15.観終わった直後は、なんでこんな重いもの観ちゃったんだろう、もっと明るいものを観ればよかった、と後悔した。しかし、時間が経つにつれ、思い出しながら癒されていく私。もし自分が死ぬとき、私の場合は子供もいないし姉弟もいないので、死んだ後のことまであれこれ考えなければならない。でも、もし惑星が衝突してきたら、そんなこと考えておく必要はないのだから、とても気が楽かも。そう思うとこの映画で自分の最後と終末をリンクさせるのは面白いかもしれない。これを観終わったあと、邦画の「妖星ゴラス」を観ることを強くお勧めする...ことはない。 【ソフィーの洗濯物】さん [DVD(吹替)] 8点(2012-11-02 19:12:26) |
14.《ネタバレ》 舞台設定といい、画や音楽の使い方といい、明らかにタルコフスキーの再来の印象。 ■確かに非常に美しいのだが、特に前半部分が長いのが明らかにマイナスに出ている。「一般人の期待/鬱の主人公」の期待の対比はいいのだが、あれはダラダラしすぎ。スパッと印象的カットで決めてしまって、後半につないだ方がよかった。後半はいい展開と描写をしているだけに残念 【θ】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-11-02 00:53:01) |
13.《ネタバレ》 ラース・フォン・トリアーは相変わらずイカれてることは良くわかりました。でも、これなら、日本ではもっと凄いイカレっぷりを富野由悠季が「伝説巨神イデオン」で見せてくれてるんですよね。(ちなみにイカれてるは褒め言葉です) まあ、とにかくかなり私小説的な物語の世界の狭さと惑星が地球に激突するという設定のスケールの大きさのギャップが、美しすぎる映像に引っ張られていて非常に興味深い魅力を産み出しています。 ただ、第1部のグダグダな展開はもう少しカットできるような気がしましたね。第2部後半の終末に向かう緊迫した展開が良かっただけに勿体無いと思いましたね。 【TM】さん [DVD(吹替)] 7点(2012-09-27 23:43:01) |
12.これはキューブリックの感性を上回る作品でした。映画の進化が著しく、秀作が目白押しの気がしますが、その中でもこの作品は凄かった。映像的にも、音楽的にも、演出的にも。いろんな意味付けが可能なのでしょうが、映画好きな自分には、自分の中で「映画的」という形容詞ができあがってます。まず結婚式に時間をたっぷり使います。実に豪華な顔ぶれ。ここはここで群像劇的な色合いで、ジャスティンの女性心理をじっくり描きます。そして一転、姉のクレアの惑星接近に動揺する彼女をじっくり描きます。いろんな意味付けができるのでしょうが、自分はこの二つの視点を持つ映画の「映画的さ」にひたりました。ラースフォントリファーの世界にひたったんですねぇ。そして「映画的」をたっぷり感じ取りました。彼の容赦のないラストを持ってくるストーリーには辟易もしますが、この作品で大好きな監督になったことは間違いないです。最初の数分を観て、ネットでDVDを購入しました。 【トント】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-09-19 04:26:59) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 冒頭に、堂々と結末が示されているにも拘わらず人間ならば誰もか抱いてしまう一縷の希望という物が、針金のワッカを覗き込むワンカットで見事に打ち砕かれてしまう瞬間が、さりげなく凄いです。 パニックに陥る街の様子なんて一切描かずに、細かな現象の積み重ねで想像させてしまう演出力には感動します。 永年仕えてきたであろう執事のおじさんが突然来なくなってしまう、なんていうのも人々の救いようのない事象を強く暗示していますし、1部と2部で描かれた相反する『絶望』と『調和』が、同じ点に向かって収束してゆくという構成も、とても思惑的です。 これがハッピーエンドと言うならば、こんなシニカルなハッピーエンドは見たことありません。 最も静かで、芸術的な気概に満ちたディザスタームービー。 もう四回見ました。 【Beretta】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2012-09-07 18:00:37) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 トリアーの作品の多くは、神経の弱ったアウトローの人間を、まわりの複数の人間たちが、「もっと周りの人間たちと協調しなさい」と注意したり、「かわいそう」と同情したり、憎んだりする描写が中心に描かれている。鬱とは何か?それについて他人は「悩むな」とアドバイスを与える。「もっと頑張れ」とも言う。しかしそのアドバイスには、憎しみと軽蔑が含まれていることに、言っている本人たちが気が付いていない。