飢餓海峡のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

Menu
 > 映画作品情報
 > 映画作品情報 キ行
 > 飢餓海峡の口コミ・評価
 > (レビュー・クチコミ)

飢餓海峡

[キガカイキョウ]
1964年上映時間:183分
平均点:7.64 / 10(Review 76人) (点数分布表示)
公開開始日(1965-01-15)
ドラマサスペンスモノクロ映画犯罪ものミステリー刑事ものロマンス小説の映画化
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2019-08-16)【イニシャルK】さん
Amazonにて検索Googleにて検索Yahooにて検索
Twitterにて検索
ブログに映画情報を貼り付け
監督内田吐夢
キャスト三国連太郎(男優)犬飼多吉/樽見京一郎
左幸子(女優)杉戸八重(千鶴)
伴淳三郎(男優)弓坂吉太郎
高倉健(男優)味村時雄
加藤嘉(男優)杉戸長左衛門
三井弘次(男優)本島進市
沢村貞子(女優)本島妙子
藤田進(男優)荻村利吉
風見章子(女優)敏子
亀石征一郎(男優)小川
山本麟一(男優)和尚
関山耕司(男優)堀口刑事
八名信夫(男優)町田
河合絃司(男優)単本虎次郎
須賀良(男優)
室田日出男(男優)記者
田村錦人(男優)大湊の巡査
安藤三男(男優)木島忠吉
木村修(男優)
相馬剛三(男優)
原作水上勉「飢餓海峡」
脚本鈴木尚之
音楽冨田勲
撮影仲沢半次郎
碧川道夫(W106方式指導)
宮島義勇(W106方式指導)
製作大川博
企画辻野公晴
吉野誠一
矢部恒
配給東映
美術森幹男
録音内田陽造
あらすじ
敗戦直後、北海道岩内における強盗放火事件に関係した男。逃亡途中、函館港外で起きた青函連絡船転覆事故の騒ぎに紛れ、津軽海峡を渡った。青森県大湊で娼婦・杉戸八重と知り合った男は、犬飼多吉と名乗る。八重は犬飼から受け取った金で借金を返済し、東京に出る機会を掴む。八重は犬飼の好意をいつまでも忘れずにいた。十年後、八重は犬飼にそっくりな篤志家・樽見京一郎のことを知る…。
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
(ネタバレを非表示にする)

