★66.《ネタバレ》 見るのは二十数年ぶり二回目だったのだが、バスケのシーンをはじめとした追加シーンがあるこの特別編を見たのは実は初めて。その追加シーンというのがよくある所謂初公開時にカットされたシーンを復活させたというのではなく、公開後に追加撮影されたものというのに若干の引っ掛かりを感じるものの、オリジナル版と見比べてはいないのだが、その追加シーンが足を引っ張ることなく、とくに追加シーンのメインであるバスケのシーンなどは元からあったとしても違和感はないだろうと思う。オリジナルを見た時は深作欣二監督の映画を4本くらいしか見ておらず、その70歳とは思えないパワフルさに驚いたのだが、30本前後見ている現在だとどんなふうに思うのか不安もあったが、徐々に引き込まれ、素直に楽しめたし、実に深作監督らしい映画になっていて、やはり衰えを感じさせていないのはすごい。登場する生徒で印象に残るのは以前オリジナルを見た時もそうだったのだが、光子(柴咲コウ)と桐山(安藤政信)のインパクトが抜きん出ていてやはり強烈だったし、中盤あたりの灯台のシーンの和気あいあいとしたガールズトークが一人が毒で死んだのをきっかけに罵り合い、殺し合いに発展するのは本作の中でもっとも怖さを感じさせる部分ではないだろうか。出て来るだけで異様な存在感を放つ教師をたけしが演じているのも「その男、凶暴につき」の監督に当初深作監督が予定されていたことを踏まえると満を持しての待望のタッグという感じがして、たけし自身ものびのびと演じているように思えるし、たけしが演じるからこそこの教師の冷徹さやその中にある人間味が際立っていて、まさにハマり役だった。ラスト(特別編ではそのあとにまだエピローグがあるのだが。)に出る「走れ」という画面いっぱいのテロップは今になって考えると既にこの頃癌に侵されていた深作監督のこれからの世代に対するメッセージであることは明白で、監督自身もうそんなに長くないという自覚もあったのではないかと思えてくる。(DVDに入ってる特典映像のメイキング風景を見ると監督がいちばん元気そうでとてもそうは見えないけど。)最後に本作のような映画を手掛けて、しかも賛否はどうあれちゃんと話題作になる。これは深作監督にとって本当に幸せなことだったのかもしれない。やはり個人的には本作が深作監督の遺作だと思いたい。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2024-11-03 20:03:39) 《更新》 |
65.《ネタバレ》 ~『バトル・ロワイアル』のつづき~ この時のたけしはまだ若くギラギラしていて、出てくるだけで存在感が凄い。原作はあくまで生徒たちが主役で、教師はここまで物語に絡んでこなかったと思う(途中までしか読んでない)けど、映画では主役級の役割を持って登場している。 まるでセリフを喋るように、感情的に話す生徒たち(もちろん演技指導で)と違い、普段の話し方の北野武がまた怖い。桐山役の安藤政信が自らセリフを一切排除した理由も、もしかしたら邦画のセリフっぽいわざとらしさが嫌いだったのかもしれない。 キタノが自分を殺させようとする中川に掛ける言葉「中川、頑張れ」が、自殺した七原の父が書いた「秋也ガンバレ!!」とオーバーラップ(※このキタノのセリフのシーンに、七原の父のシーンを流してしまう親切さが余計。だけど同世代の子供に観せたいという意図があったろうから、敢えてだろうけど)する。 自分が死ぬ。となった時、当然生きるよう努力すると思う。それが無理だと悟った時、冷静であれば、生きられない自分の代わりに、特定の誰かに何かを託したくなるのかもしれない。クサイ話だけど、生きた証を誰かに託す行為。 子供たちも、42人のうち41人が死ぬルールから、自分が生きる可能性が限りなく低いなか、僅か15年の人生の知恵を絞り、生きる努力、生きない決断を自分で選んでいく。子供たちの死に様をみせる映画から見えてくる、子供たちの3日間の生き様。 GPSを持った杉村が、片思いの琴弾に好きだと伝えたくて奔走する。誤って自分を撃った琴弾に「逃げろ」という気持ち。好きな子に気持ちを伝えることに残りの命を使う気持ち。そんな事ができる子供たちだから見えてくる、どこかに忖度のない、残りの人生の使い方。彼らより長いこれからの人生を私がどう生きるか、とても考えさせられた。 最後に「走れ。」とメッセージ。詰め込み過ぎと言うか自己満足と言うか、邦画らしいダサさがまだ残ってる。 今回買ったDVDが特別篇と書いてあって、追加シーンがあるんだそうだ。観たのもう20年近く前だし、公開版とどこが違うのか、調べないと解らなかったけど、物語に深みを持たせる回想シーンとかが追加されているようだ。殺し合い中の他の生徒の動きとかは特に追加がなかったのは残念だけど、バスケのシーンも相馬の過去も、悪くなかったと思う。 当時あれだけセンセーショナルだったこの作品だけど、今だったら数あるシチュエーションの一つに過ぎない。この作品以降、必然性もなく人の命を使った、殺人ゲーム的な作品がたくさん出てきた。多くの作品が『私だったら“このゲームを”どう生き残るか?』って、今置かれている理不尽な状況からの生還を考える程度に過ぎない。 「人生はゲームです」今置かれている特異な状況だけに収まらず、これまでの生き様まで踏み込んだこの作品は、先駆者にして稀有な存在に思える。 【K&K】さん [DVD(邦画)] 8点(2022-01-16 16:05:04) (良:1票) |
