! 原爆ドームが、戦後も広島を中心に繰り広げられる殺し合いを無言で嘆くかのように、物語を締めくくる。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-11-30 06:18:57) |
55.実に素晴らしい群像劇でした。シリーズ最高傑作に違いないでしょう。ギスギスしたヤクザの仲が今にも弾けそうな寸前であきちこ跳ねまわって、最後の最後に破裂する寸前で終わりました。面白すぎる!次作への期待感が高まると同時に、ちょっとかわいそうな気がしますね。こんなにおもしろい作品を超えなければいけないプレッシャーは大きかったでしょう。 【カニばさみ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2013-10-02 20:20:03) |
54.《ネタバレ》 このシリーズはレビューを書いてる現時点で3作目までしか見てませんが、この作品を超える事はもう無理でしょう。次の作品も評価点は高いようなので、かなり期待はしてますが今作がもう断トツにおもしろい!前作までのような銃撃シーンというのは殆ど見られませんが、各々のゲスいやり取りがおもしろくてしょうがない。キャラも魅力的で特に田中邦衛演じる槙原には大笑いさせてもらいましたよ。威勢よく啖呵切ったかと思いきや、襲撃する味方がいないと分かった時のあの慌てぶり、完全にコメディでしたね(笑)。前作までは出演時間も短かったためここまで魅力的なキャラクターだとは思いませんでした。抗争が激化するまでの繋ぎ目的な作品ですが、面白さは群を抜いていましたね。 【キリン】さん [DVD(字幕)] 10点(2013-05-05 23:23:03) |
★53.《ネタバレ》 誰と誰が仲良くて、仲悪いのか、把握する暇がないほど展開が早い。筋を通すことの重要さは一般人の理解を超えている。何で同じ組の中で、こうも仲違いになるのか(政治家も同じかw)。ラストはジーンとしたけど、終わらせ方が過去作に比べて今イチだ。 【VNTS】さん [インターネット(字幕)] 6点(2012-08-04 18:44:56) |
52.《ネタバレ》 ある団体にいた時、飲み会で先輩に勧められたので鑑賞しました。 ヤクザの抗争が凄みを持って描かれてました。 とても怖かったですが、たいへん男らしくて痺れるようなカッチョ良さもあります。 外国映画では味わえないような生々しい迫力がありました。 なんかリアルな感じでした。 レンタルコーナーにある任侠映画コーナーには近づけませんでしたが、 そのイメージが少しだけぬぐえました。 あと、テレビで誰か偉そうな人が怒ったらすぐに”仁義なき戦い”の音楽を流すのやめてください。 怖そうな人がたくさん出てくるので自分には合いませんが、 圧倒的な迫力と男らしさが感じられる映画だったと思います。 自分は耳が少し遠いのですが、 言葉がカッコイイのですが聞き取りずらいとこもありました。 【ゴシックヘッド】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-03-20 02:14:03) |
51.《ネタバレ》 今回もまた豪華キャストでしたねぇ。シナリオもあっちいったりこっちいったり。微妙な状況の変化であぁも立場が変わるもんですかねぇ(笑)まぁそれこそがこの作品の脚本の妙と言えるんでしょうけど!梅宮辰夫さん別役で再登板、これならこの映画、永遠に続けられますね!! 【ろにまさ】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-03-10 17:14:38) |
50.菅原文太をメインに戻して、仁義なき戦いを繰り広げる第3弾。 登場メンバーたちの様々な思惑が絡み合うシナリオは、1作目に劣らず面白いのだが、 途中でぶったぎり、完全続き物ということで、これではストーリーの点数はつけられない。 「エイリアン」や「ターミネーター」等の大ヒットシリーズでも、 ワンエピソードをしっかり完結させていることを考えると、ちょっとね・・・。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 3点(2011-09-20 17:51:11) |
49.《ネタバレ》 シリーズ第3作。今回は前2作ほどの派手さはないが、その分、組同士の駆け引きの面白さがあり、見ていてだんだん引き込まれていった。下にも書かれている方がおられるが、笠原和夫の脚本は実に見事で、今にも全面抗争が起きそうな中でのやりとりは緊迫感があり、飽きさせない。深作欣二監督の演出も1作目や2作目のようなエネルギッシュなパワフルさよりもこの男たちの駆け引きのドラマををじっくり描くことに重点を置いており、脚本と演出がしっかりしているからこそ、ドラマ部分に見ごたえがあり、このシリーズがただ単にヤクザ同士の殺し合いだけを描いたシリーズではないことが分かるし、なぜこのシリーズが後世に残る名作と言われているのか分かる気がする。でも、やや中だるみ感もあり、これまでの2作は単体でも見れる感じだったのに対し、本作はいよいよ全面的な抗争が始まるというところで終わるのでやや物足りない感じがするのだが、同時に次も早く見なくてはという気持ちにさせられる。その本作のラストシーンはヤクザの社会の非情さを見せつけられるとともに、死んだ渡瀬恒彦演じる若者の無念や、組長である広能(菅原文太)の思い、若者の母(荒木雅子)の悲しみなどがひしひしと伝わってきて、強く印象に残る。出演者では広能組幹部の一人を演じた川谷拓三はシリーズこれまででいちばん大きな役柄ではないだろうか。打本役の加藤武はいい人のイメージが強いだけにどぎつい方言のヤクザ役はミスキャストなのではと思ったが、(実際、「座頭市二段斬り」で演じた敵側の用心棒役はミスキャストに感じた。)金田一シリーズの刑事や、「釣りバカ日誌」シリーズの秋山専務のイメージとはまた違う雰囲気の役を見事に演じていて新鮮に感じた。物語にじゅうぶん絡む役柄ながらスチール写真だけで登場する丹波哲郎演じる明石組組長も(本当に写真だけなのに)貫ろくと存在感がたっぷりあるのは驚かされる。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-03-02 23:20:33) |