16.《ネタバレ》 正直な感想「分からなかった」。これまでもSAWやインセプション等の映画は見て一応は理解できるのだが、時間軸が三本存在して、しかも特徴付けも抑揚も特に付けてくれないので、ものすごい複雑で、かなり辛かった。リンチ映画やフェニーニ映画のように「分からせないタイプの映画」でもないストーリーが明確にある映画なだけに、ある程度ポイントは定めて描写して欲しかった。 ■あと映画として見ると辛いのは、人物の掘り下げがよくわからない(原作を見ないと正しい解釈に至るのは困難)という点。ストーリーを変に複雑にするぐらいなら、人間像の掘り下げの方にエネルギーを注いだ方がよかったように思う。 ■骨格のストーリーそのものはそこそこ面白い(のであろう)し、映像や雰囲気はすごくよく取れているのでもったいない。 【θ】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-12-06 01:49:41) |
★15.《ネタバレ》 ゲイリー・オールドマンの秘めた感情が読めない瞳が、眼鏡の奥で硝子玉のように鈍く光る。 彼が演じるスマイリーという男が、この物語の中で貫き通したものは一体なんだったのだろう。 それは正義だったのか、野心だったのか、それとも暗恨か、嫉妬か。 ラストカットで主人公が携えた微笑には、彼が抑え込んできた様々な感情が一瞬垣間見えたように思えた。
インフォメーションから伝わっていたようなストーリー的な難解さは実はない。 人と思惑が入り交じり、いかにも入り組んでいるように見えるが、最終的に解きほぐされた顛末は、呆気ない程に単純で驚きはなかった。このキャスティングで、“彼”が裏切り者では工夫がなさ過ぎると思った。 正直なところ、その呆気なさに対して満足度が高まり切らなかったことも事実。人物関係の説明描写が明らかに不足したまま固有名詞を並び立てる語り口は、ストーリーをただ無意味に難解じみさせているようで、サスペンスとしてアンフェアに感じた。 そのことが映画として必要な娯楽性の不足に直結していることは否めない。
ただし、“研ぎすまされた”という表現がまさに相応しい俳優の演技と、映像構築も含めた演出は、文句なしに際立っている。 さめざめしくも美しい陰影の濃い映像世界はこの物語に相応しく、そこに息づく俳優たちはそれぞれ最高のパフォーマンスを見せていたと思う。 特筆すべきは、やはり主演したゲイリー・オールドマンの素晴らしい存在感だろう。 一貫して感情を高ぶらせることのないこの映画の主人公は、彼のフィルモグラフィーの中でも最も「静的」なキャラクターだったのではないかと思う。 終始、淡々とした佇まいの中でも、決して平坦ではない、深い人物像を構築してみせたと思う。
ゲイリー・オールドマンは、今作でアカデミー主演男優賞も有力候補だったので是非穫ってほしかった。 そして、ナタリー・ポートマンもとい“マチルダ”から“スタンフィールド”へのオスカー授与シーンが見たかった! 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-11-24 10:36:58) (良:1票) |
14.《ネタバレ》 思ったよりも二重スパイが意外な人物じゃなかったのですが、考えてみれば、これは映画だから、良かったんだと思いました。2時間枠の映画であまりにも意外な人物にしてしまうと、映画が破たんしてしまうからなんですね。(破たんを笑ったのが喜劇映画「殺人ゲームへの招待」でしたが・・)だからいかに映画としての品位を保ちながら、なおかつ面白くするか、それがこういう映画のポイントだと思います。その意味では、これはカッコいいし、雰囲気もいいし、音楽も映像もセンスあるし、最高です。細かいとこまで理解したとは言えませんが、十分楽しめました。最後、まるで二人の間には何もないかのように、ゲイリーオールドマンと、若い職員が会社の中ですれ違うとこがまた粋ですねぇ。いいじゃないですか。スパイ映画としては、一級品だと思います。アクションに頼らないで、演出過多にもならないで、ちょっと欲言えば、魅力的な女性が出てきたらなぁとも思いましたが・・(これはおじさんの趣味でしたか・・?)ただちょっと疲れました。難解らしいと、このレビューで知っていたので、緊張した2時間でした。ふ~。コーヒーでも飲んで、一服するか・・。そういえば最近、このような渋い男の映画に、喫煙シーンがなくなりましたね? 【トント】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-11-19 05:52:18) |