【クチコミ・感想】

別のページへ
【新規登録順】 / 【変更順】 / 【投票順
1234
>> お気に入りレビュワーのみ表示
>> 全レビュー表示

>> 改行なし表示
※ 「改行」や「ネタバレ」のデフォルト表示のカスタマイズは「カスタマイズ画面」でどうぞ
56.《ネタバレ》 ○タイトルとリンクする場面はあまり感じられなかったが、モノクロ映像も相まってより重厚感溢れる映画になっている。○三国、左、高倉、伴あたりはさすがの存在感。
TOSHIさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-23 11:04:48)
55.《ネタバレ》 点数の付け方に凄く困ってしまう作品でした。ソラリゼーションやエンボス加工が安っぽく目障りに感じたり、大金を置いていくにはそれなりのわけありだろうことくらい察して礼は伝えられたんだからシツコくするなよ左幸子って感じだったり、DNA鑑定もない時代に爪はそこまで決定的証拠なの?と疑問だったり、三國連太郎の真実が何か浮き彫りになるのかと思ったら唐突に幕だったり、そういうことごとでガッカリ感は結構あります。けれど、大金を受けてからの左幸子の生活に密着するような展開は、三國連太郎も伴淳三郎も影が薄くなっていくほど視点が彼女に集中して『サイコ』を観るような気分でしたし、およそ2時間後にようやく高倉健の登場という緩急の妙が心地よかったです。とうとう三國連太郎が爪の証拠で折れて、これで話は終わりかと思ったら、そこからもう一山という展開も良かったです。僕には釣りバカの社長さんのイメージばかり強い三國連太郎の若い姿の存在感に感心したり、多分『姿三四郎』の役者さんではないかと思う署長さん役のオーラを感じたりして「今これほど存在感どっしりした役者さんたち、ほとんどいないなぁ…」と思ったりして、そういう点ではとても良いものを見せていただいた気分でした。というわけで7点としました。ソラリゼーション安っぽかったけど、イタコのシーンだけは夢に出て来そうで強烈な印象を残しました。「吐夢」って、こんな昔からキラキラネームはあったんですね。
だみおさん [DVD(邦画)] 7点(2014-08-02 23:42:57)(良:1票)
54.《ネタバレ》 本作における「飢餓」は「貧困」とも言い換えられるでしょう。犬飼にしろ八重にしろ、偶然大金を手に入れたことから、貧困から抜け出すことになった。それはいいのですが、それ以前の貧困、飢餓ぶりが言葉で語られるだけなので、観ているこちらには実感が湧かず、空々しい感じしかしません。特に八重は、金をもらったことを十年間も感謝し続けるわけです。それほどまでに嬉しいことだったのでしょうが、以前の八重に対してこちらは特に思い入れがないものですから、その態度が過剰で、ある種偏執狂的にさえ思えてきます。製作当時の観客にとってはある程度想像できたのでしょうが、現代人にはかなり困難でしょう。現代でも若者の貧困など問題になったりしますが、やはり本作で描かれているものとは質的に異なると思います。題材となった洞爺丸事故や岩内大火を、時代を戻して利用したわけですが、結果として「その時代ならでは」というのが強くなりすぎたと思います。
もう一つ疑問なのは、三国連太郎が演じた人物は何者なのか。最初は犬飼多吉と名乗るので、それが本名かと思ったら、のちに樽見京一郎という名で登場する。しかも樽見という人物は実在していて、母親もちゃんといるらしい。では樽見が本名で、犬飼は偽名だったのか。それならば、どういういきさつで偽名を名乗っていたのか。このあたりがまったく説明されていません。八重に対して「犬飼」と名乗った以上、これが本名か否かは、八重との関係を考える上で重要になってくるはずです。それが不明というのは、納得がいきません。
結論としては、本作では筋を追うのに手一杯で、主要人物の掘り下げが浅く、結果として不十分な内容となったように思われます。感情的に怒鳴り散らす味村刑事も、全体の雰囲気から浮いてしまっています。まあ、ああいう人物も必要だと考えたんでしょうけど。もっともよかったのは、伴淳の弓坂刑事。この人だけは、首尾一貫して魅力を感じられました。
アングロファイルさん [映画館(邦画)] 6点(2014-06-28 20:57:40)(良:1票)
53.《ネタバレ》 この作品では、タイトルとは裏腹に、「飢餓」というものはあまり描かれていません。というのはつまり、三國連太郎演じる主人公・樽見の過去については必ずしも深く描かれてはいない、ということでして。もうひとりの主人公、左幸子演じる八重との出会いから、彼女を中心に描かれる戦後の描写は、貧しさはあるけれど、一種の自由さもあり(無論、犬飼から渡された大金のお陰ではあるものの)、その自由さは例えば東京の光景をどこまでもクレーン移動するカメラで拡がりをもって描く場面などからも感じられます。それに比べると、戦後10年以上たち、過去から決別し封印したはずの樽見が描かれる後半の、不自由さと圧迫感。貧しさイコール悪、とかいう単純な図式ではなく、暗い過去に閉じ込められた人間の姿そのものを、刑事との対決の中で描き(過去に閉じ込められた人間は樽見ばかりではない、伴淳三郎演じる弓坂刑事もその一人であり、その事実がまた樽見を過去に閉じ込める)、また北海道行きの船上という、開放感の光景の中で、「死」という最後の逃避を選ぶ姿を描く。もう、これ以上に追いつめられた三國連太郎を見ようと思ったら、『真剣勝負』の宍戸梅軒を見るしかないでしょうなあ。
