16.《ネタバレ》 イタリアの大地の美しい映像が印象的。間違って無関係の人間を殺してしまった女性の、大きな絶望と、怒りと執念と、生きることへの執着。悪を裁いてくれると思っていた憲兵隊が悪とつながっていたことへの怒りで、彼女は逃亡を続けて生きることを選んだように思う。部外者が、彼女に罪を償えというのは簡単だし、周囲の人間に迷惑がかかることが分かっていて巻き込んでいいのか?というのも簡単だ。だが、人は本能的に生きようとするものだし、ケイト・ブランシェットが演じているのは、黙って一人で自殺するような女性ではない。ヒーローもの映画のように、一人で巨悪と戦うなんてことは、現実には出来るはずがない。だが、生き抜くことは出来る。ケイト・ブランシェットの硬質な雰囲気が生かされた作品だったが、彼女に寄り添い見つめるリビシの表情が印象的で良かった。元憲兵隊本部長を父に持って、何も知らずに誇りを持って憲兵隊へ入った若者の、誇りを汚物に変えられた怒り。二人は、愛し合っていると言うより、汚い現実への怒りを共有した同士だ。髪を剃って双子のようになった姿は、そういう意味を込めていると思った。ただ、「私は終わりを待っているの」という主人公に、いったいどんな終わりを用意するのかと思ったが、肩すかしを食ったラストだった。ラストの映像は良くも悪くも印象的。 |
15.映像は奇麗で音響効果も好きなんだけど、そもそも二人がなぜ恋愛感情に発展したのかがいまいち分からない。私もそういう点であまり二人の愛を感じ取れなかった。でもケイト・ブランシェットはいいですね。 |
14.ケイト・ブランシェットという人は作品ごとに違って見える。物凄く淫靡な時もあるけど、この作品ではキリっとしてとってもキレイで、時々シャーロット・ランプリングが被るの。この二人の関係は「同志」のよう。「恋」じゃなく「愛」といったらいいのかしら。いわゆるイタイふたりだけど男と女というのを越えた愛みたいなものを感じました。ただね、お父さんが二人の気持ちを確かめるシーンでケイトは即答しなかったでしょ、あの間が引っかかる。二人の気持ちは同じかといわれれば、なんとなくそれは違うように思う。もし自分がケイトのような状況に置かれたら好きか嫌いかわからなくても相手を受け入れ、依存するでしょうね。ジョバンニ・リビシもナイーブな雰囲気がこの役にぴったりハマってると思う。無音のシーンというのがふたりの未来に期待、希望が持てないという感じがして悲しい。オープニングのヘリコプターのシュミレーション訓練でしたか、このラストに繋がっていたのね。どんどん上昇してやがて見えなくなるヘリコプター、いいラストでした。 【envy】さん 6点(2004-06-14 14:12:23) |
★13.どうしても納得できない終わり方。そして間違えて殺した4人に報いるために何かするのかと、うーん。 【boby_st】さん 4点(2004-05-25 07:03:08) |
12.山ほどいる教師の中でもとりわけ愛情深い教師であり妻でもあった人の必然と、全く理屈の介在しない愛情を秘めた人(父親の慈しみの賜でもある)の必然とが作り出した映像として、受け取りました.やはり A. ミンゲラが総指揮を執っていた、と思える映像の美意識がとてもとてもとても好きです. G. リビシの静かな揺るがない眼差しが C. ブランシェットの絶望をぴたりと凝視していて、今でも残像として残っています. 作り手が心を込めて作り出した映画だと思う. 【シャリファ】さん 9点(2004-05-05 11:10:53) |
11.《ネタバレ》 すごく感情移入したわけではないけど(実際にはあり得ないに等しいと思うので)、とにかくとても切ない話で、主演二人の表情と映像の美しさで見せてくれました。最後のヘリコプターが吸い込まれていく青い空の色が悲しかった。ケイト・ブランシェットもよかったけど、ジョバンニ・リビシの表情がすごくよかったです。 【きょうか】さん 7点(2004-03-22 15:25:36) |
