26.《ネタバレ》 1980年、マドリード。スランプを迎えている若き映画監督エンリケの元に、幼馴染みの俳優イグナシオが訪ねてくる。「突然だけど、これは俺が書いた脚本なんだ。是非とも読んでくれ」。16年ぶりに会った、神学校時代のかつての同級生にそう手渡された脚本のタイトルは『訪れ』。戸惑いながらもページを捲ったエンリケは、そこに自分が知らなかった彼の悲惨な過去が書かれていることを知るのだった。これはもしかしたら傑作になるかもしれない――。自分を主役にしてくれというイグナシオの要求を呑み、エンリケは新作映画の撮影を開始する。生粋のゲイでもあるエンリケは、撮影が進むうちにいつしか彼と性的関係を結ぶまでになるのだった。だが、そこから彼らの失われた過去と現在、隠していた嘘と真実、再び芽生えた愛と憎しみがまるでタペストリーの複雑な模様のように交錯していく……。自らゲイであることを公言して止まない、ペドロ・アルモドバル監督が自らの半生を元にして描くそんな半自伝的作品は、とにかく複雑な構造を有した映画でありました。物語は、まずそんなスランプ気味の映画監督の元に売れない俳優が“訪れ”ることから始まります。そこから彼が書いたという自伝的脚本の子供時代の物語へと移行し、そこでは10歳のころに学校の神父によって性的虐待を受けたという彼の衝撃的な過去が明らかとなります。そしてその脚本はまた現在へと戻り、撮影中の映画の中の出来事と監督と脚本を書いた主演俳優という現実の2人の関係がまるで二重写しのように描かれていく。アルモドバルって毎回、お話自体は極めて単純なのにこうした複雑なアプローチでもって意欲的な作品を創る天才だと僕は思っているのですが、残念ながら本作はそんな自らの技巧に溺れてしまったのか、その複雑な構造が作品としていまいち巧く機能していないような印象を持ってしまいました。赤を基調とした情熱的な映像美とこちらにまで汗の匂いが漂ってきそうな俳優陣の肉感的な魅力など、いかにもアルモドバルらしい耽美的な世界観は今回も堪能できましたけれど、彼の幾つもの傑作群に比べるとどうしても若干劣ってしまうかなぁというのが僕の率直な感想です。やっぱりアルモドバルって、男性を撮るより女性を撮った方がその実力を遥かに発揮できるような気がします。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2015-07-30 12:49:59) |
25.映像が美しい。映像とガエルを楽しむために見るならオススメです。 【はちまろ】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-10-14 17:36:38) |
24.ストーリ云々の前にホモが受け入れられなかった。その時点で興味が薄れた。 【たこちゅう】さん [地上波(吹替)] 5点(2011-12-27 23:01:03) |
23.ペドロ・アルモドバルらしい作品。 色彩が綺麗で、映像も美しい。この監督の作品は映像に魅了される。 監督の実体験を元にしているだけあって、興味深いストーリーだった。 |
22.《ネタバレ》 ガエル君のオカマ姿は「プルートで朝食を」のキリアン・マーフィよりはるかに良かった。 見てくれがエグいかどうかだけでなく、しぐさやふるまいが全くもってフツーの女に近かったのだ。 キリアン・マーフィを見ている時は、「必死になって女になろうとしている」結果「濃すぎてしまった」感じが痛かったけれど、ガエル君の場合は「ヤな女だなーコイツ」という感想を抱いてしまったのだ。その点、ニール・ジョーダンよりアルモドバルのほうが「女とは何か」がわかっているということなのでしょう。 いつもと同じようなアルモドバル要素に満ちた作品なのだが、ラストのあっけなさといい、何かパンチに欠ける気がする。 あえてテーマのことを推測するなら、「理想と現実」だったのではないかなあ。 劇中劇「訪問者」は、イグナシオが自ら書いたものであるから、その内容はイグナシオの「理想」と見ていいだろう。きれいなオカマに変身した自分が偶然初恋の相手に出会い、彼に金銭援助をするために変態神父に復讐して見事成し遂げる、というのがそれだ。 ところが脚本を読んだエンリケは「この話はハッピーエンドではダメ」と、サハラが返り討ちにあって殺されるラストに書き換える。これは「理想」を「現実」側に引き寄せた結果だと思う。 また、急にあらわれたイグナシオ(と偽るフアン)に、修道院時代の美少年のその後の理想形を見ながら、「やっぱりイグナシオではない」と見破るのもエンリケだ。エンリケは常に「理想」を退けて「現実」を認識する立場にある。 理想と現実というテーマはほかにもいろいろ出てきて、例えばフアンは美少年イグナシオの成長後の理想形だが、現実のイグナシオは胸を整形した汚いオカマのうえ薬物中毒。 フアンは本当は「アンヘル」になって、女性を愛し、役者として売れたいのだが、現実には「フアン」としてゲイの男に体を提供して利益を追求するしか方法がない。 しかしフアンは「現実」を排して「理想」を実現しようとする人間なので、「醜い現実」たる兄を葬り、ゲイと寝る「フアン」も葬って「アンヘル」として役者になり女性と結婚する。 この作品内では、一貫して神が軽んじられていて、本当に神様がいない。いないので、バチが当たる人もいれば、のんしゃらんとして生き延びる人もいる。その結果は「So,so」とでもいうのが相応しいので、それほど深い感慨を呼ばないのだ。 【パブロン中毒】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-07-14 15:03:32) (良:1票) |
