22.良く言えば、維新後も古き良き侍スピリッツを持ち続けた人々の美しい人々、悪く言えば、時代の変化についていけない古臭い不器用な人々の物語といった印象で、浅田次郎らしい?作品ではある。桜田門外の変という史実をベースとした全くの創作モノでオチも予想通りではあるんだが、仇討テイストはちょっと任侠映画風でもあるし、幕末・維新に興味がある人にとってはそれなりに楽しめるのではないかのと。中井貴一は相変わらずだが、阿部寛はこういう役もできるんだなあと感心。 |
21.《ネタバレ》 外桜田門の変に端を発した、十三年間仇を追い続け、追っ手を待ち続けた男たちの物語。 追っ手は井伊家幕府大老掃部頭の元近習志村金吾、仇は水戸家の脱藩浪士佐橋十兵衛。いずれも死ぬ時宜を失ない、仇を追いそして追われる身となる。 この作品は武士の矜持と人生の再生が大きなテーマであるように感じた。主人公の金吾がいかにして仇を許し人生の再生を試みるに至ったかの心理描写が弱いのが残念だが、ラスト間近で金吾が仇である十兵衛に邂逅し、ともにこの十三年間死に場所を求めていたことを知り、心の深い部分で共感しあえる何か、二人にしか分からないもの、が人生をやり直そうと決断するに至る大きな要因であったようには感じた。 個人的にはこの終わり方は好きだ。ラストに金吾が妻を迎えに行き一緒に帰るのもよかったが、十兵衛が(十兵衛に思いをよせる)マサのもとへ行きマサの思いに応える意思表示をするのがほのぼのしていて、十兵衛が人生をやり直そうとする気持ちが伝わってきて後味がよかった。 なお、幕末の大老井伊掃部頭直弼は毀誉褒貶相半ばする。井伊側の視点でみると「花の生涯」となり、水戸側の視点でみると安政の大獄の張本人「赤鬼」となる。 【kainy】さん [地上波(邦画)] 7点(2021-04-12 18:25:23) |
20.まるで話題になることもなく、レビューも軒並み低評価なので、どれほど駄作なんだろうと期待して見たのですが、案外マトモでした。日本映画が得意とする「天才○○」や「超人○○」が出てこないだけでも立派。きっと原作がしっかりしているのでしょう。 しかし面白いかと言えば、そこは全力で否定したい。とにかく間が悪くて退屈で、何度1・5倍速ボタンを押そうと思ったかわかりません。しかも結局、ドラマらしいドラマもなし。「13年」の重みも、時代の変化の早さも、まったく伝わってきません。主人公2人の心の機微を描いたつもりなんでしょうが、機微過ぎます。 久石譲の音楽だけ、気の毒なほど印象的でした。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2018-05-10 00:34:29) |
19.肝心の井伊直弼がどういう人物だったのかをさっぱり描いておらず、「その辺にいそうないい上司」程度の扱いである時点で、志の低さが透けて見えるわけなのです(そしてもちろん、出発点がそのように適当なのであれば、ドラマが始まらない)。その後も、やっつけ感満載のスカスカな脚本と、重みのかけらも感じない美術&照明が最後まで続いてしまい、つまり、どこを見ればいいのかがさっぱり分かりません。13年がどうのこうのと言いながら、年月の経過もまったく表現されてないしね。したがって、役者陣からも、テンションの低さが見て取れます。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2018-04-25 02:40:09) |
18.《ネタバレ》 あだ討ちものはだいだいもっと寂寥感を伴うと思っていたので、ハッピーエンドなんでちょっとびっくりしました。 上官の奥さんが横からお茶を出す時に、口出すところがちょっと嫌だった。 【紫電】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-10-14 18:07:38) |
