4.《ネタバレ》 IMAX 3Dにて鑑賞。3D効果はまぁそれなりで損した気分にはなりませんでしたが、2Dで見ても情報量はほぼ変わらないと思います。
一定水準の作品を量産する体制を整えたマーベル勢とは対照的に、DC勢はいまだ彼らなりの成功方程式を生み出せておらず、本作についても敵の目的が不明確で恐怖の対象になりえていなかったり、リーグの作戦や勝敗ラインがわかりづらくて盛り上がりを逃していたりと、完璧な娯楽作にはなりえていませんでした。
ただし、それでも私が本作を支持できるのは、キャラクター劇として極めてよく出来ているためです。
・パラノイア的に暴れまわったBVSを経て真にヒーローとしての自覚を持ったが、同時に生身の自分には限界があることを悟ってバトルでは裏方に徹しているバットマン。
・能力も実戦経験もチーム随一で、必要な場面ではチームの支柱となるワンダーウーマン。
・粗暴だがその奥にある気の良さが伝わってくるアクアマン。
・同類に出会えた喜びを隠しきれないフラッシュ。
・勝手にアップグレードされていく己の体への恐怖から引きこもりのひねくれ者になっていたが、訳ありメンバーと関わって自分の体の使い方を覚えていくことで徐々に精神が安定していくサイボーグ。
どいつもこいつも良いキャラをしているし、キャラクター間でちゃんと化学反応が起こっています。ジョス・ウェドンはザック・スナイダーが編集したバージョンから1時間も短縮して完成版を作ったようなのですが、この短い上映時間でよくこれだけキャラクターを描けたものだと感心しました。
さらに、スーパーマンが他のヒーロー達とはパワーも存在感も違う、桁外れのヒーローであるという描写になっていた点にも納得できました。そんなスーパーマンの参戦には、ドラゴンボールZのフリーザ編でようやく悟空が戦線復帰した時のような興奮がありました。これぞマンガ映画の醍醐味です。
また、ハンス・ジマーが降板し、その跡を継いだジャンキーXLも降板し、最終的にダニー・エルフマンが音楽を担当することとなったのですが、エルフマンの登板によって全体の曲調が明るくなり、特にバットマンのテーマはエルフマン自身が作曲した1989年版に戻されたので、『バットマン/ビギンズ』以来12年間続いたジマーのドンドコ節に辟易としていた私のような人間は、久しぶりにヒーローらしいテーマ曲を聞けてホッとしました。
その他、ロード・オブ・ザ・リング風の合戦からヒーローバトル、さらには多様なマシーンの登場と見せ場のバリエーションはやたら多いのですが、ヴィジュアルの巨人・ザック・スナイダーはこれらを闇鍋状態にせず、ひとつひとつの見せ場の独自性と全体の調和を見事に両立させています。こちらでも満足感がありました。
決して器用な出来ではないものの、これから始まる各キャラクターの単独主演作への期待を高めるには十分の作品だったと思います。さらには、一通りの単独主演作が終わった後にはジャスティス・リーグPART2が予定されていますが、成長したヒーローたちの再集結も今から楽しみです。