64.「特別編」と「特別でない編」とを厳密に比較したわけじゃないけど、シーンの追加で、なんだかちょっとポエムな作品になりましたねえ。 でも、実はもともと、こういう作品なのかもしれんなあ、と。そりゃまあ、テーマとしては、殺し合いが最初から最後まで行われる殺伐とした作品、ということになるのですが、実際はその殺し合いの多くは主人公のあずかり知らぬところで発生している、という点では妙なオハナシ。殺し合い以外にも、自殺しちゃうヤツもいて、実際、殺し合いには違いないものの、どこか、クラス全員が集団自殺に追い込まれていく姿、のようにも見えてきて。 という、いささか求心力には乏しい一種の群像劇、緊密さばかりでなく、こういう、少し弛緩したようなポエムな空気もあってもまたよいのでは、という気もいたします。 それにしても、当時、政治家も問題視したこの『バトル・ロワイアル』、まさかこの出演者の中から、後に政治家が出てくるとは、思わなんだ。勿論、キタノ先生のTV番組(元気が出るテレビ)にメロリンQで出てた頃は、さらに思わなかったけど。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 7点(2021-12-19 13:58:46) |
63.きらいじゃないけど、やっぱ突っ込みどころは多いよね。ザ・深作作品て感じ。 【センブリーヌ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2020-02-28 16:14:29) |
62.北野はカメオ出演と思っていたが、主役を食うくらいのインパクトと露出だった。 尺の制限・多くの新人の起用などハンデがありながら、アラをうまく隠してよくまとめたなと思った。 もう5分くらい足して桐山の過去も欲しかったかな? 【たんたかたん】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-02-11 01:09:51) |
61.《ネタバレ》 一世を風靡した、と言っても過言ではないほど知らない人はいない本作ですが、今回ようやく鑑賞に至りました。一昔前はそれほど売れていなかった俳優・女優(今は売れている)がたくさん出演しているという話も事前に聞いていたので、そういう楽しみ方も期待しながらの鑑賞。 観終わってみて、近年の猟奇系サスペンスの先駆けとでも言いますか、当時としてはすごいインパクトだっただろうなあと思いました。 この映画の内容は一言でいえば「不条理」この言葉に尽きます。作中のバトルにおいて公平性を保つためのルールだとかはありません。どんな手を使っても相手を殺して最後の一人になるために生き残る。それだけです。はじめに受け取る武器も人によってバラバラ。拳銃をもらってる人もいればフライパンの人もいたり。学校から出る順番もみんな一斉ではなく一人ずつ。先に出た生徒が待ち伏せして後に出てきた人を攻撃するメリットもあったり、まさに不均衡の不条理。 こんな設定で大丈夫なのかと思ってしまう映画なのですが、ゲーム前の北野武さん演じるキタノ先生の理不尽な暴力によりここまでの不条理ですら受け入れざるを得ない世界観を形成することができ、変な表現ですがストレスなく観ることが出来ました。 キャストは事前に聞いていた通り確かに豪華。いや今だから豪華に見えるのでしょうか。柴咲コウさんはじめ、藤原竜也さんや高岡蒼甫さん、さらには栗山千明さんなど見ていて飽きないキャストで楽しめました。こんなに大量のキャストを同時に展開させながらもそれぞれのキャラクターがしっかり立っていることがまたすごい。どんな子でも何かしらの個性やゲームに対してのモチベーションがありよくわからないやつが何となく死んだということはありませんでした。そこがこの映画はすごい。良作だと思います。 【TANTO】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-12-26 20:42:17) |