17.《ネタバレ》 ラストには賛否あるでしょう。私はあれで良かったと思います。互いに死にぞこない、時が止まったまま人生を落胆して生き永らえながら、互いが目前に現れるのを待ち続け、ようやく出会った時には互いを許し共感し心を溶かし前進していく。不条理な決闘もお涙で好きなんですが、なんだか新鮮でした。許しって大事ですね。難しいけれど。ただ侍魂の志村がこれからの文明に対応して働いていけるかが心配。個人的には借金取りに正義感あふれる元侍が次々に名乗り出るシーンがニヤついてしまった。「姿形は変わろうと、捨ててはならぬものがある。それも文明ではござらぬか」には同意。最近の日本は捨てすぎてるのが文明になっている気がしてならない。マイナス1点=まさかのミサンガ頼み。そして井伊直弼を演じる吉右衛門さんのカツラおよびメイク担当者。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-06-03 14:52:08) |
16.これは嫁さんがかわいそうだ。とりあえず働け。しかも理由が主君の仇。極論だけど、今なら社長の仇か?そんなふうに見てしまった俺には共感できなかった。そもそも、相手を見つけた時に仇討ち禁止令が公布という安易な設定も残念。 【ラグ】さん [DVD(邦画)] 3点(2016-04-29 23:44:40) |
15.《ネタバレ》 ストーリーは良い。男臭く日本ならではのわびさびが表現されている。慎ましく美しいと思う。だけどこの映画、中だるみが存在していて、セリフの無いカット、表情だけのシーンが多用されていて、テンポが悪い。もう少し時間を短くして表現できたら良い映画になると思うなぁ。あとセットが安物っぽい。雪がどう見ても粉。牡丹が美しくない。細部がどうにも出来が悪い。 【Keytus】さん [DVD(邦画)] 5点(2016-02-22 23:57:16) |
14.文明開化と武士の矜持の対比が興味深かった。 井伊直弼を魅力的に描くことに成功しているのが後の展開に説得力を持たせている。 まず序盤に盛り上がりがあって、中盤はやや単調ではあったけど、終盤でまた盛り返したと思う。 阿部寛が美味しいところを全部持って行っちゃうんじゃないかとハラハラしたけど、中井貴一も負けてなかったね。 広末涼子は地味過ぎてどうかと思ったけど、ラストは泣かせてくれたよ。 あと、真飛聖がいい女過ぎて、かなり浮いてた。 掃き溜めに孔雀くらいの勢いで。 【もとや】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-02-21 13:12:22) |
★13.《ネタバレ》 雰囲気・音楽ともに良く、昨今の邦画には少なくなった重厚な仕上がりになっています。ミサンガに関しては散々ツッコまれているようなので割愛するとしてどうにもラストが残念でなりません。この映画の肝は仇討の旅の果てに見つけ出した仇討の相手を切らない、それは何故か??ここにあると思いますが、その場面の描き方イマイチで残念でなりません。 十兵衛が新時代に適応してこの世の春を謳歌していたら金吾はどうしただろう?おそらく斬り捨てた後に 切腹して武士の矜持を貫くという流れになったでしょう、よくある時代劇でもあります。しかし、現れた仇討相手は自分と同じく13年の間時間が止まっているような人物だった。斬らなかったのは、主君直弼の言葉ではなく、相手も自分と同じような苦しい13年間を過ごしており、それが分かったため、仇討する必要がなくなっただけではないだろうか? 金吾にとって、切腹する、仇討をする、仇討相手を許す、どれも桜田門で主君直弼を守れなかった自分という人間をどう正当化するかの方法の違いではないかと。切腹は責任を取ることで、仇討は苦しみを相手に与えることで、許すのは、すでに相手が同じだけの苦しみを受けたと分かったからではと思うのです。直弼の言葉や考え方は、後付でしかないのではと。 金吾という人物が桜田門の事件から、そして自分というものから、正面から向かい合っていないような印象を与え、それが不完全燃焼な感情を呼び起こさせてしまうので、ラストは、私にとってはどうしてもイマイチでした。 【ペリエ】さん [DVD(邦画)] 6点(2015-08-24 01:54:45) (良:1票) |
