★13.“バレリーナ”という人種をカテゴライズするならば、「芸術家」と「アスリート」どちらが適切か? 「バレエ」というものをまともに観たことは無いが、それに関する物語や、実在のバレリーナのドキュメンタリーを見る度に、そのカテゴライズに戸惑う。 一流のスポーツシーンを観たときに感じる芸術性を踏まえれば、「バレエ」という表現は、「芸術」と「スポーツ」それぞれの究極が重なり合う領域に存在するものなのだろうと思う。
そして、「芸術」と「スポーツ」その両方を愛するからこそ敢えて言いたい。“両者”が行き着く先は、果てしない「自己満足」の世界だということを。 詰まりは、「バレエ」という“表現”の到達点は、究極の「自己満足」であり、「自己陶酔」だ。
だからこそ、その「究極」を追い求める過程において、精神世界の屈折、そして自我の崩壊は、往々にして避けられない。 そういうことこそが、この“異質”な映画が描き出す本質だろうと思う。
ひたすらに純粋で無垢な欲望を追い求める主人公の望みが叶った瞬間、自らが抱える闇が蠢き始める。
そこには、芸術と肉体が融合した「バレエ」という表現の特異性と、バレリーナという生き方における破滅的な精神世界が入り交じり、言葉にし難い「混沌」が映し出される。
究極の「完璧」を追い求め、次第に“崩壊”していく主人公。 自分を取り巻くすべてのものを傷つけ、嘆き、その“ダメージ”がすべて自らに向けられたものだと知った時、彼女が見たものは何だったのか。
とても、色々な捉え方が出来る映画だと思う。 目が離せないシーン、とても観ていられないシーン、それぞれが連続して波打つように展開する。決して心地の良い映画ではない。 ただ、振り返ると、様々なシーンが脳裏に浮かんでは消え、その時々の主人公の心情に思いを巡らしていることに気づく。
「どういうジャンルの映画か?」と問われると、返答に非常に困る作品であるが、観る者それぞれの心理に直接訴えかけるような“一筋縄ではいかない”映画であることは間違いない。
儚さ、脆さ、危うさ、愚かしさ、そして悍ましいまでの恐ろしさ。それらすべてを包括した主演女優の美しさに圧倒された。
「レオン」から16年、よくもまあ凄い女優に成ったと思う。素晴らしい。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-05-15 01:46:01) (良:2票) |
12.《ネタバレ》 セクシーで、スリリングで、哀しく、美しい映画でした。。。。テンポもすごくよくて、最後まで中だるみもなし。本物の白鳥の湖を観てみたいと思いました。 |
11.《ネタバレ》 うーん!”少林サッカー”でさえ、”サッカーを冒涜している!”と、お怒りの貴兄が大勢いらっしゃったのに、こちらの”女性版芸術スポ根”はさぞかし、大勢の”自称バレリーナ”のおねえさまたちの(おにいさまも!)、お怒りを、さぞ、一身にあつめていることでしょう。しかし、これ、主人公エマが、主役に抜擢されてからのすべての体験、妄想、痛み、恐怖、苦悩、懊悩、嫉妬、快感を観客も同時に”体感”ができるので、終劇に向かって、雪崩落ちる如くの、怒涛の展開は、わたしにとって、もう、超トリハダモンで(またドルビーサラウンド付きオケのBGMがヤカマシイのなんの!)、“涙ちょちよ切れ”の超感動体験のラストなのでした。そして、なにしろ、この、港男ちゃんが演じる主人公の超カッチョエー事、この上ない!!ぼくは常々、よのなかで、”バレリーナである”って事だけで、超かっちょいい事だと思っているのだが、おもえば、ポートマンはバレりーナやダンサーや女優やモデルや、その他もろもろの“自称芸術家達”の羨望や嫉みを、この作品において、一時的に、一挙に引き受けた!!実際、ラストの彼女は”大脱走のヒルツ”、”タワーリングのオハラハン隊長”、“戦争のはらわたのシュナイダー”、”明日のジョーの力石”と同等、いや、それの数百超カッチョ良かった!!あと、こまかいとこでは、ポートマンから、馬鹿っ母へのすて台詞、”アンタは群踊りでしょ!わたしは主役なのよ!!!”ってのが、もう、たまらん良かったなあ!、、、、、うーーーん!それにしてもバレーはカッチョイーーわ!!(byあいはらこずえ) 追加!あとね、ヴァンサンカッセルつながりでね、ジャンレノに出演して欲しかったねー、異様に、非常に!!