3.《ネタバレ》 それなりに東野圭吾の著作を読んでいますが、ここまでは「白夜行」が最高です。映像化される際の私の興味は、どこまで原作を再現できるかに尽きます。もちろん、私が受けた印象に近いかどうかという意味ですけど、アレンジなんかして欲しくない。
ドラマや邦画版に比べて、本作は原作に近い雰囲気を再現していると思いました。でも、やはり肝心の部分が物足りない。「白夜行」の妙味は、原作で云うところの亮司と雪穂の接触シーンを一切排除して物語が進行するところにあります。そこにサスペンスの醍醐味と、二人の関係の深さと闇が象徴されると思っているのですが、映像制作者はそう思わないようです。ちょっと理解に苦しみます。「白夜行」の映像化は、まだ途上ですね。
本作に関しては、現場刑事のバタ臭さに韓国映画らしい良さを感じました。前言を覆すようですが、自分の息子を現場検証に使って亡くすアレンジも悪くないと思いました。でも、秘書室の女と刑事の死体が養母の自宅庭から発見されることによって、女には疑惑の目が向けられるはずで、そこに綻びを覚えます。原作の学生時代がごっそりカットされている為に、闇の中を歩かねばならない必然が乏しいことも気になりました。