1.明確なストーリーやメッセージ性はなく1927年当時のベルリンの様子を映した、本当にそれだけの内容です。1920年代にはこの映画のように実験映画とドキュメンタリーの中間に位置する作品の流行があったようです。一瞬だけ行進する軍隊のショットが唐突に挿入されており、後のナチスの台頭を考えると予言的で意味深なショットと言えなくもないでしょうが、当時の製作者の意図としては街を歩く人々の姿がまるで軍隊の行進のようだと示す程度のものでしょう。車窓や飛行機、ジェットコースターのような動く乗り物の中から撮られたショット、工場の機械や風が生み出す回転運動、リズミカルな編集と合わせて映像には流れるようなスピード感があり、昔のベルリンの姿を眺める歴史資料程度の価値しかありませんがその分には十分楽しめます。ただこういう映画はプロパガンダの要素もあるとはいえ、政治だけでなく美学的にも明確な思想があるソ連の方が一枚上手だなあとは感じます。