15.《ネタバレ》 苦手な竹原ピストルが出ずっぱりかと思ってたけど、短編的な体裁の作品でホッとした。 三浦誠己のパートが一番好き。 特にスナックでの、しょーもないイザコザ。 見ていて楽しくはないけど、人生が凝縮された一幕だなぁと。 あと感じたのは、やはり自分には田舎は向かないって事。 人間の関わりが濃密過ぎる。 一期一会の逆って感じ。 これは息が詰まりそうで、自分には無理。 この作品は実に映画的な味わいがあったのが救い。 テレビドラマでは出せない趣きを持っている。 映画を見たという満足感が得られた。 【にじばぶ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2021-04-14 23:57:00) |
14.《ネタバレ》 暗い救いがない、と有名な本作ですが、実を言うと、函館山の山頂から見た日の出のあまりの美しさに感動して、最初のエピソードから私は涙が出た。だがしかし、その光景を目にしながら兄は将来を悲観して自殺することを決心した。希望と絶望は紙一重であることを痛感させるエピソードのように思えた。 そして、土地開発によって立ち退きを迫られる老婆、プラネタリウム男、無能でパワハラ志向で浮気性でDVの二代目社長、、全てのエピソードとその主演者には、一つ共通点がある。それは家や歴史に頑なに執着していること。つまり彼らはみな、未来を見据えることができず、過去にすがって生きている、ということ。 救いがないエピソードの羅列だが、「函館」という街の衰退を描いた疑似ドキュメンタリーとしては秀逸だ。 ちなみに、函館山から望む市街地の夜景は「世界三大夜景」なそうだ。 美しい光の群れ、、もしこれから観光で訪れたとしても、それがSOSの救難信号に見えそうで私は少しだけ心配している。 【タケノコ】さん [DVD(邦画)] 6点(2020-11-20 14:22:35) |
13.《ネタバレ》 ドラマティックな展開は殆ど無いのに、約2時間半ついつい見入ってしまいました。 退屈と漠然とした不安が漂う地方都市に住む市井の人たちの日々の呟きを、上手く切り取ってつなげ、一つの作品にしてしまう佐藤泰志の才能と、80年代に創られた原作を今の時代に持ってきて上手く映像化した熊切監督の技量が上手くマッチしています。 地方都市が80年代に「変わりゆく日本」に乗っかろうとしながらもどこか取り残されていく姿が、現在「変わりゆく世界」に取り残されそうになっている「日本」にどこか被っているように感じられ、この作品が現在再評価されているのも理解できます。 内容については、やはり最初の物語のエピソードに漂う虚無感がこの作品のキモなので、そういう意味で、谷村美月と竹原ピストルのキャスティングが見事にハマっていて作品全体のクオリティも引き上げていると思います。 後は、とにかく「猫を抱いた婆さん」のインパクトの強さですね。この人を見つけてきた熊切監督の眼力に感服しました。 【TM】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-10-04 10:07:16) |
|
11.ひたすら暗く、起伏に乏しい物語が延々と繰り広げられます。長いです。昼寝をした後だったおかげで最後まで寝ずに観ることができたようなもんです。見所としては函館の風景くらいしかない。雰囲気はとてもいいです。ただ、延々とつまらない不幸話を聞かされても気が滅入ってくるばかりで、私にはこの映画は合いませんでした。 【ヴレア】さん [DVD(邦画)] 3点(2014-08-27 23:27:25) |
10.暗く救いようのないストーリーばかり、最初の「まだ若い廃墟」はまずまずだったが、後はおもしろくない。特に暴力をふるう「裂けた爪」なんか最低。気分が悪くなるだけだった。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 2点(2014-07-30 17:08:17) |
9.《ネタバレ》 ‥‥あの飲み方で、八千円なら安い! やっぱり、地方はイイね! 【keiji】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-08-15 17:50:10) |
|
