68.《ネタバレ》 この作品は表面上「ロボット軍団 VS.スプーナー刑事」だが本質は別に有ると思う。
それはスプーナーの「トラウマ(心的外傷)VS.自己嫌悪」との戦いがベースだからだ。
冒頭から主人公はロボットに対して強い拒絶感を抱いている様に描写されているが、
彼が責めていたのは実は「ロボットではなく自分自身」なのだ。
過去に自分を助け、少女を見殺しにしたロボットを責めているシーンが何度か登場する。
「ロボットは確率が低くても少女を救出すべき」と彼は考えている様に見えるが、それは違う。
ならば自分は死んでもよかったのだろうか?それも正直、本心とは別次元の問題だと思う。
むしろロボットに命を救われたと感謝の念が有って当然で、またそう思っている筈だ。
だから「少女は死んで自分は生きている」=「少女を殺したのはロボット」と思ってはいない。
少女を殺したのは自分自身、それがトラウマとなり自己を納得させようとして悪夢を見るのだ。後に自らがロボット化されている事実が明かされる事で、自責の念が更に強調されている。
しかしサニーと自分のサイボーグ化した腕により、再び命を救われる事になり昔のトラウマを
克服できるシーンに遭遇する。ここで自責の念を開放し、自分を慈しむ思いに変わっていく。
それはサニーに対して感情(友情)が芽生えたかに描写されている事でも理解できると思う。
なんとなく「C.GのSF映画」だけに感じないのは、この点がよく出来ているからではと私は思う。