1.《ネタバレ》 街角のバンの中で路上生活を送る老女の物語。マギー・スミスにこういう役をやらせると、もう役作りしまくりというか、シャレにならないというか、まあとにかく憎々しげで愛想一切なしの老女が完成するのです。一方で、街の人たちは何となく彼女を受け入れていたり、でも自分の家の前に止められるのは嫌がったりと、微妙な距離感があるのが可笑しい。で、あれこれエピソードを入れながら終幕に向かうのですが、最大の問題は、作中で15年くらい経っているはずなのに、その経過が見えず、3年くらいの話といっても成立してしまいそうな点です。これは、老女の存在を受ける作家側の変化が何もない(最初も最後も同じように反応している)のが根本原因と思われます。よって、本来なら感動をもたらすはずの「終焉の朝」も、そのまま流れてしまっています。