(??) これぞ、本当の、”カッコいいとはこういう事さ、、、!” うーーん!!それにしても、ナタリーポートマン!!今のところ”トップオブザワールド!”ね! 追加!そう!このスポコンは、やはりわたくしといたしましては、”巨人の星”や”侍ジャイアンツ”を彷彿とさせましたね。そう!主人公やその周囲の人間達もみな熱血で、ある意味”命を懸けている!”そう、命懸けなのです。んで、その実、実際やってることは、荒唐無稽というか、評価不能というか、子供だましというか、神の領域というか、なんというか。。。。まあ、要するに、力技!なのでした、、、、、、、 【男ザンパノ】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-05-14 23:49:04) |
10.地味~な題材を、大胆な演出と、スリリングな展開で、緊張感ある仕上がりにしてくれてます。監督イカしますね。主演のナタリー・ポートマンも迫真の演技でした。劇中の演出でシビレル箇所などありましたが、見終わった後はフーンって感じだったので7点。完璧って怖いですね。 【ぬーとん】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-05-14 22:34:58) |
9.《ネタバレ》 映画を観終わり率直に思ったのは、ダーレン・アロノフスキーが更なる高みに登ったということです。ダーレン・アロノフスキーは今まで醜いこと(ドラッグ)や、凄惨なこと(プロレスリング)を「レクイエム・フォー・ドリーム」や「レスラー」で恐ろしくリアルに描いてきた監督です。そして今回の題材はなんとバレエ。この世界で最も美しさを追求した芸術の一つを、あのアロノフスキーが描くとどうなってしまうのかと期待していましたが、凄かったですねー。常に曇り空で不安を掻き立てるNYの街並み、バレリーナ達の美しいのですが異常ともいえる爪先を始めとする肉体、妖艶という言葉がピッタリと合う黒鳥(ブラック・スワン)のダンス。美しさの裏に存在する醜さ、歪さをガンガン見せつけられた気がしました。それからバレエの演出も上手いなあと感心しました。所詮、女優が数ヶ月練習したところで、本物のバレリーナさながらに踊れる訳はありません。実際のバレリーナはそれこそこの映画で描かれている程、血ヘド吐くほど毎日努力しているのですから。この映画ではニナが踊るシーンでは基本的に足元は映さないカットを多用しており、この演出は英断だなと思いました。勿論、言うまでも無くナタリー・ポートマンの演技は素晴らしいものでした。あれだけの演技、体の張り方でアカデミー賞獲れないって方が無理な話です。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-05-14 22:17:44) (良:3票) |
8.《ネタバレ》 見終わって「へ?こんなもの?」ってな感じで。『シャイニング』(キューブリック版)+『キャリー』+『ファイトクラブ』、以上終わり・・・ってそれだけだとアレなんで、もう少し書いておきますと。『白鳥の湖』を題材に、映画が物語にシンクロしていくように進んでゆくのは面白いと思いました。んでも、別に卑猥だったり陰惨だったりしなくても面白くできるんじゃない?って感じがして。いや、映画自体の起点が元々サイコホラーなんでしょうけど。でもでも、もう最初から彼女ったらヘンだったし。それから、鏡をモチーフに、鏡に映る姿を人間の裏に隠された心理に喩えてみせるのもいい感じだと思いました。が、カメラがガチャガチャユラユラ動き過ぎな上に、寄り過ぎどアップ主体で結局最後まで「ちゃんとしたバレエの映像」を見せてくれない点はフラストレーション溜まりました。ナタリー・ポートマンは女優として『レオン』のマチルダお嬢ちゃんからとても成長しました。だけど今作での評価はまるで「おっぱい出してぎゃー!って絶叫してみせれば評価される日本映画の女優」みたいな感じがしちゃってねぇ・・・。当たり前過ぎるラストシーンよりも、突然怒涛のハッピーエンドとかいう展開の方がよっぽど面白いんじゃない?とか思ったのでした。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-05-14 18:09:50) (良:1票) |