10.不思議な世界観。二人の世界には音がなくトスカーナの風景の美しいこと!ラストはあんぐりびっくり、え?どうなったの?不思議な作品だった。 |
9.《ネタバレ》 音の効果が素晴らしい(無音も含めて)。 台詞も少なく、その分逆に2人の心情が伝わってくる。ラスト、ヘリがどんどん小さくなって青空に吸い込まれて行く所が最高に良かった。 【よっさん】さん 7点(2004-03-04 09:13:34) |
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8.《ネタバレ》 「美しい」・・・観終わった後に出てきた言葉はこの一言につきました。逃亡なんて自虐的な事本当なら推奨できないのに、手違いとは言え無関係の4人を死なせてしまってるのに、既に標的の始末も終えて思いは遂げてるのに、終わりは見えてるけどどうか少しでも長く逃げて・・・と願わずにはいられい。こんなにセリフが少なくて静かな映画、普通なら倍速くらいで見ちゃうけど、この『ヘヴン』は、過ぎていく時間がもったいなくて1秒1秒を一緒に感じていたくて、硬直状態で画面を見つめてた。頭を丸めて双子のようにそっくりになった二人の透き通るような白い肌は純粋さと運命の残酷さを浮き彫りにして痛々しい。絶望感の中田舎の広大な自然が、ひとときの安らぎを与えてくれるがその対比もまた悲しすぎる。感動的な話ではありません。破滅的でやるせない話です。だけど、本当に美しい・・・と感じました。そして二人は・・・限りなく空高く高く・・・ヘヴンへ。 【桃子】さん 10点(2004-01-19 14:36:37) |
7.《ネタバレ》 非常に美しい映像で綴られる悲しい物語です。ブランシェットとリビシの表情でものを言う演技は心を揺さぶった。リビシは「フレンズ」を見てから絶対コイツ出てくるぞと思っていたので、活躍ぶりがうれしいです。でも点数が辛いのは、時たま強引な流れがあるを否めないのと、内容が悲しすぎるからです。イタリアの御国事情は知らないが、拳銃を手に入れるより爆弾作るほうが容易いのか。あんなやり方で無関係の人が亡くなって、なおもリビシを巻き込むのか。リビシの恋心は理解できても、ブランシェットの「愛している」と言う気持ちはどこから来るのか。あれだけの大捜査で追われているのに、弟や父、罪を知っても抱きしめてくれる友人に連絡を取り、世話になるのか。「罪は償う」どんなかたちで?結局はみんなして救われない道を辿っていくのではないか。悲しすぎる。二人が空高く消えていくラストは、どんなに想像を膨らませても悲しい想いが残る。空の青が冷たく感じました。 【のはら】さん 6点(2004-01-12 03:49:12) |
6.無駄なセリフに音楽すらも排除し、オープニングの街、列車の疾走シーン、大きな木へたどり着くシーンなど常に天から見下ろすような空撮によるきれいな映像を見せ付ける。愛する者を奪われた復讐、犠牲者への想い、自分への一途な愛、親子の深い愛、様々な愛が静かにスパークする。最初に2人が隠れたのは屋根裏部屋でしたがラストはスパークした愛が一気に天へ昇華していき、対照的に地面からいつまでも天を眺めさせる。 【亜流派 十五郎】さん 9点(2003-12-16 19:35:39) |
5.読書をするときに「行間を読む」と言うことがあります。直接的な文の表現を読みとるだけでなく、文章の流れから全体の雰囲気を掴むことが読書における楽しみ方の1つです。 この映画にも同様なことが言えます。登場人物達からはハッキリと感情を表す言葉があまり聞けません。しかしながら、何故か考えた事や感情が伝わってくるのです。主人公2人の想いと未来への希望が、スクリーンから感じられました。 また、クシシュトフ・キェシロフスキには珍しく、エンターテイメント的な部分もあり、すごく楽しめました。この辺りは監督の影響かもしれませんね。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 9点(2003-12-15 23:41:27) |