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12.重厚な創りで、シリアスな展開は、良作の臭いがプンプン..とてもイイ感じです..しかし、、物語が進むにつれ、肝心のストーリーが、あまりにも 陳腐..共感できない(&落胆)..同じ時代劇の 「たそがれ清兵衛」 は..気がつくと感情移入してて、ラストは感動的で清々しい気持ちに..「用心棒」 は、とにかく 起承転結 がしっかりしてて、ストーリー展開が秀逸..本作はどうか..武士としての苦悩と生き様が描かれた、こだわりのストーリー..映画として時間もお金もかけてるし、監督の演出も俳優陣も、問題なし..なのに、なぜ映画として全然面白くないのか..それはひとえに、観終わった後、素直に 「いい話だ..」 と言えないところ..そこが最大の欠点!..映画として一番大事な “肝” が抜け落ちています..残念... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 5点(2015-08-09 12:44:58) |
11.《ネタバレ》 再見。2度目の鑑賞の方が感動した。 この侍は、仇討ちを遂げた後、切腹するつもりだった。 その奥さんも、亭主の仕事を見届けて、自害するつもりだった。 そんな緊張感の中での夫婦の安らぎの時。 それが食事を分け与えるシーンである。 しかし時代は変わる。仇討ち禁止令が出たのだ。 (この時代の変革を見事に描写したのが、商人から金を返せとの騒ぎで、かつての侍たちが見過ごせず名乗り出るシーン。これが最高なのですね) 仇討ち禁止令が出て、果たして、刺客と出会う。 ただ何故9点にしたかというと、ここで刺客に生きろというシーンでの説得力が僕には今一つだった。 尊敬する主君が、自分の身をかえりみず、命がけで訴えた直訴を聞いてやる、そのことに 命がけでやる行為への敬意を、中井貴一演じる侍も見習うといったところか。 もう仇討ち禁止令が出ている。 その禁止令が出た時の侍の葛藤を描いてほしかった。 そして、その煩悶の末、刺客と相まみえる、その過程を丁寧に描けば、この映画は僕には満点だった。 もう一つ、この夫婦に幸あれ、ってことで、ラストの手をつなぐシーンは、 奥さんから手を握れば良かったのでは、と思います。 でも傑作です。 【トント】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-07-25 21:24:34) |
10.「姿形は変わろうとも、捨ててはならぬものがある。それも文明ではござらぬか」というセリフは、「まぁ、そうかな」とは思うが、文化というのか、歴史を歪曲するようなミサンガはまずいと思うのが・・・ 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(邦画)] 5点(2015-07-19 01:10:01) |
9.《ネタバレ》 全編を通じ「この映画、お金かかけてないなぁ」という印象の中、映画としては楽しめました。 日本文化・日本人の「古き良き清さ」が滲みでています。 妻役の広末さんが魅力的に見えないのが残念。「おくりびと」の時も思ったんですよ… 【たかしろ】さん [DVD(邦画)] 6点(2015-06-11 15:05:47) |
8.《ネタバレ》 何とも言えぬ、情緒あふるる映画だろうか。私たち日本人の奥底に、失いかけていたものを呼び覚ましてくれる。実に味わい深い映画だ。多くの日本人が、自分の中の「日本人」と真摯に向き合わなければいけなかった混迷の時代。尊厳や威厳、誇りを持って真っ直ぐ生きる美徳。そういった精神が、西洋文化で近代化していく中で、徐々に過去の遺物と化していく様は、非常に心苦しく切なくなります。そんな時代背景の中で、まさにその象徴であるかのような中井貴一と阿部寛が繰り広げる物語に、私はすっかり魅了されてしまいました。特に、自分の意志ではなく、あくまでも主君の言葉、命によって仇討をやめたところが、最後まで武士を貫き通していて満足のいく終わり方でした。西洋のまじないによって東洋の伝統や風習が打ち切られる演出は、もどかしくもあり清々しい、とても奇妙な心情になりました。「姿形は変わろうとも、捨ててはならぬものがある。それも文明ではござらぬか」心に一番響いたセリフです。 |