21.《ネタバレ》 性描写が露骨すぎて見てるこっちが恥ずかしくなってしまった。笑うしかないというか。最初の回想シーンが撮影中の映画だったというトリックはいいアイディアだと思うが、ラスト、神父がふらっと現れて告白するんじゃなくて、そこにもなにかサスペンス的な演出があれば良かったと思う。 【カタログ】さん [DVD(吹替)] 6点(2008-03-17 23:49:48) |
20.サスペンスとして成立する前にネタ晴らしが始まってしまう。大して追求することもなくべらべら喋ります。もう少し、謎に迫っていく感じや思考させる間がないとミステリーにもサスペンスにもなりません。ただ後味として残るのはグロテスク感のみ。 【MARK25】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-08-27 23:11:07) |
19.《ネタバレ》 もっと回想の多い、少年時代のピュアな初恋とかの話かと思ってたら、なんか濃い男たちの絡みの映画でした・・。あたしこの作品の監督の「トーク・トゥ・ハー」で物凄い気持ち悪くなって、嫌な予感はしてたけど、やっぱりダメだった・・。ガエル・ガルシア・ベルナルの女装がめちゃくちゃ綺麗な事を除けば、苦手な人にはたまらなく拒否反応が出る映画です。特にオジサンとの絡みは気持ち悪すぎて早送りした。個人的に、監督役の俳優さんはちょっとかっこよかった・・・w。でもゲイ。。。。うへー。登場人物の中でゲイじゃない人を見つける方が難しい映画。 【ネフェルタリ】さん [DVD(字幕)] 3点(2007-06-28 10:53:04) |
18.ペドロ・アルモドバルとしては、変わり者としてのゲイ、迫害される存在としてのゲイ(若しくは服装倒錯者、性同一性障害者等々)による相変わらずの物語を描きたかったんだと思う。しかし、あらゆることが許容されてしまう現在に於いては、既にそのテーマでは描けない。だから舞台設定を1980年にしたんでしょうけど、それにしたって古臭さは拭いきれてない。翌年には「ブロークバック・マウンテン」という「一般向け」のゲイの純愛映画も登場してくる時勢を考えると、余計本作が古臭く感じる。凝ったタイトルバックや独特の色彩を放つ美術は流石だし、ラテンの星・ガエル・ガルシア・ベルナルのドラッグ・クィーン振り(&寸止めブリーフ姿)も見ものでしたけど、肝心のサスペンスや哀愁は全然描けていない印象です、5点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-10-22 00:06:00) |
17.アルモドバルのほかの作品はどうも受け付けなかったのですがこれだけは良かった。映像美、男性美、音楽…美しい。そしてフェレマルチネスとガエルの美しさといったら・・。惚れ惚れしてしまいました。ガエルの女装なんてやばすぎ。 【おっちょ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-08-25 00:20:41) |
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16.《ネタバレ》 アルモドバルの映画は、かなり好きなんですが、これは外れでした。まず、幼い生徒を性的に自由にする小児愛の神父の絶対性がわからなかったです。「人に言っても、どちらを信用するか明白」と関係を持った子供に言いますが、そんなものなのかなあ。宗教的な感覚が違うせいかもしれないけど。あと、いくら時間が経って逢ったとはいえ、ある年齢まで親しかった相手と、知りもしなかった弟の違いがわからないというのも変。たとえ当時のことを記録したシナリオを弟が読んで装っているとしてもです。半分ノンフィクションらしいですが、センチメンタル過ぎる気がします。「アール・アバウト・マイ・マザー」や「キカ」のような、強い女性が出てくる映画の方が、アルモドバルはあっている気がします。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-07-02 04:33:31) |
15.嫌いな人も多いと思うけど、元々アルモドバル作品好きなので、この映画も結構好きでした。やっぱり色がキレイですね。 【mamimami】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-06-11 22:53:10) |
14.この監督のことが、なぜかわからないけど、気になるんですよねぇ…。 【paraben】さん [DVD(字幕)] 5点(2006-05-22 16:46:00) |
