1.《ネタバレ》 レトロアクティヴヴィジョン(逆作用視覚)ってのがポイントで、見たものを遅れて認識することがある、っていう角膜移植後の後遺症、これうまく使えばいいサスペンスになれるモチーフなのに活かせなかった。主人公が今ぼんやり見えているものが、もしかすると過去の出来事かもしれない、という不安を感じてないみたいで。普通のスリラーの、犯人の像が現われる不安だけになってしまっている。現実感覚の不安になってないの。もったいない。それに元盲目なら、相手が闇の中で襲ってきたらこっちのもんでしょうが。なんかせっかくの新味を出せる設定を、いままでのスリラーの手続きだけでこなしてしまったみたい。移植した先をたずねまわるイビツな愛って動機はいいんだけど。