鱗歌さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-06-02 23:33:17)
52.《ネタバレ》 重厚で緻密な描写はいいのだが、妙に間を持たせた冗長で長いシーンも散見され、もっと尺を短くしたほうが、スリリングで緊迫感も増したのにと感じた。 あと、ラストが納得いかない(原作は未読)。 見終わって考えると、北海道に行きたいと懇願したのが、船上から身を投じるための演技と解釈できないわけではないが、元刑事のお経で発作的に身を投げた感じもし、突然打ち切られてしまったような未消化感。 まあ、これから更に北海道紀行をやってたら、さらに尺が長くなるんだろうが、、  高倉健は刑事というよりやっぱりヤクザのほうが合ってるな。
nobo7さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-05-11 19:11:11)
51.《ネタバレ》 正直もっと重たい作品かと思っていた。戦後、日本の隅々まで貧しかった時代の、貧困と餓えによって引き起こされた犯罪、加えて悲惨な船舶事故、とくれば地を這うが如しの重量感を想像していたのだけど。ところが前半はともかく、中盤以降はまるで火サステイスト。
思うに、左幸子があっけらかんと表情が明るすぎるのでは。娼婦だと判るのにけっこう時間を要したもん。旅館の女中さんかと思ったほど。そして映画全体に流れる飢餓感の少なさ。森林軌道の中で左幸子がおにぎりを食べる場面だけど、後から劇中説明されるところによれば、当時は配給手帳によって米が支給されていたはず。そのわりに大きくてつややかなおにぎりがなんと三つも。そして三国に分け与える時の、全くの躊躇の無さ。包んでいた笹皮をぽい、と車外に放り捨てる気楽さ。序盤のこの描写でこの映画から飢餓感はすでに遠く感じられ、迫力を欠いたと思う。
東京に無秩序に広がる闇市や、焼け野原にぽつりとある娼婦小屋などの風俗描写はリアルだった。だけどどんどん火サスになってゆく。後半は三国の演技が凄いけどオチも読めたし高倉健がうるさい。
tottokoさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2014-05-04 00:36:31)
50.2014.04/20 鑑賞。見逃していた作品の一つ。半世紀・50年も経つのか。健さん以外、スクリーンでは見なくなった。3時間が濃厚であっという間に過ぎ去った。( ・∀・) イイネ!
でも敢えて言う。ラストシーン気に入らない。予測出来汽船も停泊しないとは・・。舞鶴まで会いにゆくのは解るが相手が困る立場が理解できないのか。台風遭難シーンは現在の視点に立つとちゃちすぎる。八重の気持ちは痛いほど理解出来るが・・。「羅生門」の“藪の中”がふと浮かぶ。
ご自由さんさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2014-04-21 17:15:36)
49.樽見京一郎の少年時代をもっと見たかったですが、原作からこれ以上のものはもう差し引きできなかったのでしょう、多少のアレンジはありましたがほぼ忠実でした。これでも3時間ですからね。八重の左幸子が特出しています、本当に待望の一作をみられてよかったです。すばらしかったです。
HRM36さん [DVD(字幕)] 8点(2013-11-07 09:42:40)(良:1票)
48.ずいぶん昔に見た感動の映画。主役は三國連太郎だが、弓坂刑事の伴淳三郎、杉戸八重の左幸子の印象が強い。伴淳三郎はコメディアンとしか見ていなかったし、左幸子がこれほど情の深い役をするとは思っても見なかった。爪を大事にとって哀願するさまは目に焼きついて離れない。
ESPERANZAさん [映画館(邦画)] 8点(2013-09-30 07:12:34)(良:1票)
47.《ネタバレ》 名作と言われる本作をようやく観た、あれだけの原作を一体どう映画化したのかと思ったら、実に素場らしい。脚本、演出、名演技の素場らしいバランスで成り立っている。長い映画だから淡々としてるが、要所をしめ、記憶に残っている。まあ、淡々とした感じを受けるのはW106方式をあえて使ったんだから、監督の意図だろう。とにかく、安っぽい推理ものに陥らずここまで出来たのは感じいる。
minさん [DVD(邦画)] 8点(2013-02-12 20:37:12)(良:1票)
46.出演者の演技は素晴らしいよね。伴淳、左幸子、三国連太郎は特出している。
「砂の器」と同様、事件の裏にある人間ドラマを描いた作品で、
かなり重厚な雰囲気に仕上がっているんだけど、この作品にはシナリオに大きな欠点があり、
伴淳、左幸子の描写は全く問題ないのだが、三国の人物描写がしっかりと描かれていない。
そのため彼の一連の行動には、「なぜ? どうして?」という多くの疑問や謎が残ってしまう。
ラストもずさん過ぎてありえず、人間ドラマとしては物足りなさを感じてしまった。
これぞ役者!という演技を見るにはお薦めの作品。
MAHITOさん [DVD(邦画)] 6点(2011-08-14 18:15:25)
45.少しストーリーに粗さはあるけど、独特の骨太な迫力に引っ張られて、楽しめて観れました。戦後すぐの混乱期を描いた映画は数あれど、この映画の映像が一番説得力がある気がする。ラストシーンも素晴らしい。
ashigaraさん [DVD(邦画)] 8点(2011-07-06 23:51:30)
44.《ネタバレ》 重厚な映画。戦中戦後の壮絶な時期と、そこにおける人間の悲哀を、一本の事件を軸にして10年という歳月にまたがって描き出している。