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7.《ネタバレ》 ストーリーは鬼簡単でなによりテンポが良い! 観賞後感は爽快な超娯楽作。 ナタリーポートマンも見事だったが他も全てはまっている。 特にウィノナライダーは秀逸。 観賞中笑い死にそうになった。性格の悪いオカマとオカマ女しか楽しめなさそうだけどもの凄い映画。 【Pecco】さん [映画館(字幕)] 10点(2011-05-14 00:17:47) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 ホラー描写は「丁寧」ではなく「一気に突き崩す」よう。 すさまじい描写の勢いに圧倒されました。 現実と妄想が入り乱れる内容ですが、本筋は意外と分かりやすい映画だと思います。 ライバルのリリーがニナを追い詰めるシーンは、全てニナの妄想だったのでしょう。 ニナとリリーがパーティからニナの家に帰り、セックスをしたのも、女好きの団長・トマから「歓び」を教えられ、迫られたせい。代わりにリリーで妄想したと考えれます。 トマとリリーがセックスしているシーンでも同様。リリーに役を取られるのではないかと怯えが、それを見せたのでしょう。 トマの言った「君の道をふさぐのは君自身だ、自分を解き放て」という台詞が最後の引き金となり、あの結末になったのだと思います。 もしかすると、ベスがナイフで自分の顔を刺してしまうシーンも、ニナの妄想かも。 ベスの言う「私は完璧じゃない」も、ニナの思ったこと。 そしてラストでは自分は「完璧だった」というニナ。 妄想の中でベスを完璧じゃないと見下し、その比較で自分は完璧だったと言っているのかもしれません。 【ヒナタカ】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-05-12 21:16:05) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 ナタリーポートマンはさすがに名演でアカデミー主演女優賞受賞も納得。カメラワークがホラー映画のようで終始不安感を煽るし、観ている人を驚かせる手法もホラー映画っぽい。物語に関しては、どこまでが現実でどこからがナタリーの幻想なのかが分かり辛く、そしてエンディングで大拍手の中エンドクレジットに入るのは、なんか置いてけぼりを喰らった感じがした。 【珈琲時間】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-12 20:58:45) |
4.《ネタバレ》 老若男女誰もが知っているではあろう『白鳥の湖』をベースにした作品。「これでアカデミー賞が獲れるんだ」というのが率直な感想。 現実か?妄想か?という内容でホラーやサスペンス物でよくあるネタですね。本人が…影武者が…と物議をかもしたバレエのシーンは悪くないけど、全体的に映像がクリアじゃないのはカメラ機材の問題なのかな?それとも彼女の妄想を含めた演出なのか? 娘に恨みと妬みを持ち、自らの叶えられなかった夢を押し付け自己投影している母親に抑制され続けた初心な白鳥は、解放されたら黒鳥になり狂気に突き進んでしまった。彼女の内面の脆さを理解し見守ってあげる役目の母親がこれじゃな。支えてくれる人がいなかったニナは実力があるだけに不憫だった。ダンサーはそれほどどっちにも転べるくらい肉体的にも精神的にも過酷ではあるんだろうなぁ。まぁダンサーに限ったことじゃないですが主役を張るには強い心が必要だな、と。 しかし、ナタリー・ポートマンは大人の女性な顔つきになったな。逆にウィノナは老けたとしか思えなかった。 【ロカホリ】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-05-11 20:42:00) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 バレエ好きです.かなりの期待度で観ました.ナタリー・ポートマンが役作りに払った凄い努力と演技力には10点です.また、トウシューズの中敷きを破いたり叩いたり滑り止めの傷を付けたりの細かい描写も、うんうん期待度益々大、となるところだったのですが.