2.韓国系アメリカ人であるジェフ・リー監督のデビュー作。新人監督がこれだけの豪華キャストを得られたという事実が示す通り、実に魅力的な企画です。4つのエピソードが緩やかに連結されることで一つの映画を形成するという『パルプ・フィクション』と同様のスタイルをとっているのですが、そのループのさせ方がなかなかお見事。同様の映画は少なからず存在しているものの、ここまで綺麗にまとめられた例は数える程しかありません。また、ファンタジーとクライムサスペンスを繊細なバランス感覚で組み合わせたことにより、独特の味わいを持つ作品となっています。映画全体の要となるブレンダン・フレイザー演じる”プレジャー”の設定などは実に良く出来ていて、予知能力という彼の才能は傍から見ると実に羨ましく、その能力を使えば楽しく生きられるだろうと思うのですが、彼はまったく幸せではありません。物事をはじめる前から結果が見えてしまうために一切の野心や目標を持つことが出来ず、諦めきって生きているのです。一風変わった設定ではありますが、確かに理にはかなっています。。。
以上、基本的には魅力的な作品なのですが、登場人物達があまりに頭の悪い行動をとってしまうために「そりゃないだろ」というツッコミが先に来てしまい、ドラマに感情移入することができませんでした。5万ドルという返済可能な金額の借金を返済するために銀行強盗を決意するフォレスト・ウィテカー、手袋もせず毒蛇に触り、案の定噛まれて死にかけるジュリー・デルピー、明らかに異常な血相でトリスタに駆け寄り、案の定ボディガードに取り押さえられてしまうケビン・ベーコン、金づるであるトリスタを無茶に扱い、案の定逃げられてしまうアンディ・ガルシア、どいつもこいつもバカです。なぜ、もっと賢く振る舞えないのかとイライラしてしまいました。。。
最後に、『狼たちの報酬』という、本筋とまるで関係のない邦題は一体誰がつけたのでしょうか?内容を示していないどころか、まったく違うジャンルを連想させてしまう最悪の邦題です。