13.《ネタバレ》 非常にややこしいという評判は聞いていたので事前に粗筋を確認、さらには人物相関図を手元に置いてこれを眺めながら鑑賞を進めていくという重装備で臨んだのですが、ここまでの準備をしていればさすがに映画の理解はスムーズに運ぶもので、この苦み走った大人のサスペンスを存分に楽しむことができました。銃撃戦もカーチェイスも熱い舌戦もなし、ひたすらに淡々としたドラマが続くだけなのですが、これが異常なまでに面白いのです。役所から文書一枚持ち出すだけでひとつの見せ場を作ってしまうのですから、この監督の演出力の高さには驚かされます。また、国際的なスパイ戦争を舞台としながらも、非常にパーソナルな着地点を設けてみせた意外性ある構成も面白いと感じました。硬派な官僚ドラマとドロドロの愛憎劇をうまくブレンドしてみせた脚本家のバランス感覚は非常に優れています。。。 以上、大変に満足のいく鑑賞ではあったのですが、やはり気になったのが本作の不親切さ。各キャラクターの紹介場面は一切なしのままいきなり本筋が始まり、キャラクター達はコードネーム、ファーストネーム、ファミリーネームの3通りの名前で呼ばれます。現在、ちょっと前の過去、随分前の過去の3つの時系列を舞台としながらも、服装やメイク等で視覚的な変化を付けるようなことはしていません。おまけに、死んだとされていた人物が実は生きていたという展開がサラっと流されたりするので、予備知識なしでの鑑賞はほぼ不可能という壮絶な状態となっています。巻き戻しのできる自宅での鑑賞ならともかく、一度でも遅れをとった時点で即終了という映画館での鑑賞は、もはや自殺行為。映画館での鑑賞を想定していない映画を評価していいものかと悩んでしまいます。。。 考えてみれば、本作の主要キャラクターは10名程度。実は007やミッション:インポッシブルよりも少ない人数しか動いていないのです。いくらでもわかりやすく作れたであろう話なのに、それをわざわざ複雑に撮った理由が理解できません。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2012-11-15 01:45:39) |
12.英国の曇天の下、跋扈するオッサン英国諜報員たちの渋さを、ひたすら堪能できる作品。一煮立ちさせた激渋エスプレッソ・コーヒー(砂糖抜き・茶請けなし)を、何杯もマグカップで飲まされたような気分でした。 【aksweet】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-11-12 07:36:42) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 もしもこの話が完璧に理解できるのならば良くできてる映画なのだと思います。 しかし、初見でこれを理解するのはかなり困難なんじゃないか?と。 誰が何をしてて、どうなったから、そうなったのか、というのが全くわからない。 最初の30分を観ていて、全然意味がわからないので、もう一度最初から見直してしまった。 で、2回目でどの人がなんて名前で、どんな人なのかようやくわかった。 が・・・そこから先も見れば見るほどわかりにくい。 わざとわかりにくくしているような感じすらある。 なぜこんなに難しい描写をするのか。 話を知ってる人(理解できる人)が見たら良く出来てるのだろうが、 こんなにもわかりにくくては映画としてどうしようもない。 同じ映画を2回も3回も観てくれる人のほうが圧倒的に少ないのだから。 【虎王】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-11-12 04:52:45) |
10.東西冷戦下のスパイの哀しき人間模様を描いた重厚感のあるドラマ。 どちらかというと謎解きに軸足が置かれており、サーカスの上層部に紛れ込んだ“モグラ”の正体を捜査していく老スパイ、スマイリーを演じたゲイリー・オールドマンの渋くも威圧感のある演技を堪能しました。更に登場しない重要登場人物である、謎のソ連の大物スパイであるカーラ。姿は見せずに見事にその意志や作品の中での存在感を出させていたと思います。 鑑賞に集中力を求められる作品ですが、考えてみればモグラの容疑者はかなり絞られています。最後にモグラの正体を明かしますが、モグラを含めた容疑者の人物描写が終盤まではかなり少なく、ちょっと時間が足らなかったかという気がします。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-11-07 23:57:08) |
