21.脚本や芝居のつまらなさはやっぱりこの監督なんだけど、この作品に関しては、絹代さんと秀子さんのあふれ出る個性が、その教条的・威圧的な演出を何とか跳ね返そうとしていて、その渦のような衝突が興味深い。とはいえ、結局はあらかじめガチガチに定められた枠組みを出ることはなかったんですけどね。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2023-12-19 01:32:28) |
20.《ネタバレ》 これはオリジナル脚本ではないせいか、タダの昼ドラレベルの凡作。妹の方は新しい女性像を提示したかったのだろうが、姉妹の対比も極端というかここまで来ると姉妹とは思えず無理がある(実年齢は親子に近いし)。ラストは自死のようにこの世を去る堕落亭主の怨念が通じたのか、これも妻の性格をわかった上での行動でしょう。死後までも妻を縛り付けてコントロールしようとするDV・モラハラ堕落亭主には存在感はあり、興味深いキャラなのでもっと深堀して欲しかった。堕落亭主とは逆に、中身のない上原謙の空虚さはよい対比になっていた。 |
19.《ネタバレ》 なるほどこれには戸惑う。やけに怖い無職の夫がふるうビンタ、これはいけない、存在の深みがトグロを巻くようなのは、小津向きではない。オテンバな役柄で思い切り浮いている高峰秀子、居てくれて良かったよ、でないと陰気になってしまう。 【ひと3】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2015-03-16 21:16:32) |
18.夫からも妹からも日記読まれてたなんて・・・。もっと目の付きにくい所に置いとかなあかんで。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-07-03 09:17:03) |
17.小津監督の作品の中では、こちらも異色作の部類。 田中絹代と高峰秀子が姉妹という設定で、相反するキャラはいいと思うんだけど、 高峰秀子が妙に浮いていて、この姉妹役はちょっとピンとこなかったかな。 自分が男だからということもあるんだろうけど、山村聡扮する夫の人間像が一番判り易かった。 終盤の思わず息を呑むシーンが見所。ラストはこれでいいんだろうか? 昔の女の人の心情ってよくわからない。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-09-01 01:12:56) |
★16.制作年でいうと、あの大傑作『晩春』と『麦秋』の間にはさまれた一作だけれども、松竹でなくて新東宝で撮ったためなのか、いまイチ、いまニ。第一にキャスティング。田中絹代は実力抜群だし、上原謙はいいとして、他の方々も指摘されるように、高峰秀子がひっかかる。あの芯の強い、ちょっと意地の悪い、どこか斜に構えて、世の中に対して批判精神を忘れない、高峰秀子のあの個性は、小津さんの世界にはなじまず、やはり成瀬巳喜男の映画にこそふさわしい。それでも、『麦秋』などとよく似たカットや台詞の言い回しが多数あったりして、確立された小津スタイルの様式美を再認識するには、いいかもしれない。 【goro】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-11-13 00:58:06) |
15.《ネタバレ》 他のレビュワーも書かれていますが、高峰秀子は小津映画には合わないですね。小津映画には彼女の活きる状況があまりない気がする。でも、映画の出来は決して悪くない。当時から新しいとか古いとかの考えが今のように横行しているとは思わなかった。にしてもビンタシーンにはびっくりした。自分がビンタされたかのように驚いた。 【TOSHI】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-05-10 23:01:29) |
14.高峰秀子が全然小津調に馴染まない。他はみんな小津調なのに彼女だけが違う。でもこの異物感はイヤじゃない。古風な考え方の世界の中に現れた新しい考え方。そういう話だった。そうするとこの異物感はむしろ歓迎されるべき。どんな俳優も小津映画では小津のリズムに生きるのに、一人異なるテンポを維持する高峰秀子は素晴らしい。ということになる。静寂に波風たたせるのって楽しい。完成されたものをぶっ壊すのって楽しい。小津は自分のつくった形式を高峰秀子を使ってぶっ壊している。そしてそれを楽しんでいるに違いない。姉と喧嘩してどっちが正しいかお父さんに聞きに行く。小津の化身・笠智衆が言う。お前の好きなようにするがいいと。古いから、新しいから、じゃなく古くても新しくてもいいものはいい。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-02-10 18:05:09) |