4.ケイトブランシェットキレイだなぁぁ。坊主になった時のあの頭の形の良さには惚れ惚れです。映像もきれいでした。最後、空高く上がっていくシーンはかなり印象的です。もう一回観てみようかな。 【まーこ】さん 8点(2003-12-10 16:01:55) |
3.《ネタバレ》 破滅へと向かう恋愛映画というのは、いくつか見たが、これは一番説得力があった。寡黙な厳しい映像で、淡々と説得力あるエピソードを積み重ねて行く。有無を言わさぬ事実を見せ付けられたようで、納得はいくのだが、やはり、無残な感じがするよな~。ブランシェットが、きれいなだけに、後半ぼうずになるあたりは、もう、痛々しくて。いくら最後に二人が抱き合い思いを遂げても、天国へ向かうように、ヘリが上へ上へと上昇したファンタジックな映像があっても、暗く陰残なものが残って、やるせない。この、気のめいるような救いようのなさは、なんだろうと考えるんだけど、それは、やはり、冒頭で彼女がテロリズムを行使してしまったことに尽きるだろう。その瞬間から彼女は「幸福になれない、救われない」という決定されたトーンが、この映画の底に付きまとい、自分の気を滅入らせるのだ。・・・そう、どんなに、この恋愛が崇高なものでも、それがあるために、酔えない、美化できないのだ。人物とか一人一人しっかり描いてて、いい味だしてんだけどなあー、この映画。特に心の沁みたのは、主人公のお父さんで、逃亡中の息子に分厚い札束を渡しながら「自分はなんにもできない」とつぶやくところなんかは「そうだろうな~、・・でも、いい親父だよな~」と思いながら見てた。 【せんぼう】さん 7点(2003-12-08 06:23:48) |
2.最悪!映像が綺麗だったから0点はつけませんが、見始めてすぐこれは面白くないぞと思ったらやっぱり面白くなかった。脚本はイイとは思う。監督が悪いのか俳優が悪いのか何なのかよくわかりませんが全然愛が見えないというか、愛が感じ取れない。まったくもって腹立つくらい面白くなかった。 【愛人/ラモス】さん 3点(2003-12-04 11:18:50) |
1.《ネタバレ》 冒頭、いきなり高層のエレベーターの爆発から物語は始まる。夫を失った悲しみとその恨みから、或る麻薬密売人に復讐する為に爆薬を仕掛けたのだ。覚悟の上での犯行だったが、しかし恨みを晴らすどころか、関係ない人たちを爆死させてしまう結果に。この時のヒロインの英語教師を演じるC・ブランシェットの凍りついた表情が印象的だが、普通の一般市民のテロ行為がまかり通る国家の恐怖を感じざるを得ないエピソードではある。この後、取調べに通訳として立ち会った若き憲兵が、彼女を助けながら思いを遂げさせるという展開となるが、何故彼はそこまでして彼女に想いを寄せるのかは、あまり多くは語られないので、やや唐突な印象を受ける。絶望感に打ちひしがれ、もはや生きていく気力も失いかけていた彼女だが、青年の純粋な愛に応えるべく、共に逃避行を決心するのが物語の後半。それはまさに絶望に向かってのものだが、サスペンス・タッチの前半から舞台がトスカーナ地方に移ったこともあって、陰惨さというものが徐々に薄れていき、いつの間にかピュアで詩情溢れた画調に変転している事に気づく。極度にセリフを抑え、表情だけで純粋な愛の形を描出したT・ティクヴァ監督の、この流れるような演出の手際の良さは実に見事である。ブランシェットと相手役のJ・リビジは共に本作のイメージ通りの透明感溢れる好演を見せているが、既に「ギフト」で共演していた事もあって、さすがに息がピッタリであった。二人を乗せたヘリが上空高く舞い上がり、やがて小さく小さくなって空に吸い込まれていくラストは、まさしく天国に召されていくという象徴的なイメージで、近年における名場面だといえる。 【ドラえもん】さん 8点(2003-11-25 01:02:45) (良:1票) |