7.《ネタバレ》 幕末から明治という時代の激流に翻弄された武士の哀愁の時代劇である。 阿部寛、中井貴一、藤竜也の演技は時代劇として違和感なく好演で見る価値はある。 明治維新後、廃藩置県により依るべき藩も幕府も無くなり武士の身分も剥奪された金吾が何故13年もの間仇討ちをせねばならなかったのか。 それは家禄の復旧でも汚名の返上でも無く、ただ主 井伊 直弼が好きだったから…。 この肝心な動機を示唆する描写が冒頭の近習を裁可する場面だけだった為、説得力が持てず金吾に共感出来ないのが残念だった。 役目を果たせず死ぬべき場所を奪われ時代に取り残された武士が仇討ちに執着するのは、それが残された唯一のアイデンティティなのか。 妻に食べさせせてもらいながらも成さねばならぬ事であったのか…。 そこにはもはや大義も何も無い。 あるのは武士の矜持という妄執である。 十兵衛との出会いにより武士の矜持は残しつつもその妄執からは解き放たれ新たな時代へと踏み出す。 それは同様に時代から取り残された十兵衛も同じであった。 静謐で余韻を持たせるラストは心地よい。 映画に格調を持たせる久石譲の音楽も出色である。 難点は時代考証も丁寧に作ってある為ミサンガは蛇足だった。 ハイライトの桜田門外の変のアクションも斬られた際に流血が無い為リアリティと迫力に欠けた。 金吾の動機に説得力を持たせる演出、場面があればもっと作品のクオリティが高くなれてたのが惜しい作品である。 【ryujin】さん [DVD(邦画)] 5点(2015-04-13 03:13:23) |
6.《ネタバレ》 浅田次郎原作の武骨な本格時代劇。主君・井伊直弼暗殺を許してから13年の時を経て時代が変わってもなお、仇を追い続けるサムライ。そんな武士の衿持を保つためだけに生きた漢のお話です。刻々と迫る運命の瞬間。中井貴一と阿部寛、日本刀がよく似合う俳優お二方がぶつかり合う殺陣シーンは、劇中を終始流れる張り詰めた凄味の極み。あれだけの執着を持ちながら目の前の仇を斬れなかった漢。無念としか言えません。それでも良作には違いありません。 【獅子-平常心】さん [映画館(邦画)] 7点(2014-12-31 20:53:18) |
5.《ネタバレ》 やはりミサンガの違和感はぬぐえません。これをすんなり受け入れられる人はいないんじゃないでしょうか。 【海牛大夫】さん [DVD(邦画)] 5点(2014-12-29 14:35:09) |
4.《ネタバレ》 メインキャストが中井貴一、阿部寛、広末・・・ということで安心して見れました。 その中で意外だったのは、直吉(阿部寛)に惚れているバツイチ女役の真飛聖が可愛く見えたこと。 余談ですが、チョイ役出演の吉田栄作には「老けたな~」の印象。そして、もっとチョイ役出演の堂珍を気の毒に感じてしまいました(^^; 結末としては、とにかく”いい話”。それまでの展開をすべて台無しにするほどの”いい話”でした。 これは時代劇の皮を被った古き時代のトレンディ・ドラマか?さすがにミサンガには興醒めしてしまいました。 【午の若丸】さん [映画館(邦画)] 6点(2014-10-22 22:11:26) |
3.《ネタバレ》 結構、真面目に作ってるかなと思って観ていたやさきに、ミサンガだもんなあ。ひょっとしてこのドラマの脚本書いてる最中にあまちゃんでもやってたんだろうか。 もう、るろうになんとかとか雷桜とか、最初からふざけちらした時代劇もどきなら、ミサンガでもスマホでもラインでもなんでも出してもらってかまわないんですけどね、これみたいに一見重厚な本格的な時代劇を装いながら、いきなりミサンガwwwww。 自分が自負心のある歴史学者だったらミサンガ出てくる「時代劇映画」に歴史考証として名前を出されることなんか絶対嫌ですけどね。 あと先の方が述べてる井伊大老の呼び方はさほど気にならなかったけど、自分が気になったのは、かわらばん屋の軽薄さ、適当さ。江戸幕府がまだあるうちに町人が「徳川」とか呼び捨てにしたら、その時点で斬首です。廃藩置県なんか瓦版にのしても江戸の町人は買わないだろうしw ということで、一見真面目さを装いながら酷い手抜きや悪ふざけがある脚本だなと。 花のあとはすごく真面目だったのにどうしちゃったんだろう、この脚本家 【rhforever】さん [映画館(邦画)] 5点(2014-09-30 21:04:38) |