途中からあれれ?感が出てきました. 黒鳥って、難易度が高くて派手な振り付けのシャープさの出し方や、顔の表情の作り方等で王子を誑かす踊り分けをするんだと思うのですが、ヴァンサン・カッセル扮する演出家が、黒鳥を表現しきれていないとする理由があまりにも安直で、実際のバレエ・ダンサーの方々はかなり苛っとするんじゃないかと思いました. この辺が心理劇として、だいぶマイナスになりました. 観客にも現実と幻想の区別が付かなくなるストーリー展開と、イタタな場面に目を背けることが多々あり、好きな映画は好きなだけ回数を重ねるのですが、ちょっと躊躇します. ミラ・クニスの背中のタトゥはバレエ・ダンサーにはあり得ないし(しかも代役級で)、ポートマンの白目の着色とコンタクトレンズ?も無いほうがよかった気がします. 【シャリファ】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-05-11 17:50:11) (良:3票) |
2.《ネタバレ》 鑑賞中は妄想と現実が織り交ざってややこしいかなと感じましたが、終わってみると単純な話なのかなと。映像と音楽はバレエを扱っているだけあって素晴らしかったですね。バレエに関する知識が皆無に等しい僕には頭の天辺から脚のつま先までその動き一つ一つが美しく感じました。感想としてはトップに立つ人間には嫉妬やプレッシャーなど色んな障害があるんだなと。特に印象的なのは母親の嫉妬。あらすじには娘に期待する母とありますが、僕はそうは思いません。娘の為に夢を諦めたこの母は確実にその事を後悔し、恨んでいるだろうと思います。娘の写真を置いて全く違った歪んだ絵を何枚も描いているのはその象徴だろうし、他にも大きなケーキを食べさせたり、主役は無理と率直に言ったり、家に閉じ込め束縛している。とてもプリマになる娘を愛しているとは思えません。この母の行動が後の漆黒の狂気を招く原因になったのではないかと。クライマックスの本番シーンはまさに圧巻でした。黒鳥の翼とあの恐ろしい目。見ているこっちの身体に鳥肌が出てきました。主演のナタリーポートマンはこのニーナ役でやっとレオンの呪縛から解き放たれましたね。この役は彼女の生い立ちと合致する部分が多かったでしょう。きっと役をするにあたって思い入れは尋常じゃなかったと思います。そういう意味ではニーナ役は彼女にしかできなかったと言っても過言ではないのかもしれませんね。 【関白宣言】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-05-11 17:47:02) (良:2票) |
1.怖かった、気持ち悪かった、ナタリー・ポートマンがすごかった!!!本来トップバッターの名誉をいただいた時にはご祝儀で高めの点数をつけるのですが、クラシック音楽(含、クラシックバレー)ファンのわたしとしてはクラシックバレーをこんなにぐちゃぐちゃにされては高い点数は意地でもつけられず、独断と偏見によってこの点数をつけました・・・とはいうものの、クラシックであろうがなかろうが芸術というものは所詮、人間の情念をつきつめて形式美の中に閉じ込めたもの、クラシック音楽をバックにこれだけグロい映画を作ってくれた製作・監督そして俳優陣には惜しみない拍手を贈りたいです。演劇や舞踊などの舞台芸術ではスター俳優・舞踊家の病気や不慮の事故に備えて彼らと常に一緒に稽古をする影のプロがいて、本物のスターには勝るとも劣らない技量をもっているからこそ選ばれたそれら影のプロと本物のスターはいつでも非常な緊張関係にあるのだそうです。ともすると妄想のように頭によぎるお互い同士や演出家・スポンサーに対する疑念を理性で打ち消し、周囲の過度の期待や同僚の嫉妬などにも耐えるだけの強靭な精神力がなければスターの座に留まることはむずかしいようです。初めてプリマの座を得たバレリーナのニーナの複雑な心理をナタリーが好演、本物のバレリーナがスタントウーマンをやっていないはずはないのですが、どこがスタントウーマンでどこがナタリーなのかわからないほどの磨かれた演技とカメラもすばらしいです。 【かわまり】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-05-02 14:28:56) |