★24.「この世界の片隅に」の衝撃的な感動から6年あまり、片渕須直監督のアニメーションの真髄は、そのさらに7年前に製作された本作の中に既に息づいていたことを、今更ながら思い知った。ある平日の深夜に気軽に鑑賞したのだが、想像以上に傑作だった。
山口県防府市の農村に生まれ育った主人公の新子と、東京から転校してきた貴伊子との出会いと育まれた友情。 共に過ごしたその日々は、一年にも満たない短い期間のできごとではあるけれど、深く、瑞々しく描き出される。 不可思議ながらも安らぐアニメ世界。澄み渡るように深い情感と、膨大な時間を超えた邂逅が、ちょっと味わったことの無い感動を生んでいる。
何やらファンタジックなタイトルではあるけれど、実際に描き出されるできごとは、実は決して特別なものではない。 この時代の日本のどこにでも存在していたであろう少年少女たちの他愛もない日々と、時代がもたらす普遍的な悲しみや苦労、そしてすべての子供たちが一度は巡らせたであろう“空想”によって、本作の物語は紡がれている。
ただ、描かれるできごとが普遍的であるからこそ、本作は形容しがたい情感を生み出しているのだと思える。 決して誰もが裕福ではない時代の中で、子どもたちは時に寂しさや悲しさを覚えつつも、それでも笑って、明日もまた会う“約束”をする。 その一日一日の積み重ねが、間違いなく「今」に繋がっているということを、千年という膨大な時の流れを引用しつつ、本作は雄弁に物語っている。
それはまさに「この世界の片隅に」で描かれた“すずさん”の人生模様に通じるアプローチだった。 そして、“すずさん”が生き抜き、命を継いだその先に、本作の時代と少女たちの人生が存在するのだということを“空想”すると、より一層芳醇な感慨を覚えた。
空想する喜びを既に知っていた新子は、生活の傍らにあった「現実」の悲しみを知る。 現実の悲しみを既に知っていた貴伊子は、新たな環境の中で「空想」する喜びを知る。 そこには時代に対する真摯な視点と共に、少女たちの成長に対する慈愛が満ち溢れていたように思う。
エンディング、コトリンゴが奏でる楽曲に包み込まれながら、「ああ、いい映画だ」と確信した。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(邦画)] 9点(2023-01-30 23:14:22) |
23.《ネタバレ》 戦後まもない山口県のドイナカに暮らす小学生新子、ある日東京から転校生キイコがやってくる。ドイナカに馴染めないキイコだが新子と仲良くなるにつれ徐々に表情が明るくなる。 それに伴って、生々しくゴツゴツした大人たちの事情が、少年少女たちを翻弄する。 っていう現在の物語レイヤーと、1000年前のいにしえの日本の暮らしレイヤーが重なりながら、複層的な展開になっていく。 そのイマジネーションをスクリーンいっぱいに展開する新子は、様々な「死」と対峙し、徐々に現実に目を奪われていってしまう。それと逆にキイコは、新子から引き継ぐかのようにいにしえの日本に飛び込む。最終的には千年前の世界が、少女らのイマジネーションから自立していく。ここがなかなかややこしいけど、感動的。 また、僕はタツヨシの運命に強く共感した。あの最後の笑いは、父との決着がついたからだろう。眉毛の傷痕からも彼のこれまでのことがよくよくわかる。タツヨシと共に立ち向かう新子の強さもよかった。あの強さは千年の歴史を積み重ねる(まさにレイヤー)あのドイナカが育んだのだろう。 これがもし高校生とかによる物語だったら、男女のクライマックスはロマンチックになりがち(君の名はとか時かけとかサマーウォーズとかニノ国とか、ニノ国?)。けれど彼らは小学生、とてもさわやかに惜別する。もっと泣かせてくれてもいいのに、じつにさわやかだった。 彼ら彼女らも、2019年頃には後期高齢者だろう。つまり、今の後期高齢者のみなさんにも、この映画のような日々があったということ。僕にはあるだろうか。 |
22.この映画の良さは自分には分からない、ということが分かった。物語がある...ように思えない。 【simple】さん [地上波(邦画)] 4点(2019-07-14 16:02:27) |
21.《ネタバレ》 原作が自伝的な作品ということもあり・・・ ほんわかとして夢想的な物語の中にも、時折シビアな大人の諸事情が織り込まれていて、それが逆に自分の子供時代の思い出を呼び起こしてくれました。 【TM】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-08-23 23:20:16) |
