73.《ネタバレ》 だまし続けるという愛は時には回りも迷惑になる。
そして時にはだましている当の本人でさえ世界を変えられる。
うまいこと作ったなぁという脚本のよさと、特にお母さんの演技がいいですね。
「フォレストガンプ」のような時代を見事に融合させた演出もにくい。
遠い昔のことではなく、サッカーW杯のシーンまで・・
どちらの国が悪いわけじゃない、統合されようが心はだまされたっていいじゃあないか。
だまされたままじゃなく気がついていただろうお母さんの目が優しい。
「すばらしいわ」と彼女はドイツがひとつになった本当の嘘より、
息子の理想郷にまで作り上げた愛の嘘に微笑む。
終わりよければすべてよしと言ってしまえばハリウッド映画みたいですが、
こんなに良質な作品って最近あったかなと思うのです。
確かに中だるみなところもあるし、コメディなのかシリアスなのか??という
不自然さはありますが、この弱いようでいてひたひたとくる、
すべての人に愛を(親子愛だけにとどまらない演出)でまとめてしまっても、
全然嘘っぽく感じないのです。
まさに感化されてしまいました。二日続けて自分でもうなづきながら納得。
本当にこんな世の中があったらば・・と。
現実はそうではない、自分でももっとエキサイティングでわがままな世の中も見たい。
でもこんな理想主義(風刺しているのは社会主義&資本主義なのですが)も、
映画の世界ならいいんじゃないかなと、ちょっと夢みさせてよと思いました。
演出で一番気に入っているのが、レーニンの像が宙を行くシーンです。
握手を求めている・・でもどこかに連れ去られて(撤去)どこへ行くのか・・
題どおり、グッバイレーニン!、さようなら社会主義なのです。
日本に生まれ育っていく自分としては、国が変わるというさまはわからない。
変わるといっても年号くらいでしょう。
他民族でもないし宗教国家でもないし戦争もない。
それでも感動できたのは、近い時代のこととテーマが普遍的なものだからでしょう。