■前半の事件から、八重に助けられて八重が東京に出ていくまでのシークエンスは、人間の苦境、愛、悲しさ、欲望、そうしたものがうまく映し出される展開。そして後半が、まさに犬飼が捨て去ったはずの「過去」を知る存在として八重が現れ、彼女のそのけなげな気持ちが逆に当人の死を招くという皮肉。ラストの飛び込みは戦慄。
だが、10年後の展開は、特に書生を殺すところなどあまりに乱暴だし、犬飼の幼少期と事件前後の心境はもっときちんと描き出してほしかった。警察の動きはサスペンスとしてもぞんざいだし、人間ドラマならばもうちょい縮めていい部分。

■他のレビュワーさんも触れているが、やはりこれは「砂の器」と比較したくなる作品。隠しておきたい過去、過去を捨て去っての成功、過去を知る善良な人を殺す運命といった展開は、まさに「砂の器」を彷彿させられる。
しかし、だからこそ、だからこそ10年後の八重殺しをめぐる犬飼の心境と、最初の事件までの犬飼の苦境とをもっと描き出してほしかった。

■とはいえ十分満足の作品ではあるが
θさん [DVD(字幕)] 9点(2011-02-13 00:13:21)(良:1票)
43.《ネタバレ》 <原作未読>戦中、戦後を生き抜いた刑事たちから見ても犬飼多吉の生い立ちは悲惨なものだったという。それゆえ多吉の言葉には説得力があるが、この映画はそう見せておいて、真実は逆でした!と来るのかと思った。でも原作ではそうじゃないらしいので、以下勝手なことを書く。横領は立派な犯罪だが、それを元手にし財を築いた樽見は大金を社会に還元にしている。八重が訪ねて来たときの心中は察するに余りあるが、人を殺める理由には味村刑事の推理の方がしっくりくるのだが・・・。何はともあれ見応え十分の傑作であることは間違いない。
リーム555さん [DVD(邦画)] 9点(2010-10-20 21:33:00)
42.《ネタバレ》 良心を持ちながらもいざという時押さえきれない衝動、思い続けていた恩人に命を奪われる不条理を見事に描いた内田吐夢渾身の大作。地道に執念の捜査を続ける伴淳三郎が渋い。成功者が暗い過去を隠すべく殺人を犯すところは「砂の器」に通ずるものがあるが、「天国と地獄」も含めて個人的には邦画の3大犯罪サスペンス大作と評価しています。
きーとんさん [ビデオ(邦画)] 8点(2010-08-07 16:06:31)
41.《ネタバレ》 3時間という長い上映時間は全く飽きずに映画を堪能出来ました。三国連太郎、伴淳三郎、左幸子の重厚な演技は素晴らしく本作の屋台骨を支えています。特に前半のドキュメント的な不穏な描写は息を呑みました。中盤からの左幸子演ずる娼婦・八重が三国演ずる犬飼に出会ったことによって、生きる支えを得て力強く生きていたのに、再び犬飼と再会を果たした時のあまりにも皮肉な結末は胸に詰まります。映画的魅力が数多いのでこれだけで十二分に評価に値する映画だと思います・・・が・・不満もあります。まず再会した八重を犬飼が殺した後、たまたま目撃した若い使用人を殺害し、犬飼は二人の死体を海へ捨て心中という形で偽装しますが、これはお粗末過ぎでしょう・・八重は犬飼の新聞記事を所有したままだし、そもそも二人には何の関連性もない、すぐボロが出るのは目に見えてます(普通なら死体を発見されないように隠すはず)。実際にあっけなく犬飼が疑われて取調べされます。しかも、その犬飼の警察の捜査シーンは丸ごとカットで長々と刑事達が調査結果を報告するだけで捜査のサスペンスも感じられず味気ありません。あとは、ほぼ高倉健演ずる刑事と犬飼の会話のみで物語が進行するので前半と中盤の躍動と比べると、かなり後退した感は否めません。犬飼が事件当時に極貧の中、どこまで切迫していたか、その背景をもう少し時間を割いても良かったのでは?と思いました、そこが足りないので牢屋で犬飼が初めて慟哭するシーンもこちらにはあまり気持ちが伝わって来なかったです。色々不満を述べましたがトータルで見るとやはり、エンディング時には『あー映画を観た!』という満足感は得られてしまうので個人的には好きな部類の映画なんですね。
まりんさん [映画館(邦画)] 8点(2009-11-01 19:50:38)
40.なんと言ってもロケーションの素晴らしさと清濁併せ持った人間描写の緻密さに驚かされる。堂々たる和製サスペンスの珠玉。蛇足ながら、お茶なしでオニギリ二個をはぐはぐと食らう三國連太郎には、ハラハラさせられてしまった。ホント、蛇足。
aksweetさん [DVD(邦画)] 9点(2009-08-30 21:36:21)
39.久しぶりに、古い日本映画の骨太なサスペンスが観たくなり、週末の深夜のレンタルショップで今作のDVDを手にとった。