20.《ネタバレ》 「この世界の片隅に」を観た直後だと、どうしてもその影響というかフィルター掛かってしまうので 冷却期間置いてからのレビューとしました。 観たのは2ヶ月前。 ダブルヒロインのストーリー。千年前の時代を妄想してばかりの新子と、傷心して都落ちしてきた令嬢の 友情と成長のお話でした。 背景が昭和30年前後?ノスタルジーな絵が、団塊の世代には嬉しいかも。 大きなイベントは年上の学友の親の事件で、大人の事情への正面衝突。で、新子とタツヨシの成長。 一方、大人の事情に沈没していたキイ子は、逆に子供らしい夢の世界を取り戻して、ある意味成長。 子供たちそれぞれが、様々なルートで大人になって行く1年間のストーリー。 千年前のお姫様は最初は新子に似ていたが、境遇はキイ子に近い。だから新子はキイ子に興味深深。 いろいろとピースの多いパズルのような脚本ですが、1度見たくらいではなかなか拾いきれないかも。 気になったのは、あの警官を褒めていた爺様が、自殺の口コミを聞いた途端に「よくある話だ」と 吐き捨てるセリフには違和感が・・ そんなもんでしょうか? 終盤は駆け足で説明調のエンディングですが、片渕監督らしいなと目尻が下がりました。 ホントは重いラストなのに、軽くさらっと流す、ひょうひょうとした味付けはいつも通り。 カーペンターズの曲で暗転かと思ったら、明るい風景にコトリンゴの美しい曲でのエンドロール。 さすが、エンディングの魔術師。あー良い映画だったなあと思わせる手腕。 でも、自分のようなオッサンには、すこし遠い位置にある映画だと思ってしまう。すみません・・ 【グルコサミンS】さん [DVD(邦画)] 6点(2017-04-14 22:28:32) |
19.アニメ映画に詳しくはないので、彩色に関わる決定権が誰にあるのか知らないが、色の使い方が、桜の咲く頃とラストの雪景色のシーンを除いて、空だけでなく全般的に何かくすんだ感じであまり美しくない。宮崎アニメの場合、季節や時間帯も色と明暗表現で明瞭に描き分けられ、このシーンは夏の午後6時頃の様だと明瞭に判り、気温すら感じ取れるが、本作ではその点が希薄。人体と顔に日差しが当る明るい部分と、影になっている部分の明度差が正確に描き分けられておらず粗雑な印象。 アニメ映画には、何より色彩設計が最重要と考え、厳密に計られて然るべきなのだ。欠点ばかりをあげつらう様で些か心苦しいが、更に言うと、眼の描き方も雑。視線を横に反らした表現など、まるでへのへのもへじで描く人顔の、の字の様、目の表現は紙に描いた人物に生命を吹き込む上で最も重要。そこを疎かにしては感情移入も難しい。アニメの場合、膨大な量をこなさなければならず、またアニメーターの技量もマチマチで、描画に一貫性が無かったり、線や動きがぎこちなかったりと、色々と問題を克服するのは難しいが「神は細部に宿る」と言うではないか、商業映画としてお金を払ってもらう以上、クオリティをもっと高める努力が必要。 ストーリーについて言うと、千年の魔法とする意図の意外性を期待したが、拍子抜け。タイムスリップしたような千年前の牛車が、新子の主観による幻視として現れるのでは、表現として弱く、説得力も持ち得ないのでは。国破れて山河あり、昭和30年頃の山口の風景描写は感心した。未舗装の道路や田園風景と野辺の花は、日本の原風景のようで、愛おしく感じられる。日焼けした現地っ子との間に発生する、色白の転校生少女との場違いな異質感と、27色の色鉛筆のエピソードも微笑ましい 【DADA】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-12-30 14:39:17) |
18.《ネタバレ》 『この世界の片隅に』の片渕須直作品と知ってDVDでの鑑賞。 同じ片渕須直監督が戦中~終戦までの日本を描いた『この世界の片隅に』と同様に、終戦から10年ほど経った地方の町(村)の空気感を非常にリアルに描いている映画です。 牛車が進む奈良時代的な過去と新子たちの現実が交錯する世界観は 一見すると時間ファンタジーだが、そうではないと感じた。 現代と違って、与えられる娯楽が無い子供たちが、自分の空想力で遊んでいた時代だから、想像と現実をレイヤーのように重ね、幻景と実景を綯い交ぜ(ないまぜ)にした世界で遊ぶ姿を描いている【ごっこ遊び】想像力豊かな少女の物語で、『君の名は。』的な過去とのシンクロファンタジーではない。 子供の想像だから、矛盾だらけで断片的だし、ジブリ作品のような派手で爽快なクライマックスが展開するわけがない。 