8.《ネタバレ》 我々は、この話に救いはないだろうという事はもう分かってる。地方の衰退というのは、自分も身近に感じるし、新聞などを見ても分かる。なのに、不安を観客に押し付けるような内容にはなってなく、最後まで見せる。150分も長く感じられなかった。熊切監督は、地味ながらも確実に作品を残してきてる。力を感じさせる監督である。まるでドキュメンタリーのような暗い映像の中で、物語冒頭の谷村美月のまっすぐな目にひきつけられ、その孤独な生涯をタイトルを見せる前に教えてしまい、それでも最後まで我々を画面にひきとめたもの、それは彼女の目線同様、監督の誠実な映画創りだったように思う。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-05-22 23:58:23) |
★7.《ネタバレ》 なるほど、たしかに暗い。つい最近、18切符で、その函館に行った。かなり衰退していた。観光雑誌でみる函館とはあまりにも違い過ぎた。しかし映画の映像は、そんな函館の衰退よりも、そこで暮らす人々の「家」にスポットを当てている。まず一話。兄妹が暮らす家、そこは星飛雄馬の家にあるような、ちゃぶ台が置いてある。家の中なのに、よほど寒いのか、2人とも厚着をしている。そのうえ、光が全く射さない暗い家。私がそこに住んだら、おそらく一か月間でうつ病になる。ちなみに兄は自殺した。さもありなん。第二話。立ち退きを迫られる老婆の話。おそらく老婆は死ぬまでその家で暮らすだろう。しかし、くたばっても、死後1か月は死体が発見されない気がする。それでいいのか?そんな家、捨ててしまえよと思う。三話。プラネタリウムで働く低収入の男が、妻と息子から、死ぬほど嫌われている話。男は妻や息子と会話しようと試みる。しかし空気のように無視される。だったらなぜ離婚しないのか?無性にイライラする。老婆にせよ、プラネタリウム男にせよ、お前らは何にしがみついているのだ?お前らは故郷に執着しているのか?いや違うだろうな。お前らは家族に執着しているのだろう?しかしお前らに言いたい。家族なんて家電となんら変わらない。次に4話。妻に暴力をふるうDV夫の話だ。夫は血が出るまで妻を殴る。妻は精神的に病気になって息子を虐待する。完全に壊れた家電家族だ。地方の衰退という1つのメタファーを通じて、どの章も、崩壊家族が描かれていた。しかもこの手の映画で必須であるはずの、家族の再生が描かれていない。もし、お前らが故郷から脱出するだけならば、単純に電車やバスに乗ればすむだろう。しかし、お前らにとって、それが本質的な受苦からの解放につながるのか?それは不可能なのだ。映画は何の解決策も示さずに幕を閉じる。この映画は不幸の大バーゲンセールでもやっているのか? 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 0点(2012-09-17 23:00:37) |
6.《ネタバレ》 ロケ場所が函館であることはすぐに分かるのですが、あくまで海炭市という架空の街の出来事、というスタンスのようです。「叙景」とは風景の文章化。その映像化は、いわばドキュメンタリーってことなのでしょうか。確かにストーリーらしきものはありません。生きることのつらい部分、重たい部分、荒んだ部分ばかりを抽出します。それにどんな意味があるのかは分からないのですが目が離せない。「不幸」が持つ緊張感とか緊迫感がそうさせるのでしょう。劇中、再開発のための立ち退きを求められる婆さんのエピソードがあります。再開発があるくらいだから、別にこの海灰市は廃れて行くだけの街ではないはずです。でも、登場人物たちは「開発」という言葉とは無縁の場所で生きているように映ります。開発の裏側というか、街の代謝とは関わらない場所というか…。そして、海炭市に限らず、人が生活する場所には必ず「明るい部分とは縁のない人たち」のいることが漠然とイメージされました。この監督の作品は納得できないものが多かったのですが、本作は原作アリということもあってか、筋が通っている方だと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-04-23 23:45:46) |