13.《ネタバレ》 音楽はものすごくよい。 エンド・クレジッドで流れる曲は聞き入ります。 危ない作品内容もこの監督の独特の色彩とカット割りで、 娯楽サスペンスにも取れる映画作りとなっています。 ただし私的にはちょっと合わなかったです。 突然現れたガエル・ガルシア・ベルナルは結局復讐のために全編を通じて活躍するのですが、 私は彼をなぜかマイク・マイヤーズ似だなぁと見てコメディに見ちゃいました(苦笑) サスペンス的には二重三重で面白いしそのわりにわかりやすい。 難解ですが演出や編集がうまいので戸惑いません。 丁寧に作っています。 しかし「オール・アバウト・マイ・マザー」もですが・・ この監督作品の男優(ゲイ役の)と私は合いませんねぇ・・ いかにもってな感じだから(まあだからわかりやすいのだけれども) 引いてしまうんですよね。 幼少時代の純粋な愛引き裂かれた初恋が、 たとえ男同士であれども感情移入はできます。 そこにはやはり少年同士というみずみずしさと、 その年頃の恋の場合は男女も関係はないと・・ しかも引き裂いた悪役が神父なのです。 カトリックの寄宿学校という環境で神父は異常愛者。 この神父への復讐がある脚本がきっかけで始まるのですが・・ こういったサスペンスとして観られれば面白いかも。 お金、性欲、復讐・・もうドロドロです。 唯一といってもよいエンリケ役の薄い顔のフェレ・マルティネスが救いかも。 あまりに現実主義な彼の生き方に、 初恋を裂かれたあきらめも仕事に生かすという、 クールな生き様に感傷は感じなかったです。 やはり子供時代で終わってましたね・・ 【アルメイダ】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-04-02 13:18:10) |
【k】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-03-03 22:23:18) |
11.自らゲイであることを公表しているアルモドバル監督の半自伝映画ということで、かなり気合も入っていたことでしょうが、これまでの彼の映画と比べて明らかに欠けているものがある。それは「女」です。もちろん確信犯なわけですが、現在活躍している監督の中で数少ない「女を描ける監督」だと思っているので、非常に残念です。思えばガラリとイメージが変わった前作『トーク・トゥ・ハー』は布石だったということか。相変わらずの劇中劇という構成や色使いが、かろうじてアルモドバル的であることを維持していますが、やっぱり物足りない。これまでのアルモドバル作品を観ていなかったらまた違った感想になったかもしれませんが、観てますから、、彼の描く魅力的な女を、、いっぱい。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 5点(2006-03-02 18:27:19) |
10.《ネタバレ》 予告編から推測できるように、男同士の愛の話だからそのシーンはゲッ・・・なんだけど、 この監督の撮り方は、グロではない。扇情的でもないし。そんな事より、人間の哀しさや愚かさを感じてしまった。フェレのドアップに耐えうる目の演技が最高。ハビエルの演じるパキートがなんとも可愛らしい。アルモドバル監督の半自伝的作品といわれるこの作品は、衝撃的でありながら、鮮やかなシーンを魅せてくれている。好き嫌いが分かれる作品だろうけど私は好きだな。 【アンナ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-01-18 20:59:51) |
9.《ネタバレ》 同監督のトークトゥハーがどうにもダメでかなり構えて見たんですが・・・エンタメ経由ナッシング方向で見やすくておもしろかったです。キャストいいし(笑)。撮影終了後に泣き出すアンヘルを見て、えっ? 実は彼、本当はイグナシオってオチ?と、色めきだってしまいました(笑)バカ。あの泣きは変だな~。 【ジマイマ】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-01-17 12:27:39) |
8.「きれいは汚い、汚いはきれい。」なんとなく彼の作品を見ると、このマクベスの中の一節が頭をよぎります。ビジュアルにしたって内容にしたって、普通の感覚からしたら気持ち悪いんですよ。(画面の色彩は飛びぬけて美しいと思うのですが)耽美映画が好きな私でも相当引きます。でも、我々が「醜悪だ」と目をそむけてしまう対象を、監督は淡々と、ごく当たり前のように扱う。こんなに己の欲望に忠実に映画を撮る監督もいないんじゃないか、というほど監督の趣味が画面から匂いたっているのに、ちっとも押し付けがましいところや説教くさいところがない。だからアルモドバルって好きなんだよなぁ。あなたの倫理観ってどうよ!と思わないでもないんですが。回顧・現在・劇中映画、と虚実混濁して、しかも事実が基になっていると聞けば、「どこまで本当なんですか?」とぜひとも問いただしたいですね。 【HIDUKI】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-12-13 16:58:45) |
★7.ペドロ・アルモドバル監督自らの深層心理を、丁寧に大胆に切り開いていくようなそんな映画。描かれるテーマはまさに「禁断」。だけれど、いわゆる“そっち系”の映画の多くにあるような“居心地の悪さ”が、この作品には無い。それは、表現者であるアルモドバル監督を含めた“主人公”たちが、それぞれどこまでも情熱的だからだ。ある意味において、純粋で無垢なその情熱には、薄っぺらな価値観などは入り込む余地はなく、ただただ観る者を包み込む。 主演男優二人の表現も素晴らしく、相変わらずビビットな映像感覚も印象的で、とても質の高い映画だと思う。ただしかし、他のアルモドバル監督作品と比べると、もう少しラストに踏み込んでも良かったのではないかとも思う。意外とあっさりとした余韻が残った。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-12-07 01:06:39) |