12.《ネタバレ》 映画館で鑑賞して1年後くらいにCSで再度鑑賞。
主人公の女性が女子大生から社会人になる過程を茶道を通して描くという話で、
基本的にストーリーとしてはどうってことがない。むしろ平板。
ただ、私はこういうストーリーがないような映画が好きで、この映画も晩春の
系譜の成功した作品だと思う。
ストーリーは大したことはないが、淡々とした美しい映像により、思春期から大人の女性に
成長する主人公の感情の揺れはすさまじく、ジェットコースターのように上下していき、
彼女の心情に思入れながら見るとこちらの心も揺さぶられる。
個人的には茶道とは何かというより、茶道を通していかに感性を磨くのかが、この映画の
裏テーマのような気がする。感性というのは持って生まれた先天的なものかもしれないが、
磨かなければ研ぎ澄まされないと感じた。
映画館で鑑賞する際、内容キャスト何も知らずに見たのだが、樹木希林がお茶の先生というのは、
少し驚いたし面白かった。一般的な茶道先生のイメージと違って、気さくで重要なポイントでは
厳く、なんか本当に理想な先生を演じてくれた。また、要所では樹木希林のオーラを感じるような、
カットを入れて、樹木希林さんの遺作として掉尾を飾ったよう感じがする。
繊細な感情の揺らぎを描く、日本映画でしか出来ない作品をもっと見たいと思う。