60.テロリストにバスごとさらわれて、乗客同士で殺し合いをさせられて生き残った人を使い捨ての殺し屋にするという実際に起きている事件もあるので、この映画の内容も、ある意味唐突とも言い切れないものがあります。非現実的ではあるけど。 非現実的な状況下において、リアルにブラックユーモアとして昇華する俳優といえばビートたけし。性格俳優としても、すごいなぁ。 リアリティに欠ける殺し合いだったのがよかったのか悪かったのか。 真夏の世の悪夢と思えば、これもありかもしれません。 表現は悪趣味ですが、人類の持つ負の部分として、見ぬふりをして逃げることは出来ない内容でもあります。 なお、4点という低い点数は、映画としての評価です。 この映画は、映画という枠組みとはまた別のところで評価される必要があるような気がします。 【ひであき】さん [DVD(邦画)] 4点(2011-07-15 18:42:45) |
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58.ストーリーは矛盾だらけだし、主人公は影が薄い。 でも中学生同士の殺し合いを徹底的に描いて、かつ性描写はゼロ。 要するに、たくさんの客に来てもらえばそれでいいっていう映画。 この映画がきっかけで、暴力シーンが過激でエロはゼロっていう邦画がたくさんできたけど、やっぱり好きになれないなあ。 まあ、これの通常版の公開当時、ものすごく話題になって、自分もレンタル開始直後に見た記憶あるから、あまり人のこと言えないんだけどね。 確かに柴咲コウとビートだけしの存在感が大きく、見ていて楽しい。 でも、主演より脇役が目立ったら、それは映画としては失敗でしょう。 【まかだ】さん [DVD(邦画)] 4点(2011-02-26 17:30:45) |
57.《ネタバレ》 ビートたけしの存在感が際立っているだけで、何も伝わって来ない映画でした(公開当時、何かと話題だったので期待しての鑑賞だったのですが・・・) 原作も未読なのですが、主人公等と同年代の若人が観れば何か伝わるモノがあるのでしょうか? 今観ると、豪華キャストですね。 【ぐうたらパパ】さん [DVD(邦画)] 3点(2011-02-17 05:49:59) |
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56.《ネタバレ》 これって公開当時かなり話題になりましたよね 原作・通常版とも未読未見ですがご縁に恵まれ鑑賞致しました まぁ結論からいうとこういう「人殺し」映画というのは嫌いなんだな ということがよくわかりました 何かカタルシス的なものも感じませんし、メッセージ的なものもワタシには分かりません 深作監督のご冥福をお祈り致します 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 1点(2010-11-10 09:56:43) |
55.《ネタバレ》 『リアル鬼ごっこ』を見たら、なぜか無性に『バトロワ』を見返したくなったンで借りて来たンですが、近所のツタヤには特別編しか置いて無くて残念…。本当は「走れ!」で終わる通常版のエンディングの方が好きなんですよね…。とは言え、追加されたB組のバスケのシーンはいい雰囲気ですね。個人的に「三村LOVE!」のボードを掲げるメグミの笑顔に涙を禁じ得ません…(合掌)。 もう好きなシーンてんこ盛りのこの映画ですが、今回見直して一番グッときたのは灯台のシーン。七原を見つめる内海のLOVELOVE光線出まくりの「ねぇ、この意味分かる?」にはオッサンの胸もキュンキュンしまくり!うーん、切ない!グッバイ青春!!!(意味不明) というワケで…この作品が世に出た後、似たような青春バイオレンスアクション作品が大量に生まれていったワケですが、やっぱ『バトロワ』は別格だな~と、今回見直してつくづく思いました。 最期に…山本太郎フォーエバー…(遠い目で) 【幻覚@蛇プニョ】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-08-20 00:51:21) |
54.言論の自由がどこまで許されるのかを考えさせてくれたので5点。 【かくちゃん】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-05-09 23:05:58) |
53.小説版、漫画版のように掘り下げていたら・・・。尺が全然足りないか。 【とむ】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-04-16 12:39:09) |
52.《ネタバレ》 残酷な映画ではあるが、武器の効果のリアリティに欠ける。ボウガン一発で死んでしまい、ナイフの一撃でダウンする一方、マシンガンの弾丸を食らってまだ立ち上がる等、おかしさが目立った。 BR法ありきのどんでもなさはわかるが、法律の成立背景等にもう少しリアリティをもって欲しかった。 【チェブ大王】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2009-01-02 04:00:46) |