【フライボーイ】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-11-05 13:59:05) |
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【枕流】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-07-02 20:36:08) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 あの重苦しい雰囲気漂うあの部屋の壁。凹凸が影を作り出し、薄らと碁盤目状に見えてくる。誰が“もぐら”なのかが浮き彫りになるまでのドラマには、男たち(スパイたち)の潰し合いの葛藤がある。相手の手の内を想像し、裏をかくように悟られまいと忍ぶ姿。そこは恐ろしく濁っていた。顔を着けて泳ぐのが憚れるのと等しく、そこは信用ならない奴らのいるところであることを暗示している。モノトーンのグレーを基調としたように、そこは憶測と不明解な状況が蠢いている。スマイリーとそこにいる人間たちの特徴無き特徴が、彼らの物悲しさすらも表現している。というなんだか、馬鹿みたいな評論家の文章になってしまうのもこういう表現方法がこの作品のテイストを分かりやすく説明できるような気がしたからです。また、原作は未見ですが、確実に映画ならではの表現が散りばめられているような気がしてならないのです。まずは上記にも述べた色調、そして最も面白いのは「チェス」を彼らに見立てて表現しているその構造がお見事です。あの部屋を碁盤とした場合、彼らは駒でしかなく、国家によって操られ、消えて行くのです。敵と見なした仲間を消し去り、トップの座に付くスマイリーのあのラストの表情。無表情ではあるけれど、あの朗らかにも取れるスマイリーの表情は唯一のスマイルと言っても過言ではないように思えました。果たして正義とは?悪とは?仲間とは?多くのことを観客に投げかけつつ、そして最後に描かれるのは、真に信じていた友による裏切りの淵に沈んだプリドーが、最終的に少年ビルに投げかける言葉が「哀しき駒になるな」という切なる願いにも見えました。それはとてと普遍的で、今日のぼくらにも届きうる強い想いを感じ、またこの映画がこの一点に向かい集約されていたことがわかったあの瞬間、鳥肌が立ちました。お見事です、素晴らしい!!※鑑賞前に事前に大まかなストーリーと登場人物の情報を入れておくのもありだと思います。本国では過去にテレビドラマ化されていたり、根本的に大変有名な原作であるため、多くの人にこの作品の大前提の理解があったことが評価される要因の一つにあるのは間違いないだろうと思いますので、鑑賞前にパンフレットをご購入されるのをオススメします。ちなみにぼくはそうしました。 【ボビー】さん [映画館(字幕)] 9点(2012-05-27 23:15:12) |
6.《ネタバレ》 登場人物やストーリー展開が分かりづらくて、ウームどうしたものかと思いながら帰宅。 けれど観賞後、wikipediaであらすじを確認してみると、それほど理解できていなかったわけでもない。「確かにそうだった」という感じ(笑 情けない・・・) 思い返してみると、ストーリー上重要な部分はしっかり見せ場として印象に残るように作られていたと思います。主人公の語るタバコとライターのエピソードや、若いスパイと向うの女とのエピソード(裏窓みたい)などは引き込まれました。最初は分かり辛かった登場人物が、ラスト周辺でついにキャラクターが確立された感じがするのも面白かったかな。「あー面白かった!」と揚々映画館を出れるような作品ではないかもしれないけど、後からじわじわ来そうな見応えはある作品だったと思います。もう一度見たいと自分も思いました。 【ゆうろう】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-05-26 21:34:24) |