つまり、これはフィクションとは正反対の現実的な〝妄想で現実をより楽しむ少女たち〟の・・・〝自由で豊かで純粋な心〟を描いた映画なのだ。 終盤、戦後のリアルな大人世界〝現実〟を新子は垣間(かいま)見る。〝子供の想像世界〟を〝現実〟が否応(いやおう)無く侵食してくるのだ。 しかし、どんな時代であっても、空想の翼を広げて夢を追って駆け回る子供たちの輝きが衰えることはない。そうこの映画は言っている。そして、優しく映画の幕は下りる。 できれば、この作品の前に『この世界の片隅に』を見ておくことを薦めしたい。その方が、片渕監督の描く世界を感じとり易いと思うし、【すずさんの生きた世界の、その後の世界】を垣間見ることが出来るからです。 【墨石亜乱】さん [DVD(邦画)] 9点(2016-12-09 04:09:35) |
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16.《ネタバレ》 はっきり言ってこのアニメ上級者向き これを子供が見ておもしろいだろうか?昭和30年代に生きた人たちが見なければおもしろさ半減なのではないか 舗装されてない町並み 板塀 ホーロー看板 スカンポ 桑の実 秘密基地 傷痍軍人 こんなものを知らない人達が見ても懐かしさを感じるのだろうか? 物語で起こる事は結構現実的で重いが子供達の空想と遊びの中で語られて行く しかも、主人公二人の空想が違和感なく高度にからまってなおかつ破綻しない この辺は実に素晴らしいと思った しかし、余りにストーリーに起伏がなく淡々としすぎているのはどうか なによりもこのアニメをけなすと、「この面白さがわからない奴は感性が鈍い」と言われそうな作品すぎるのが一番の問題じゃないか? まぁよく出来てるとしかいいようがないが、優等生すぎる 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-12-16 15:36:08) |
15.《ネタバレ》 悪い作品ではないと思うのですが、普通の女の子の日常生活と千年前の表現がまったく面白くなく、最後まで気持ちが入りませんでした。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-07-16 00:06:06) |
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14.興味が有れば観ればいいし、興味ないなら観なくても良いと思う、そんな映画って感想です。アニメ好きの大人が子供心をまだ保ってる大人向きに作った様な作品なので、やや難解風に仕上げてます。世界観や風景は好きでした。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 5点(2012-06-03 15:38:41) |
13.《ネタバレ》 前半がとてものんびりとした爽やかな展開だったので、タツヨシの父が自殺した敵討ちをする為にヤクザのいるバーに上がり込む後半の展開には少々驚きましたが、でもそのタツヨシとの別れ方が、これまた凄く爽やかで、そのシーンが一番ぐっときました。ただ、これはあくまで個人的な意見ですが、1000年前の舞台と現世がどうもいまいちリンクしていないというか、、、、。これだったら、1000年前の妄想はまるまるカットして、現世だけの構成でもいいんじゃないかと思うのです。ノスタルジックな雰囲気、子供達の絆、そういうところは凄くいいんですけどね。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 5点(2012-02-20 13:26:43) |
12.《ネタバレ》 新子のマイマイは想像力と感受性のアンテナ。千年前の人々の暮らしに思いを馳せ、友の痛みを自分の痛みとして感じ取る事ができます。新子の父親は研究者であることから、もともと好奇心旺盛な家系なのでしょう。しかしマイマイは新子の専売特許ではありません。貴伊子も新子と同じ千年の夢へ飛び込めたように、マイマイはどの子どもだって持っています。いや、我々大人にだって。ただ、新子のように「明日の約束を返せ!」と叫ぶのが“しんどい”事や、空想に割ける時間が限られている事を大人は知っています。だから、普段は仕舞っているだけ。でも使わなければ、どんなお宝も錆びてしまいます。自分のマイマイを久しぶりに出してみたくなる本作のような映画は、大人にとって貴重な存在だと思いました。類似作品として真っ先に思い出されるのが『となりのトトロ』。