7.《ネタバレ》 オレグ・ペンコフスキー。彼の名を現在生きている人間は記憶に留めておくべきだし、そりゃ旧ソ連の中においては裏切り者であっただろうけど彼の名誉が本国でも回復されることを切に願う。
国家って酷いもんだな。情報をリークする者もそれを受け渡す任についた者も、良いように使われた挙句積極的に救済されないんだもんな。KGBの酷薄なことはもとより、CIAだって大して変わらず国家ファーストで個人は顧みられないんだね。細かいことだけど、グレヴィル夫人に説明に訪れたCIAの女職員の華美な恰好にちょっとイラっとしました。そんなリッチな風体で夫の危機を告げられてもね。この辺も演出なのでしょうか。
サスペンスタッチの諜報劇は見ごたえありますし、特にKGBの探るような目つきは人から壁までおっかない。
ラストに流れるグレヴィル・ウィン本人の映像を見るに、失礼ながらCIAが「KGBが目を付けなさそうな人物」と評した像にぴったりなんですな。その点B・カンバーバッチだと知的な感じが否でも滲んでしまって、ベストなキャスティングとは言い難いと思ったなあ。ベネさんは大減量に臨んでの熱演でしたけども。