5.《ネタバレ》 少しずつ二重スパイの顔に迫っていく本格的なスパイ映画だと思います。ただ、ゲイリー・オールドマン演じる冷静かつ聡明な主人公や、ジョン・ハート演じる豪腕な元ボスに比べて、疑いの対象となる4人の幹部がどうも弱い。彼らが英国諜報部で幹部にまで上り詰めた要素が見当たらず、そりゃゲイリー・オールドマンがなんとかするよねと思って安心しちゃいます。 【カワウソの聞耳】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-05-21 09:23:41) |
4.よく出来ているとは思いますが、やっぱり、2時間足らずでこの原作を映像化するのは無理ですわ。 個人的な意見ですが、ジョン・ル・カレの小説はどれも映像化するのは難しいと思います。 事前に原作を読んでいないと、話についていけないと思います。 【ミスプロ】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-05-15 14:25:13) |
3.《ネタバレ》 誰もが知る「007シリーズ」、第二次世界大戦時に実際にスパイ活動を行っていたイアン・フレミングが自分の体験を基にした小説の映画は市井の人々の人気を集めました。男性的なシンボルとも取れる完璧超人ジェームズ・ボンドが最新の秘密兵器を駆使して悪の組織を壊滅させていくシンプルな構造が人々の心を掴んだのでしょう。本作「裏切りのサーカス」の原作者ジョン・ル・カレもかつてイギリス諜報部に籍を置いており、本物のスパイでした。この点ではイアン・フレミングと同じです。しかしこの原作・映画で描かれるスパイの姿はジェームズ・ボンドとはかけ離れているといっていいでしょう。基本的なストーリーは、数々の権謀術数が交差する英国情報局"サーカス"の中に潜む二重スパイを見つけ出すことのみ。派手なスパイ物に良くある世界征服を企む組織やトンデモ秘密兵器なんて無いし、カクテルが似合うお洒落な登場人物なんて一人もいない。それでもこの映画は非常に面白い。この映画は先述している「007シリーズ」の様な華やかに見えるスパイ映画の世界を(恐らく意図的に)茶化している。近年では「ジェイソン・ボーンシリーズ」がリアルに拘ったスパイ映画として挙げられることが多いですが、本当に徹底的にスパイの世界をリアルに描いたらこの映画の様になるのでしょう。しかしアクションが無い、派手な見場が無い、だから面白くないかというと全くそんなことはありません。3人の二重スパイの容疑者は全員がある種の切れ者で誰の言うことも観客は信用できない。信用できるのは主人公スマイリーの視点とある種神の視点から撮られた過去のパーティーでの場面のみ。観客にどれだけの情報を与えて、どれだけを隠しておけばいいのかという脚本の出来が、ミステリ作品で重要な点ですが、この映画に関してはその部分が素晴らしく、ミステリーとしても非常に上手くできていると思います。というか話は一見難解そうに見えますが、全くそんなことは無い。最初から最後まで怪しかった奴が犯人だし、それまでの伏線も実に分かりやすく張っている。トーマス・アルフレッドソン監督お得意の静状を使った演出も緊張感が張り詰めるスパイの世界に非常に相性が良く、本当にスパイの世界を体験した気分でした。勿論、英国役者の種々様々な孤独を内包した演技も素晴らしく、脚本・演出・演技の三つが見事に融合した作品だったと思いました。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 9点(2012-05-06 00:00:29) |
2.わからん!!映画の雰囲気とかは好きですが、そもそも「裏切り」が何かがいまいちよく分からなかったので、犯人がわかっても「こいつが具体的には何をした・・?」という感じでした。もう一回見ればもう少し分かるのかもしれないけど、また見たいかと言われると、ウーン、どうだろう。。。 【珈琲時間】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-05-03 12:58:50) |
1.《ネタバレ》 宣言通り約半年ぶり2度目観賞を果たしました。もぐらを探せ!複雑な人間関係、所在地関係、時間構成に伏線を張り巡らせた濃厚なサスペンス。主演ゲイリー・オールドマン、影のある重厚な名演。もぐらのコリン・ファース、死に際に赤色の血の涙を流しました。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-05-02 03:50:31) |