2.《ネタバレ》 シリーズもついに大団円を迎えるわけだが、ここに来て大宮=勝新太郎と有田=田村高廣に子供が出来るという展開。これは二人が廃墟に捨てられていた乳児を見つけて脱出行を共にするという事だが、当時はまだ日本では認識がなかった中国残留孤児の先駆けとなるでしょう、もちろん大宮と有田が愛し合って子宝を授かったというわけではありません(笑)。今回の悪役は特務機関の大尉=夏八木勲で彼が隠した軍資金10万ドルを巡っての争奪戦となるわけですが、大映出演は珍しい夏八木勲、なんか髪形といい雰囲気といいまるで美川憲一みたいでした(笑)。大宮と有田は中盤以降は離ればなれになってラストまで絡まなくなる展開だけど、この映画の脚本はなんかとっ散らかしたような構成でそれぞれのエピソードの繋がりが悪いんです。だいたい気に喰わないのは1945年8月9日以降に満洲に攻め込んで関東軍を追い散らかしたのはソ連軍なのに、それがすっかり解放軍(中共軍)に置き換わっていてまるでソ連軍の侵攻なんてなかったかのような撮り方、ここまで来ると歴史改変といったレベルです。『眠狂四郎』シリーズと違い、本作でシリーズは打ち上げという意図で撮られたんだから、もっと印象に残るようなストーリーにして欲しかったところです。帰国最終便のトラックに乗り遅れた二人だけどそれでも楽しそうに子供をあやしながら去ってゆく、きっと困難を乗り越えて帰国しちゃうんだろうなとほっこりさせられるラストカットでした。