深夜の鑑賞で、183分という上映時間はさすがに長かった。
物語の題材も想像よりもセンセーショナルなものではなく、どちらかというとありきたりな部類のものだったので、淡々としたモノクロ映像の中で次第にまどろんできた。

しかし、ストーリーの展開以上に、映し出される登場人物たちの言動や、時代の風俗描写に惹き付けられる部分があり、そういう部分がこの映画の「力」なのだろうと思った。

時に緻密に、時に大胆に描き出される映画作りの空気感は、まさにこの時代の日本映画の力強さだと感じる。

ただ細かい展開を見ると、もう少しサスペンスとして面白味を持たせることもできたのではないかと思う。
10年という年月の間に絡む人間模様をもっと密に描くことができれば、それぞれの人間性や葛藤が更に如実に伝えられたのではないかと思った。
いまひとつ、それぞれの人間の感情が響いてこなかったことは、映画の性質上勿体なかった。

ただし繰り返しになるが、この大長編を独特の空気感で描き出すことができたこの時代の日本映画のパワーは物凄い。
現在、これほどの規模の大作映画の製作となれば、安易な商業主義に走ってしまうことは必至であり、今作のような特徴のある作品には成らないと思う。
鉄腕麗人さん [DVD(邦画)] 7点(2009-04-26 10:27:22)
38.《ネタバレ》  上映三時間、劇中10年間の歳月を、ある事件・人物にスポットを当てて追ったサスペンスプチ大河ドラマ。世紀の連続殺人事件というわけでもない、どちらかといえば地味な事件をここまで飽きさせずに追っていかせたのは、サスペンスに重きを置きすぎず、人間ドラマを主軸に、濃密な生活臭を撒き散らすことに成功しているからでしょう。
 ちょっとイってる左さんの快演は見事だし、主演の三国さんの不敵な表情も貫禄充分。サスペンスとしては地味ながらも、手抜きはなく、こちらに与える情報の量が絶妙で、こちらだけが知っていることもありながら、真相については知らされず、刑事側の人間の立場で物語を一緒に追っていけるような流れが巧い。
 ただ、前半部の事件の見せ方が良いぶん、後半の「コロシ」に関しては、ちょっと場当たり的というか、流れに無理矢理さを感じてしまい、物足りなく感じてしまった。
すべからさん [DVD(邦画)] 8点(2009-02-09 12:56:52)
37.《ネタバレ》 たいへん高い評価を受けている理由が良く分かりませんでした。
まず、犬飼・八重・弓坂の誰にも共感できなかった。終戦直後の貧困=飢餓がそれぞれの人生を変えてしまったということだと思うのだが、その飢餓がリアルに響いてこなかったからだろう。八重を例にすると、貧農の出自ゆえに娼婦をやっていましたが、あんなに素直に健気に爛漫に演じられると幸せそうに見えてしまう。犬飼に関しても、八重の握り飯を見つめる表情には力があったけど、自分は一時的な空腹と思っていました。戦後を知らない人間にとって、飢餓的状況とは想像の範囲外で、映像の行間を読めませんでした。
また、八重の殺害シーンだけど、あんなふうにむしゃぶりつかれては、犬飼じゃなくても怖くなります。犬飼に殺す動機があったのは確かだけど、あのシーンは犬飼に同情します。
その犬飼も極悪人という類いの犯罪者ではないので、犯人として追い込まれて行く過程にカタルシスを覚えなかった。
海峡を渡ることは犬飼にとって、飢餓の彼岸へ渡ることと同義だったのだろう。その行程で犯した殺人が、どれほど犬飼を苛んで来たかは想像するしかないが、証拠能力の無い灰に観念するほどとは思わなかった。弓坂も、犬飼の自責の念に期待して灰を見せたのだと思うが、ちょっと出来すぎの感がありました。
現代のサスペンスを見慣れた目で見ているせいなのか、メインの3名の行動に微妙な違和感を感じてならない作品でした。
アンドレ・タカシさん [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-01-30 01:28:18)
別のページへ
【新規登録順】 / 【変更順】 / 【投票順
1234
マーク説明
★《新規》★:2日以内に新規投稿
《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 76人
平均点数 7.64点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
545.26%
61317.11%
71823.68%
81722.37%
91925.00%
1056.58%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.66点 Review6人
2 ストーリー評価 7.71点 Review7人
3 鑑賞後の後味 7.71点 Review7人
4 音楽評価 8.00点 Review3人
5 感泣評価 7.66点 Review3人
chart

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS