9.《ネタバレ》 仕込み杖の刀に寿命がきて、もうあと一人切ったら、折れてしまう、という設定が、劇中で無闇に殺陣を演じることへ制約を与える一方で、シリーズに新たな色合いをもたらしています。刀の秘密を知るのは、座頭市と東野英治郎演じる刀匠、ただ二人。周囲は「これがあの座頭市か」と一目置いておべっかを使いまくり、しかし実際にはあの刀にはもはや頼れない、という、何とも言えない居心地の悪さ。 一方で、悪玉の親分がしゃべろうとするのを、マッサージ中の座頭市が首を振り回してマトモにしゃべれなくしてしまう、なんていう悪乗り気味のギャグをかましたりもして。 東野英治郎との関係も作品に微妙な変化を与えていて、座頭市は彼のことを信頼しているようだけど、ホントに信じていいのかどうなのか。「これは師匠の作だ」とか言って仕込み杖を借りたはいいけど、もしかしてそのままパクろうとしてるんじゃないの、とか。でもこれがしっかりと、重要な伏線になっている。 クライマックスでは、新たな剣を手に、ここまでのうっぷんを晴らすかのようにダイナミックな殺陣が繰り広げられます。本作の音楽は、伊福部昭ではありませんが、怪獣映画のような音楽をバックに、ノシノシと路地裏に踏み込んでいく座頭市の姿は、迫力ありまくりです。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2020-05-06 17:41:55) |
8.「鉄火旅」というタイトルがカッコいい。鉄火場のシーンはそんなに多くはないけれど。頼みの剣にまつわるエピソードもそそります。相変わらず白黒はっきりしすぎた勧善懲悪ドラマで、傷一つ負うことのない大立ち回りが待っているわけですが、秀逸はラスト。これだけ正義のためにがんばったのに、誰に感謝されることもなく、夕暮れの中を1人去っていく姿が美しい。人生とはこんなもの、と教えられるようでした。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-05-03 22:41:24) |
7. 立ち回りが壮快だった。 娯楽映画として、文句なしの面白さ。 【タックスマン4】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-01-15 11:47:17) |
6.《ネタバレ》 今回はなんと長年使い続けてきた仕込み杖に寿命がきてしまう。だが、無理もない。振り返ってみれば随分無茶な使い方をしてきた…。そして、これを機に堅気になろうとする市が描かれている。しかし、それは許されない定め。一度は仙造に預けた仕込み杖を再び手にせざるを得ない事態が待ち受ける。あと一人しか斬れないという制約を抱えながら、お志津の救出に向かう市の悲壮感…。樽の中に隠れていたところを見つかり、コロコロ転がされた後の「馬鹿野郎、俺には回る目がねぇんだ!」は良かったなー。名言。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-11-27 12:33:35) |
★5.《ネタバレ》 シリーズ15作目。今回は市の仕込み杖があと一人斬ったら折れてしまうという衝撃の設定。なのでシリーズではちょっといつもと違う印象の映画に仕上がっていて面白かった。ドラマ重視のつくりで夢の中で杖が折れて市が斬られるというシーンは杖があと一回しか斬れないことへの市の恐怖心がよく出てるシーンでとても印象に残った。そしてなにより刀鍛冶を演じる東野英治郎が味のあるいい演技を見せていて市に仕込み杖の事を話すシーンや娘のことを話すシーンなど市とのやりとりのシーンがいい。その娘を演じる藤村志保も先週見た「座頭市喧嘩旅」より今回のほうが良かったと思うし、「座頭市喧嘩旅」と同じ安田公義監督が手がけていることも興味深いところであるが、いずれにせよ今回のほうが話としても面白くみごたえがあった。クライマックスの今回の殺陣シーンは市の仕込み杖に関する話だっただけにいつもよりもよけいにカタルシスが感じられるものとなっていてシリーズの中でもとくに印象に残る。またシリアス目のストーリーの中にあって市のとぼけた表情や、コミカルな仕草、水前寺清子や藤田まこととのやりとりが雰囲気を和ませているところも良かった。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-05-19 13:44:47) |
4.《ネタバレ》 相変わらず勝新の座頭市はトボケた味わいと殺気が漲っていて面白い。これなんかその中でもトボけているという意味では最高かもしれない。眼啖であるにも関わらず、その巧みなまでの剣の使い方、按摩としての市も面白く、悪人に対してのあの態度、眼が見えないことを良いことに態と力を入れて悪人の肩を力いっぱいに揉む姿なんぞ、本当に可笑しい。で、今回はそんな市が飲み屋で出逢った一人の老人との話、その娘との話がこれがこの映画のキーワードとなって、色々と話に関わるのだが、何と言っても東野英治郎が抜群の存在感を示しています。殺陣のシーンの凄みは勿論、今回はそれ以上にストーリー重視の作品になっている。あと、一度しか斬ることの出来ないと言われた刀について語る場面がこの映画の中で最も印象に残る。そして、そんな刀を使って雪の降る中、悪人を叩き切る市!絶対絶命の大ピンチに、さあ、ここから先は見てのお楽しみってことで、しかし、あの市の刀の使い方、悪人のやっつけ方のあっという間の速さといい、悪いが北野武には真似出来ない。それほどの早業です。 【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-12-12 22:18:57) |
3.《ネタバレ》 座頭市というと、たいていは三隅研次監督で語られることが多いけど、実は一番多く監督しているのがこの安田公義だ。その意味では、シリーズを支えているのはこの人といっていい。安田の堅実な仕事ぶりが堪能できる。東野英治郎の刀鍛冶がいい味出してるね。これこそ『折れた杖』ってタイトルを充てたいところ。 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-07-17 23:22:19) |
2.ひたすら面白かった。やっぱ時代劇って面白いんだと再認識。なんでこんなに面白いんだろうか。さすがシリーズ化されてるだけあるね。たけし座頭市が面白かったんで勝新版座頭市も観なきゃ失礼だなと思い勝新版座頭市で初めて観たのがコレ。何から観ればいいのか分からず裏のストーリーを読んで面白そうだったから借りた。「市の仕込み刀があと1人しか斬れない」という謳い文句の内容。市って日本中で超有名人なんですね。座頭市だと知った途端ヤクザの親分が敬語になってる。さすが座頭市だな。仕込が刀が折れて市が斬られて死んだと思ったら夢だったのには少し驚いたけど後1人しか斬れないからそんな夢を見るようになった市の恐怖感が出てて良かった。見せ場の殺陣はもはや言う事ないぐらいの素晴らしさ。早い早い早いひたすら斬るのが早い。こりゃぁ誰も敵わない訳だ。鉄火場で賭けをしていて丁に賭けたのに壷を空ける瞬間に丁半を入れ替える・・・市お前は何ていうセコイ奴だ。思わず笑っちゃったじゃねぇか。それで8両(今の価格にすると160万円)も稼いでたらそりゃ狙われるって。しかも次に鉄火場で賭けした時は1000万円くらい稼いでた。もうこれだけで食っていけるじゃん。 |
1.第15作。「斬りたい奴は ワンサといるのに 仕込み杖に寿命が来た!」というのが今回の煽り。市の斬鉄剣のような仕込み杖は東野英治郎の師匠作の名刀ということが明らかになるが、あと一人斬ったら折れると言われる。ということで今作では比較的大人しいが最後の大殺陣では東野が仕立てたニュー仕込み杖で斬りまくる。「俺には廻る目がねぇんだ!」と廻り廻りヤクザを蹴散らす爽快感。そしてラストカットが綺麗です。夢の中で市が斬られるシーンがあるのも面白かった。 【バカ王子】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-10-29 21:03:13) |