55.「愛されずとも愛する」「愛されても愛せない」想いが描かれた作品が数ある中で、本作は私にとって最上です。愛した人が他の人を心底愛しぬいている。その姿を見せつけられ悲しみや苦しみにのたうつ時、その思いから逃れたいため憎しみが沸き起こってきそうな時、仕立て屋イールの生き様が思い浮かびます。彼はどんな状況であろうと愛する事を喜びと感じ、どんな結果になろうと「止む無し、悔い無し」と割り切れたのです。本作から最近考えさせられる事が、残りの日々を負の感情に支配されたまま過ごして生涯を閉じるのか否かという事です。やはり後者でありたい。ならば、どう生きるかであって、どう思って欲しいかではないのでしょう。 【前回の変更から4年が過ぎて思うこと】人を好きになる、なれないは理屈ではない事を達観できるには時間がかかります。イールを見て直ぐにイールにはなれないものです。 |
54.究極の片思い映画。ボクシング会場での、彼女の胸元のシャツから2本の指を入れるところが、最高にエロイカでした。その時の彼女の表情ときたら、もう、たまりません。 主人公は、俺だ。そして、あの女は、嫁だ。俺も、いつかは屋根から落ちて、そして落ちながら窓にうつる嫁の姿を見るのだろうか。 【こまわり】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-11-13 15:20:35) (良:1票) |
53.アメリカ映画にはないこの雰囲気が物凄く好きです。わずか80分という短い時間があっという間に終わってしまったと思えるぐらい面白かったです。あの女優さん、作品の中では最後は嫌な奴だなあと本来なら思える筈が何故か憎めない。私好みの女性だからかもしれません。それにしてもラストは本当に切ない終わり方!フランス映画ならではの終わり方!サスペンス映画としても見所満載で何度も観たくなる不思議な作品です。マイケル・ナイマンの音楽も凄く好きです。 【青観】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-07-10 22:53:39) (良:1票) |
52.とにかく視る。次に嗅ぐ。そして優しく触れる。対象を決して傷つけず、所有しようとしない仕立て屋の愛情表現は、どんな熱烈な愛の言葉や激しいセックスよりもエロティック。仕立て屋の決して見返りを求めない愛情は、どんな恋愛感情よりも深く純粋。そして彼にとっては、女がどういう人間でも構わない。ただ彼が愛した女というだけで充分。だから仕立て屋は、後悔せずに愛に殉ずることが出来た。余りにも切ないけれど、これは幸せな幕切れ。これだけ高尚な愛に生きた男を変態と呼ぶなかれ。勃起したペニスを突っ込むことしか考えていない輩こそ、本当の変態です、7点献上。 【sayzin】さん 7点(2004-12-24 00:10:47) (良:2票) |
51.主人公は確かに変質者でもあるけど、それ以上に異端者として描かれてたと思います。映画としては、やっぱり彼に同情してしまって、あの女はヒドイ!と思うのだけど、もし自分があの女だったとしたらきっと同じ事をするに違いない。最後刑事さんに真相が明かされたのがせめてもの救いかな。 【羊飼い】さん 8点(2004-12-18 01:46:53) |
50.《ネタバレ》 ミシェル・ブラン演じる仕立て屋の目線と、まるでブラック・ジャックのような風貌が如何にも怪しくて良い。女はなぜ男に近づいて来たのか、殺人とは一体どんな関係があるのか?という謎が解明されていくストーリーの巧みさには思わず唸らされる。最後はイールが落下したところで終っても良かったかな、とも思ったけれどやっぱり手紙の文章は秀逸。 【かんたーた】さん 8点(2004-12-12 19:23:07) |
【PAD】さん 7点(2004-10-13 15:24:44) |
48.《ネタバレ》 正直、変態なおじさんのイール氏。でも切ない、切な過ぎるんです。ささやかな希望の陰で淡々と、そして確実に進む裏切り。アリスがしたたかな女性だと知っていても信じて守ろうとする主人公にいつの間にか味方してました。イール氏には救いがあったのか真剣に考えてしまいます。 【yumio】さん 9点(2004-10-09 00:19:17) |
47.ルコントの世界って感じです。この行き場のない自己中心的で鬱屈した精神状態が◎。 【かじちゃんパパ】さん 7点(2004-09-13 09:40:41) |
46.ボーリングシーンには笑いました。いい作品ですね。上映時間80分ってところも良い。 |
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★45.《ネタバレ》 何年ぶりでしょう、再見したので再投稿してみました。 いちばん魅力的なのはやはりこの邦題です。しかしこれって「恋」なのかなぁ、「仕立て屋の趣味」としたほうが何かしっくりくる気がしないでもない。 イールという人はとにかく自分のペースを乱されることを嫌う人のようだ、そういう人にとって人づきあい、とりわけ恋愛は現実、厄介なものなのではないかな。 性処理はもっぱらお金を払ってプロにお願いしている、そういう場所では自分が女を選ぶ立場であり、尚且つベッドに誘うまでの行程が省けるワケです。 映像、演出と雰囲気とセリフのおかげで俗物的で下品にはならないものの、エロティシズムを感じることはまったくなかったです。 憧れた女を毎日覗き、その女にはロクでもない男がついていることを知ったまではよかった、しかし覗いていることを知られたことでその女が結構したたかで性悪だったことも知ってしまう。真実をつづった手紙の存在が私としては引っかかるのよね。お守り?天使だった女への「絶望」とも受け取れる。 パトリス・ルコントという人は女に対して勝手な妄想とか願望の強い人なのかもしれないとも思いました。 【envy】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2004-08-14 19:52:16) |
44.《ネタバレ》 中盤までの退屈な展開から、このまま逃避行で終わりかな、と単純に思っていたので、ラストの人間関係の「本質」が凝縮されたような、皮肉で非情な結末には強く心を打たれた。 「他者に対する執着」は「自己愛」と表裏の関係にある。愛や自尊心は、他者からの認識を必要とするものであり、だからこそ、自分が傷つきたくない人間は、自己に対する評価が剥き出しにされる人間関係を忌避するのだろう。 大切なのは自分の価値を他者に委ねるのではなく、自分で価値を作り出すことと、その価値すら「相対的関係の元に始めて成立するものである」という認識を常に持っておくことだ。他者ありきの流動的価値は、その関係性が崩れた時、即、自己の立脚点を見失う危うさがあるからだ。 この仕立て屋も自己の価値を他者に委ねてしまう弱さがあった。人間関係を否定してきたのは、自分の価値の無さを認識したくないからであり、それを認めてくれる人間が現われた時の脆さがよく表現されている。 ラストのセリフすら、「彼女に対する愛を貫く利他行動」を示すものではなく、自分の立脚点を否定したくないためのエゴイズムでしかない。人間関係の本質を考える点で、これだけ純然たる作品にはなかなかお目にかかれない。 【FSS】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2004-08-14 10:13:20) (良:1票) |
43.切ないけど、ちょっと気持ちわるかったりもする。でも、途中でやめたくなるほどではない。 ほかの映画と比べたらかなり短いところが、むしろこの気持ち悪さを面白さや共感に転化させる要因になっていると思う。 つまり、この映画の成功は長さにあり、と言いたいわけ。 ルコントに比べると、長さに鈍感な監督が多すぎるんじゃないの?と思いますね。 【おばちゃん】さん 7点(2004-07-11 23:06:53) |
42.迷わず3点!退屈すぎてダメでした。独特感が理解できず、内容も申し訳ないが受け付けず。ど~もこの監督とは相性ないみたいだな。きっと「髪結いの亭主」も受け付けないだろう。 【西川家】さん 3点(2004-07-07 15:26:01) |
41.もう一度見たくなりました。で、再鑑賞。迷わず10点。そう言えば私ってあまり恋愛物って見てない。かれこれ10年以上前にシネマスクエアでこれを見たけど、これが無意識にインプリントされちゃったのか、ハリウッド製恋愛ドラマなんて本当に軽くてチープに思えて見る気がしない。今さらいうまでもないでしょう、ラストでのイール氏のセリフ。煮ようが焼かれようが、何をされても構わないただひたすら君を愛しているだけだ、その純粋な愛の真実をこれほど完璧にまとめた言葉があったでしょうか?その伏線としてイール氏独特の愛し方があるわけですが、アリスを部屋から追い出した後彼女が座ったベッドの匂いを嗅ぐシーンは、何を求める訳ではない、ただアリスがいることが幸せだという存在そのものを愛する純粋な愛がそこにあった。考えてみれば、覗き見(にしては堂々としてるけど)も含めて、彼女の実害になるようなことは何一つしていないんですよねえ・・・そこにかぶさる毎度のような音楽。時にゆったりと流れるそれこそが、イール氏の何があっても変わらぬ想いに重なり、イール氏の人となりを演出していると私は思います。要は演出の一環だと。 見終わって時計見たら、「え?まだこんな時間なの??」って思ってDVDの収録時間見たら、何と76分!何この短さ?!丸々2時間見てるような気分だった。それだけ濃密な世界を、一分の無駄もなくここまで完璧に仕上げたルコントにとれびあ~んと、思い切り日本語なまり(ってゆーか日本語口調)だが最大の賛辞を送ります。 |
40.シムノンの原作は、描写が特に細かいというわけではないものの、生々しさがあり、読んでいる最中、イメージが強く喚起されるので、改めて本作を観ると、なんだかリメイク作品を観ているような妙な気分になりました。が、原作そのままではなく、原作は。イール氏と尾行刑事のやりとりなどがもっと描かれていて、サスペンス色を出していますが、本作の方は、そういった部分は抑え気味。その分、幻想味が増していますが、「作られた不健康さ」みたいなのが垣間見えるのがちょっととまどうところ。ところで!イール氏の覗きのシーンでは、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番の第4楽章の一部が繰り返し、執拗に流れます。本当にシツコイです。私は上記の曲が昔から大変に好きです。私は好きな曲は頻繁には聴きません。時間の流れとともに音楽もまた流れ去ってしまう儚さ、それこそが音楽の魅力であり、あまり頻繁に聴くとその魅力が台無しになる気がするから。それに好きな曲は頭に入っているから、それで十分なのです。しかるにその曲をこれだけしつこく(無意味に)繰り返されると、なんだか嫌な気分に。この曲のこの引用部分、特筆すべき大変美しいメロディであり、おそらく「それゆえに」ブラームスはこのメロディを曲の後半で再現する際には敢えて不完全な形でしか出さなかった(惜しげもなく!)。これが「音楽」の凄みだ。「映画」というジャンルは、この刹那的凄みとは無縁なのか?このように「好きなもの」を「好きなだけ」垂れ流すものなのか?そうでは無いと信じたい。 【鱗歌】さん 6点(2004-06-26 03:52:58) (良:1票) |
39.切ないな- 切ないな- 久々に感情移入しました。 【かずのすけ】さん 6点(2004-06-18 17:15:30) |
38.ああああ・・・・せつない・・・ラストは毎回見るたびにキャリー同様「神よラスト変えておくれ!」と思います。仕立て屋は最後落ちながら彼女を見て、何を思ったんだろう・・人間の一途さとエゴがすごくうまく描かれてるとおもいます。 【マミゴスチン】さん 8点(2004-05-23 05:42:19) |
37.退屈なシーンも多々あったのですが、全体的に、暗い話を上品な雰囲気でまとめており、心に残ります。 【Olias】さん 5点(2004-05-22 02:26:53) |
36.うーーーん、確かに変態だけど、それがストーカーになるとか倒錯した形で表れないで、ちゃんと本人に打ち明けた事が凄いなぁ。徐々にでいいから愛してくれって、変態って言うより物凄く一途にも取れるな。普通の人間だったらラストの裏切りに恨むどころか復讐するのに、恨んではいないよ。もの凄く切ないだけだって…並大抵の人じゃこんな事は言えないな。凄い。でも可能移入は出来なかった…なので6点。 |