13.小津映画はいつもレベルが高くて素晴らしいです。ストーリーはなんだか昼ドラのようなどろどろ感でしたが、、。小津監督にしてはメッセージ性の強い作品でした。 【kaneko】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-01-02 13:28:23) |
12.小津映画の素晴らしいところは、登場人物を肯定的、否定的に決めつけて描かないところだと思う。この作品も他の小津作品と一緒で、田中絹江、高峰秀子、笠智衆、上村謙、三村聡など様々な雰囲気と考え方の人が出てきて、それぞれがそれぞれ考えて出した結論を小津映画はじっと見つめ続ける。個人的には、高峰秀子と笠智の掛け合いが醸し出すユーモアと、三村聡演じる夫の苦悩する姿が印象深かった。京都御所も薬師寺も現在と変わらぬ姿をしていて、「新しいもの=変わらないもの」とは、実は人間の価値観などではなく、幾世代もの人間を見つめ続けてきた日本建築のことのように感じられた。おそらく、小津映画の一貫した映像のスタイル、登場人物への静かな視線の送り方も、日本建築のように「新しいもの=変わらないもの」として記憶され続けることだろう。 |
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11.小津作品に高峰秀子というのはそれほどないと思われる中でのこの作品での高峰秀子の演技を見て思うのは、確かにあの口調、男しゃべりは愛嬌たっぷりで楽しめる。その一方で、全く正反対の性格である田中絹代の姉への引き立て役のようにも思えてしまって、いまひとつ感情移入出来ずに終わってしまったのが残念でならない。二人に惹かれる男を演じている上原謙ともう一人、何とも嫌な奴ぶりの山村聡、小津映画でまさかのピンタの応酬が観てても辛い部分がある。あそこは出来ることならもっと違う方法で二人、山村聡と田中絹代の互いの気持ちというものを表して欲しかった。厳しさの中にもほっと出来る。そんな笑いというものが私の考える小津作品と思う。そういう意味で考えると高峰秀子の口調ぶりは確かに面白いかもしれない。けど、私の小津作品に求めている笑いというものとは何かが違う。高峰秀子の持ち味はもっと別のところにあるはずだと、それは放浪紳士チャーリーさんが書かれているように成瀬、木下作品での彼女を見ていると思えてならない。小津監督らしい人生を見つめる。人生に対する厳しさ、確かに上手く描かれているけど、私の好きな小津作品とはどこか違う。上手く言えないのだが、高峰秀子の存在があまりにも輝きすきでいて、他の俳優陣の輝きというものが少し薄い気がしてならない。 【青観】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-04-27 14:48:23) (良:1票) |
10.まず“宗方姉妹”の妹の方を演じた高峰秀子。 高峰秀子の出演作は『浮雲』をはじめ、意外と沢山見てきているが、本作での高峰秀子は最強のインパクトであった。 「本作における彼女は、彼女らしくない」と、批判の声も聞こえるようだが、いやいやかなり良かった。 特に、「~であった。」と、寅さんばりの独り語りをみせるところが秀逸。 ここに、彼女の特異な才能を見出すことができた。 次に姉の方を演じた田中絹代。 溝口作品で沢山観てきた女優だが、今まではどうも魅力を感じなかった。 特に、“女性として”の魅力を。 ところが、本作では不思議と、その“女性として”の魅力を感じることができたのだ。 あの慎ましやかな女性像。 現代の男にとっては憧れですね。 そして、その姉妹二人から想いを寄せられる色男役に上原謙。 終始、ニヤついた演技を見せている。 ずっと、いつでもニヤついているのだ。 ニヤつき頻度は、私が今まで観てきた映画の中でもナンバー1。 しかも、そのニヤつきが板についているから凄い。 さすがは上原謙。 ニヤつき上原謙。 上にも書いたように、高峰秀子が独り語りで、様々な魅力あふれる小話を披露する。 その中でも、最も私が心奪われた小話を、ここに引用してみよう。 ある寒い日、二人は皇居のお堀端を歩いていた。 男は手をつなぎたかった。 だけどつなげなかった。 二人は若かったのだ。 いつまでも歩いていたい二人であった。 しばらくして男は女に訊いた。 男「ねぇ、寒くないかい?」 女「いいえ。」 そして女はショールを肩に上げながら言った。 女「あなたは寒くないですか?」 最近、これに似た淡い経験をしたばかりなので、妙に心に沁みた。 人は自己の経験とオーバーラップするシーンを、映画の中に見出したりすると妙に感動する。 誰もが経験する自分の中の青春の1ページ。 それと似たようなシーンが、映像として刻まれている作品。 そんな作品を見た時、自分ならではのオリジナルな感動を味わえるのだ。 そして、それが映画の持つ固有の魅力なのだろうと思う。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-08-24 06:58:10) |