“ススワタリ(真っ黒くろ助)が見えるのは子どもだけ”と、空想と現実世界に明確な線引きがされていたトトロに対し、本作の境界はやや曖昧です。マイマイが有る限り、人はいつでも千年の魔法に酔う事が出来るのですから。そういう意味では、ファンタジー色の強いトトロの方が厳しい世界観だと感じました。トトロは成熟した大人が作ったアニメ。マイマイ新子は子ども心を忘れない大人が作ったアニメ。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-01-04 22:53:23) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 前半は子どもらのやることを笑いながら見ていて面白かったが、後半に入ると影がさして来て、妙に深刻な事件が起きたりする。主役の女の子があんな顔で怒鳴るのはやりすぎなんじゃないか。原作ではもっとあっけらかんとした感じだったろうと思うが。 またストーリーが複雑で難しいので、一回見ただけでは何が起こったかわからず、理詰めで考えなければならなかった。何か話を作りすぎのような気がする。独りよがりな台詞も多い。 ただ、映像的に美しいのは心に残る。また個人的には特に、千年前と昭和30年の風景を直接重ねて見せるような、いわば歴史地理学的な発想が面白いと思った。それがまた、都びとの目には何もないように見える一地方にも何百年、千年にもわたる人の暮らしが積み重なっている、という映画独自の主張につながって、時間的な深みを感じさせている。 それから千年前の一般庶民にも、花を散らす牛車を見てなごむ程度の心の余裕があるように描かれているのはよかった。世の中いいことばかりでないのは当然だが、悪いことばかりでもなく、楽しいこともある。それは千年前も今も同じだろう。昭和の事件の結末も含めて、この世界に対する基本的な肯定感が伝わって来て嬉しくなった。それはあくまで“子どもの世界”なのかも知れないが、中年男に向けた癒し効果もあったと思う。 そういうわけで、マイナス面もあり他人に勧めるのは躊躇するものの、個人的には忘れがたい映画になってしまった。 なお、登場人物のうち特にお姫さまのキャラクターが可笑しくて可愛い。周防権介の息子らをいいように使ってやりたい放題だったが、後半、山中の家を訪ねた場面は見ていて泣き笑いだった。周防守の権威をもって、この母子にいい継父を世話してやれないか。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-12-31 15:44:38) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 『一度見ただけで理解できて分かりやすい毒のない感動的な作品が素晴らしい映画、アニメ作品がドキドキワクワクファンタジーが当然だ』というのならこの映画の得点は低いでしょう。ある意味分かりにくてもいい映画があってもいいでしょう。実際何度か見た後にはとんでもなく凄い構成の映画だと感じます。実際、私が映画館で見たときは難しかったっし???が何度も頭の中に浮かびました。この映画は、リラクゼーション&ヒーリングのBGV(バックグラウンドビデオ)的な面と、もの凄く計算されつくされた構成で出来ている謎解きタイムトラベルストーリーの面があるところが熱狂的なファンを産んだ原因ではないでしょうか? 原作があり、すべて一人の少女の周りで起こった事実です。別に無理やり不倫させたり自殺させたり迷子にしたりした訳じゃありません。事実から変更している細かい所も意図して変更してある。大人向きで子供にわかるのか?という意見も多いですが別にすべて理解する必要はないでしょう。友達を作ること、大切な色エンピツを雑にあつかわれるところ、みんなでどろんこになって遊ぶところ、妹がいなくなって心配するところ,理不尽な現実に対する憤りや抵抗・無力感、十分子供向きでしょう。外国の映画祭で、何でナギコになるのが新子じゃなくて貴伊子なのか?と監督に質問した子供がいたそうですが、監督の答えは『君はどう思うの?』言ったみたいです。正解が無いと文句を言う大人が多いこと。そのくせ、例えは適切ではないかもしれませんがピカソの絵を理解している振りをして有難がっている大人があまりにも多い。人が死ぬことがとんでもなく凄い事件であるような今の風潮ですが、生き物である限り死ぬのは当たり前のこと。生きている時にどれだけ素晴らしい生活をし、いろんなモノを分かち合うのが重要なんじゃないでしょうか?病院でいろんな機械をつけて長生きさせることにに幸せがあるのか疑問です。どれだけ時代や環境が違っても子供は子供でしょう。小説での千年の魔法はひづるが生き返ることが千年の魔法とされていますが、映画ではもっともっと、千年の魔法は凄いことになっています。 【マーガレット81】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-01-29 21:09:21) (良:2票) |