5.海炭という地名からは、滅んでいった炭鉱町のイメージが呼び起こされ、最初の造船所のエピソードの絶望的な組合運動の姿なぞ歴史を思い出させる。消えるまぎわの炭の最後のほのかな明るみみたいなものを描くのかと思った。きれいなんだ、あれ。でも観ていくと、これ炭の最後の明るみと言うより、ほとんど灰の世界。グレーで一貫している。全員うなだれ、負のカードばかり拾い集めているような侘しさが募る。暗い屋内で市の暗いニュースを報じるテレビ画面ばかりが明るい。たしかに題名で「叙景」と断わっているのだから、芯のような手応えを求めてもお門違いなんだろうが、とことんうなだれたこの世界は、ちょっとキツかった。いっそ叙景に徹し、息を殺して見詰めないではいられない映像で押してくれれば、こっちもそういう姿勢をとったものの、こちらの眼力が弱かったのかも知れないが映像にそれほど引きつける力が感じられず、中途半端に「文学」が残ってしまっている気がした。その「文学」の部分だけでは、「なるほど現在の地方都市はこうなのか」と新鮮な角度からの発見は得られなかった。こちらが勝手に「ルポルタージュ」を求めてしまっていたのかも知れない。最後路面電車を巡って、登場した人たちが出てくるあたりはちょっと浮き浮きしたが、あまり絡み合わず、ここもあくまで「叙景」。プロパンボンベのそばでの煙草が一番ドキドキした。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 5点(2012-02-27 11:01:24) |
4.《ネタバレ》 何回通ったか分からない通勤前の坂から町を見下ろす景色、何千回と見たであろうプラネタリウムと妻の背中、数えきれないぐらい下ろしたガスボンベ。 そんな日常にすがりつこうとする者、変えようとする者。結果はどれも日常の強さに押しつぶされて決意も希望を埋もれていってしまう。 年をとるにつれて子供の頃に当たり前だと思っていた日常がどれだけの苦労と忍耐の上に成り立っていたのかに気付きその偉大さを知る。 程度の違いはあれどそんな日常たちと戦いながら折り合いをつけながら必死に生きていく人間たちの姿を老婆の手がやさしく肯定し認めてくれているように感じました。 【ちゃじじ】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-02-04 08:47:26) (良:2票) |
3.う~ん..期待していたものとは、まったく違っていました..短いエピソードを寄せ集めたような作風は、如何なものか..もっと重厚で、深く、一本筋の通ったヒューマンドラマを期待していたのに..作品としては、リアルと言えばリアル..しかし、救いようのない、負の連続で、観ている方が滅入ってしまいます..物語としての面白味、共感、感情移入、高揚感、といったものは、皆無..映画として、残念... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-12-26 17:24:45) |
2.《ネタバレ》 この映画、凄く静かでジトーっとしている。序盤のエピソードは特に。 でも、不思議と退屈な感じはしない。慣れれば、すーっと観られる。2時間半もあるけど、それほど長さは気にならなかった。映像と音楽と役者が良いからだろうか。 この映画、暗い。でも暗いだけじゃない。明確なラストが用意されているわけじゃない。 でも、不思議とそこまで後味が悪くなく満足感があるのはラストの良さのせいだろうか。 普段の僕なら、「クソ退屈の暗い映画!」と言ってもおかしくないようなタイプの映画なんだけど、なんかそう言うのとも違う。 うまく良さが説明できないけど、これは良い映画だったと思う。 これ、年末観に行けばよかったなー。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-01-30 11:09:11) |
1.小林薫、加瀬亮ですら、登場当初はそれと判別できない。南果歩に至っては最後まで気づかなかった。それほど、彼らの風貌は地方都市生活に馴染んだ趣をみせる。 現地の素人キャストらが演じる脇役たちの佇まいも、生活実感に基づいたロケーションや照度を落とした映像と相俟って見事な存在感を放つ。 夜半から夜明けにかけての函館山からの望遠や路面電車の風情など、当地映画としての魅力も強かに保持しながら、北海道ロケ作品にありがちな美景ショットや、安易に心象を仮託するような情景ショットに陥っていないのは、まずもって生活地としての風土の叙景に徹している故だろう。 その上で、小林薫の一家が見上げる美しい夜空や竹原・谷村の兄妹が手を繋いで渡る踏切と坂道、あるいは白く煙る半島を三浦誠己がフェリーの甲板から見つめているショットが深い情感を呼び込む。 兄妹の繋ぐ手、猫を撫でる老婆の手、酔漢を制する手など、冬の映画の中で手のアクションがささやかな温もりを伝えている。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-01-29 15:50:02) |