★7.《ネタバレ》 シリーズ第8作。いつもは冒頭に主題歌「一番星ブルース」が流れるんだけど今回は流れない、桃さん(菅原文太)がマドンナに惚れた時に星が出ない、と定番をあえて崩していて少し違和感があるものの、それでもなかなか面白かった。今回のマドンナは大谷直子で、このシリーズのマドンナ役としては既にベテランの域なのだが、演じる役も子持ちの未亡人という設定で、このあたりも異色な感じがする(ますます寅さん化してる?)のだが、作品としては桃さんとこの親子の交流を軸にストーリーが展開し、ツボもキッチリと抑えられていて良い。とくに桃さんがマドンナの息子が大事にしていた亡き父の手作りの飛行機のおもちゃをトラックではねて壊してしまい、お詫びにと不器用にも手作り飛行機を作りはじめるところはやっぱり桃さんの優しさを感じずにはいられないし、最初は飛行機を壊されたことで桃さんを嫌っていた子供が桃さんと打ち解けるきっかけもちゃんと描かれているのが〇。その他、シリーズをずっと見ていると2作目で警官時代のジョナサン(愛川欽也)に恨みを持つトラック野郎を演じていた田中邦衛がジョナサンと旧知で桃さんを銭形警部のごとく追い回す鬼警官という前回と真逆の役を演じているのが面白いし、その鬼警官のキャラクターもクライマックスで桃さんが自分の妻の命を救うためにトラックを走らせていると分かっても追跡をやめないところは職務に私情を挟まないストイックさがあるのはなかなか良かった。(その執拗さはめっちゃバカバカしくて笑えるけど。)桃さんの故郷がダムに沈んだことは3作目でも触れられていたが、今回はサブタイトルどおり、そのダムに沈んだ故郷を桃さんがマドンナ親子と訪れるシーンがあるのも、シリーズのつながりを感じられる。そこで桃さんが語る故郷の話や、故郷が無くなったあとの自分のその後の人生はちょっとしんみりとしてしまうが、桃さんの過去が初めて詳細に語られたことで、シリーズとしての厚みも増したのだと思う。(その意味では本作はシリーズ中でも重要な作品だと思う。)その桃さんの話を聞いたマドンナが子供を一人で育てる決心をし、桃さんのもとから去るという振られ方も泣かせてくれていて良かった。(今回、恋敵がいないのでどうなるのかと思ってた。)今回のライバルは黒沢年男演じるアメリカ帰りのコンボイ野郎・九十九だが、もちろんこのライバルとの対決も見どころ。「九十九と書いてつくもだ。」というセリフに「女王蜂」の神山繁をつい思い出してしまった。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-10-20 17:56:57) |
6.新沼謙治はいい人オーラ出しまくってるし、黒沢年雄はキャラ立ちまくってるし(その英語交じりのセリフ、あんた地獄組のボスか?)、田中邦衛に至っては『コンボイ』のボーグナインの生霊が乗り移ってます。という、素晴らしき登場人物たちが脇を固めつつ、何かと事件が起こり、事件が起こればまたそこに、地域ならではのさまざまな風物が織り込まれる。そのテンポのよさ。 そんでもって、メインとなるのは、桃さんと、ある母子との交流。桃さんがいかにも朴訥としていて、それがかえって泣かせるではないですか。失恋した桃さんが最後に挑む大仕事、彼の表情たるや、桃さんここで死んじゃう気なんじゃないかと。まさかね。でもいつになくカーチェイスも激しいような。 というわけで、珠玉の一本です。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2016-04-13 22:36:39) |
5.子持ちの未亡人を好きになると大変だな。あまり下品・エロなのもアレなので、テイスト的にはこれぐらいが丁度いいかな。でもそれらがないと寅さんに近づいていっちゃうので難しい所。 |
4.ギャグはいつもより抑えめでちょっとシンミリするけど、楽しい作品 【ガブ:ポッシブル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-09-13 16:44:42) |
3.《ネタバレ》 笑いあり、涙あり、アクションあり、お色気あり・・・ハチャメチャですが名優たちがしっかりと演じていて本当に楽しい時間を過ごせました どちらかというと、庶民の悲哀を描いたシリアスな面が多い作品ですが、ダムを作るために沈められた主人公の故郷が出てくるなどシリーズの中でも重要な作品ではあります。 【TM】さん [地上波(邦画)] 7点(2014-05-05 23:42:46) |
2.《ネタバレ》 おや?何かちょっと違うぞ!例のあの桃さんの歌う主題歌から始まるシーンが無いではないか!それでも作品としては、これはなかなか面白くて良い。相変わらず桃さんの女好きと早とちりには見ていても微笑ましく思えてしまうし、それとこの作品、見たらちきしょう!常磐ハワイアンセンターに益々行きたくなってしまった。常磐ハワイアンセンターでお見合いの筈が桃さんの早とちりによって、ぶち壊しとなるわ、桃さんの親友でトラック仲間のジョナサンとのこれまた男同士の友情とまた田中邦衛の警察官との死闘にいつもの如く登場するライバル、今回で言うなら黒沢年男との男と男の闘いが描かれているのだが、相変わらずやってることは滅茶苦茶ではあるけど、そこにあるのは男と男の正しく友情みたいなものがとても解り易く描かれている。田中邦衛の警察官の奥さんの命を救う為にと走る桃さん、警察達の追撃、阻止すべきとする行動に対して、桃さんの助けを試みる同じトラック仲間達、これこそこのシリーズならではのお決まりのパターンではあるけど、それだからこそ安心して見ていられるとでも言うのか?良い意味での安心感がここにある。そんな気がする作品です。 【青観】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-02-18 14:38:54) |
1.六・七作目と低迷が続いていた(ように僕には思えるのだけれど)「トラック野郎」が、(鈴木則文が脚本に加わったためか澤井信一郎が再び助監督についたためかは分からないけれど)久々に「スランプを脱した」感のある本作。悪い意味での「おちゃらけ」が減り、その分桃さんの熱さが濃ゆーくなってる感じです。またシリーズファンとしては二作目で桜の大門(警察)に泣かされてた筈の田中邦衛が鬼警官を演じている所が遊び心を感じさせて面白いし、三作目でチラッと語られていた桃さんの故郷の事も語られてたりして(って伏線、長っ!)興味深いです。。その他、時には娼婦のような黒沢年男がセルフパロディを演じたり、フランク・キャプラへのオマージュシ-ンが見られたり(!)なかなか見所満載の八作目です。 【ぐるぐる】さん 7点(2005-01-16 19:46:14) |