9.なんで金魚すぐ死んでしまうん?と言ってたかどうかはさて置き、そこはかとなくジブリ作品をリスペクトしてるのがいい。 キャラクターも背景画もいい具合に劣化ジブリの様相。 最近のジブリ作品が迷走してるように感じていたので、これがほんとのジブリだよなぁって、ちょっと懐かしくもありました。 これでストーリーが良かったら完璧にジブリのパクリだったんですけど、残念ながらそこまでは真似出来なかったようで、千年の魔法はどこに行っちゃったんだろうかって感じでした。 もうちょっと上手く千年前とリンクさせることができたら名作になってたかも知れないだけに残念。 あと、大人の諸事情がいちいち重いのもマイナス点だろうか。 ポニョ探しや身分を越えた友情だけでも子どもの世界では大事件のはずで、感動的な物語になってたはずなのに、大人の諸事情が重過ぎて全部吹っ飛んでしまった感じでしょうか。 【もとや】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-01-12 05:21:15) |
8.《ネタバレ》 昭和30年代の地方の田園風景の再現は「トトロ」を彷彿させる。「トトロ」が家族の親愛の物語ならば、本作は友達とのコミュニティを扱った作品だろう。子供たちは友達と遊ぶことで世界を拡げて行く。行動半径だけではなく、精神世界も広がってゆく。学校の授業では教わらない、とても大切なものを身に付けて行く。その舞台として用意されるのが、デジタルが一切無い緑と水に溢れたご近所。その豊穣な世界観を観るだけでも意味があると感じる。一方で、友人の父親の自殺が大人の世界への鬼門として表現される。本作の子供たちは、それに抗する手段を持たない未熟な弱者として描かれる。いつかは、友達と遊ぶ時間も厳しい現実に取って代わる予感。だからせめて今は精一杯に遊ぶ。その時間と仲間たちを慈しむ。それだけを切々と謳っている映画でした。心を素にして感じる。そんな映画でした。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-04 17:32:44) (良:1票) |
7.ノスタルジーを売りにするのは結構だが、そこに頼りすぎてる印象。約90分の映画で60分くらい特に何が起きるわけでもない少女の日常を見せられる。この部分を楽しめなかったのがすべてでした。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2011-01-01 21:52:00) |
6.1000年前の物語と昭和30年代の物語をシンクロさせるアイディアは悪くないし、登場人物の性格描写も行き届いている。一昔前のアニメーションを思わせる素朴な質感の映像も物語の時代性を映し出す上で効果的に働いている。物語の舞台は山口県なのだが、僕も中国地方に住んでいるので、新子のしゃべり方には親しみを覚えた。声優を務めた福田麻由子さんは東京都出身なのに、なかなか芸達者である。 ただし、一番大事な脚本が少し力不足な印象を受けた。「大人」と「子供」の世界の食い違いや「子供」の世界の絆の強さが描きたかったものと推察されるが、タツヨシの父親のエピソードにはかなりの唐突感が残るし、新子や貴伊子の両親との関係にはもっと焦点を当てて欲しかった。原作があるから仕方がない部分もあると思うが、もう少し登場人物を絞り込んで映画化したほうが良かったのではないか。本で描ける分量と映画で描ける分量にはやはり大きな差があるだけに、もっと原作を削る工夫が必要だと思った。良い雰囲気を持っているだけに惜しい作品だ。 【枕流】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-10-24 13:13:16) |
5.序盤半分くらいなんにも起こらなさすぎてどうしようかと思ったが、最終的にはそれなりに満足した。福田麻由子の低い声が新子をより魅力的にしているのが大きい。 田舎娘は声が低い方がそれっぽい。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-08-14 16:52:31) |