51.《ネタバレ》 「中学生が殺しあう」というコンセプトは面白そうだと思い、見ましたが、まあなんと、つまらないこと、つまらないこと。もっと、ゾッとするような騙しあいとか、ホロッとできる感動シーンとか、考えさせられるメッセージとか、残酷シーンとか、なんでもいいからあればいいのに。何もなかったです。人物の行動や反応にも、リアリティゼロ。たけしの渋い演技と、柴咲コウの美しさと、前田亜希のそばかすのかわいらしさを全部合計して、やっと1点。 【コウモリ】さん [DVD(邦画)] 1点(2008-08-29 01:55:27) |
50.《ネタバレ》 中学生が殺しあう設定上、好き嫌い極端なレビューに別れ高得点は出ない典型例な作品でしょう。 この作品は点数をつけるという概念を越えて「どう感じるか」という域に達していると言える。 友情・命・大人・国・人生などのメッセージ性が非常に強いので考えさせられる作品だが、客観的にエンターテイメントとして見ても独特の世界観が合って面白い。 出演者に関してもビートたけしを始め、藤原竜也・前田亜季・塚本高史・栗山千明・安藤政信・柴咲コウといった人気俳優が多数出演し足場を固めているにもかかわらず、通常より圧倒的に多い主要キャラクターの個性がしっかりと立っていて埋もれていない強さであり技術は圧巻。 ただ、最後に3人が首輪をはずせた理由が原作を読んでいないとわからないという物語のキモとも言えるシーンに致命的な説明不足があったので1点減点。 |
49.いわゆるカルトムービー。善良な大人達がメディアの騒ぎに乗ってしまい、却ってこの映画の観客動員に協力させられたという滑稽なエピソード付き。思春期の子供達が閉塞した状況で、生き残りを掛けたルール無用の殺し合いをする、というケシカラン設定はまともな国では製作不可能。(子供に見えない生徒もいっぱい出ていたが…)他でやらないのだから、この設定だけでもある程度成功が約束されたようなもの。もっとも、殺し合いの描写が監督の故意なのか、力量の為なのか漫画チックで、例え残忍な場面でも生々しさというより、滑稽さと一種のエロティシズムが漂っている。何発撃たれても、死なずに数秒粘っていたりして、映画というより漫画。演技も一部を除いては悲惨なレベル。設定が大人だったら、ただのいつも三流日本映画。なんだか良く意味の分からない字幕も必要ないと思うのだが。 【lafish】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-01-13 03:48:20) |
48.《ネタバレ》 原作未読。十分に面白く見たが、主人公が終始受け身だった点が大きなマイナス。ぎりぎりの選択に迫られ、ひとり生き残るか、愛する者をひとり生かす、と予想していたが。流れに身を任せていたら偶然に生き残ってしまったというのでは、やはりカタルシスに欠ける。大人の考えのうわ手をいって、うまく出し抜いて勝利するとか、大人から見て性悪なガキだったが、実は結構見所があるじゃないかとか、何かしらスカッとするものが欲しかった。もっともそれは作り手が狙ってはいなかっただろうが。ところで、冒頭バトル・ロワイアルの勝者報道シーンがあるが、これが公知なら、ビートたけしがBR法を生徒に説明する必要がないし、生徒がBR法に驚くこともないと思うのだが。生き残った者には、生涯特典か何か、恩恵があるのかしら? でも、劇中にはバトルのリピーターがいるので、私には不可解だった。 【ジャッカルの目】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-01-03 19:32:45) |
47.「中学生同士が殺しあう」というセンセーショナルな設定ゆえ、良識ある大人から批判を浴びてしまうのも仕方が無い。自分も子供に積極的に見せたいとは思いませんし。ただ自分が観る分には全然OKでした。IFの世界だから。どんな無茶苦茶な設定だってあり得ます。それに本作は、殺し合いを是としていない。主人公たちは、ルールに盲目的に従うことを拒否しています。善悪の判断を他人に委ねていない。これって重要だと思う。ですから本作には肯定のスタンス。また原作ファンという立場で感想を述べます。バトルロイヤルの特徴は、ルールはオモシロイが実際にやるとツマラナイということ。これは本家プロレスのバトルロイヤルを観たことがある人ならよく知っている。戦いの焦点が定まらず散漫になりがち。しかも映画の場合、2時間程で40人近く殺さなくてはいけません。そもそも無理がある。その点を考慮すると、何人かの主要キャラを中心に上手くエピソードを重ねていると感じました。配役も概ね良好。映画オリジナルの教師キタノも、物語に一つの軸を提供しています。エピソードの扱い方や演出に不満が無い訳ではありませんが、よく纏めたなと。オリジナル公開版よりも本作のほうが、より強くそう思います。(感想はこちらに書いたので、オリジナルの書き込み消去。ちなみにオリジナルの点数は6点です。) 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-12-19 18:33:53) |