9.《ネタバレ》 昔の日本女性のお約束【娘時代は自由奔放に楽しくやれるのに、妻になれば全てを諦め慎ましく生きる】の典型をみたようで、、だけどどちらが素敵かと問われれば田中絹代の方かもしれないと現代人の自分にかすかに残る「古風美」を意識しました。 ラストで「男を1人不幸にした」と後悔する女の決断は確かに潔いかもしれないけど、 その女を待ち続けてずっと独身を貫き通していた「男の幸せ」はどうなるのかと。 おそらく節子は再婚することなく一生を終える、その方が映画の美意識に沿うのかもしれませんが、やっぱりそれは彼女の「独りよがり」だと思います。 個人的には高峰秀子の「~~であった」調がかなり気に入りました。超可愛い(笑) 【りんす】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-01-22 22:44:30) |
8.《ネタバレ》 今回さらに小津作品にはずれなしと再認識。田中絹代・高峰秀子・上原謙の評価急上昇です。特に高峰秀子、今まで彼女の出演作ほとんど見たこと無くて今回初めて意識して見てたけどちょっと心奪われちゃうね。上原謙がずっと微笑んで見てるだけなのもわかるというか。まぁあの性格は好き嫌い別れるだろうけど...。小津映画史上最悪なんじゃないかと思う男を演じた山村聰も良かった。ただラストに関してはもうちょっと爽快感が欲しかったかな。 【バカ王子】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-05-31 23:32:46) |
7.見られたくない日記を高峰秀子に読まれてしまったときの田中絹代のセリフ「見られたっていいのよ、古い日記なんか。今の私には関係ないわ」というところがかっこよかった。6点献上。 【omut】さん 6点(2005-02-22 09:16:28) |
6.これは小津としてはストーリーを語る事にもう精一杯状態の失敗作だと思う。なにより高峰秀子という女優が小津映画向きでない事が一番のマイナスポイント。実際木下、成瀬映画での彼女の自然体名演技を観慣れた方なら、いかにこの映画の窮屈な画面の中、無理矢理な「小手先芝居」をさせられているかわかるはず。映画のメインテーマとなっている「何が古いもので何が新しいものか」という議論云々より、言わなければいけない事を腹の中にためているだけの姉と、思った事をズバズバすぐ口に出して周囲を困惑させる妹、それぞれの性格設定自体にそもそも問題あり。笠智衆の父親が不治の病という設定もなんだが意味ないような感じ。えへらえへらと薄ら笑いを浮かべているだけのモテモテ上原謙より、無職のプータローだがどっしり構えている山村聡のほうがよっぽど魅力的。しかし格調高い小津映画で必殺七連発平手乱れ打ちを観られるとは思ってもみなかったよなあ。 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-01-15 14:22:23) (良:1票) |
5.小津作品初めて見てみましたがこの雰囲気はなかなかよかったです。ほかのも見てみようという気にさせられました。 【るいるい】さん 6点(2004-11-07 20:30:48) |
4.小津監督が撮ると小奇麗になりすぎてしまって・・・バーのママとその妹、ママのヒモの旦那、ママの元彼の家具屋の社長、社長の愛人の未亡人、この面子だったら普通はもっとドロドロした雰囲気の愛憎劇になる筈なのになんでこんなに爽やかなんだ?「風の中の牝鶏」では何があろうと離婚を口出さなかった女性がついに離婚を考え出す。これが古風といわれた姉の行動であるところが、すでに新しい世の中、考え方なんだろう。旦那に死なれて、父が言う”新しいものが良いという風潮は乱暴すぎる”この言葉の意味が良く判ったことだろう。旦那の想いや自分の態度、行動を考えたら彼女の下した決断に辿りつくことも頷ける。 【亜流派 十五郎】さん 8点(2004-10-17 12:17:54) |
3.姉妹に個性的な女優を使っている点が魅力ですが、あまりピンと来ない作品でした。それは現代の視点からみたら、「さっさと別れてしまえばいいのに」と思ってしまうからだと思います。それに現代の女性と比べれば、高峰秀子演じる妹も充分古風に思えてしまいました。 【プミポン】さん 3点(2003-12-14 05:47:21) |
2.「新しい」と言うことは「古くならない」こと。小津の映画のようだ。 【黒猫クロマティ】さん 7点(2003-12-10 15:36:15) |