これを偽善という。トリアーはこの「偽善」を描くために生きているようなものだ。社会の一員になれない異端児を攻撃する本能が、われわれ社会にはある。地球破滅願望の心理は単純です。今、鬱病の自分が持っている不安を凌駕する不安が起これば、小さな不安は消えるからです。しかもそれは自分だけの不安ではなく、自分に対して「もっと頑張れ」とアドバイスをおくる憎悪すべき人々まで巻き込むことができる。姉のクレアの「滅亡」に対する恐怖は、さぞかし主人公にとっては心地よかったと思います。反対にメランコリアが地球から離れていこうとしたとき、彼女は少しがっかりした様子さえ見せます。トリアーはどの作品でも一貫して、社会の一員になりきれない弱者を描いてきた。そしてそういう弱者を周りの我々が、同情や軽蔑によって攻撃する様子を、偽善を交えて描いてきた。偽善こそ憎むべき存在であり、それは人類そのものを意味する。メランコリアは主人公の期待通り、すなわち彼女の敵である我々を滅ぼすために、再び地球に接近する。そして滅亡!ついに出たよ、トリアー流のハッピーエンド。彼の頭の中は人類に対する復讐心でいっぱいなのでしょう。そして私はそういう彼に共感するのだ。勇気を持って爽快感を味わえる映画だと断言しておきます。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-08-18 20:18:55) (良:1票) |
9.オープニング、田園風景を馬が疾走するシーン、惑星が接近などの映像は綺麗かつ幻想的で素晴らしいの一言につきる。 でも、前半の結婚式は退屈でエンターテイメントとしては今一だろう。観ているだけで、イライラしてくる。(鬱病の人が主人公では仕方ないかも) ラース・フォン・トリアー監督とは、あまり相性が良くないのかも。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-08-18 00:46:01) (良:1票) |
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8.『メランコリア』とはズバリ鬱病のこと。重度の鬱病を患う天才監督による鬱病をテーマにした映画ということで、大変興味深い仕上がりとなっています。。。 この映画はかなりシンプルな構成となっており、ラース・フォン・トリアー監督作品としてはわかりやすい部類に入るのではないでしょうか。第1部で描かれるのは、結婚式という人生の一大イベントの中で奇行を繰り返す鬱病患者の姿。第2部で描かれるのは、人類滅亡という狂気の日を迎え、完全に理性を失ってしまう一般人の姿。第1部における主人公ジャスティンの姿にはかなりイライラさせられるのですが、第2部との対比によって鬱病患者の置かれた状況がよく理解できるという面白い構成となっています。。。 鬱病患者にとっては狂気の世界こそが日常であり、普通の人たちの輪の中に入れられ、普通に振る舞うことを強要されるということは激しい混乱を生むようです。愛する花婿と二人っきりの冒頭では幸せいっぱいだったジャスティンですが、大勢の客人の前に引きずり出されるとその笑顔は曇ってしまいます。家族が良かれと思って設けた宴なのですが、状況は彼女の許容範囲を完全に超えてしまっていたのです。結果、制御不能となったジャスティンは奇行を重ねるのですが、それは彼女に無理を強いた周囲に責任があったはず。にも関わらずすべての人から責められたのはジャスティンであり、愛する花婿も、生き甲斐だった仕事も失ってしまいます。。。 第2部は、「今日で世界が終わります」と告げられた一般人の物語。常識人だったジョンは妻と息子への義務を放棄して服毒自殺を図り、残された妻クレアは息子を連れて右往左往するのみ。人類滅亡という状況は秩序の中で生きる一般人の許容範囲を超えてしまっており、混乱した彼らはひたすらに奇行を繰り返すのみなのです。結婚式という場に引きずり出されたジャスティン同様に。鬱病患者は好んで奇行に走るのではなく、彼らにとって受け入れがたい環境に置かれたことによる避けられない反動として奇行が表れてしまうということを、監督は訴えているようです。。。 一般に、精神病患者を社会に戻すことが”治療”と言われていますが、我々とはまったく違う世界に生きる彼らを無理矢理に我々の世界に引き込むことが本当に正しいのか?この映画はかつてない構図でそのことを訴えてきます。この監督の圧倒的な構成力には相変わらず恐れ入りました。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2012-08-10 14:42:17) (良:3票) |
7.《ネタバレ》 確かに、映像的には美しかったですねぇ。主人公のジャスティンは、結婚パーティーだというのに見事なグズグズっぷりで見ていてイライラしちゃうほどなんですが、要するに彼女は鬱病なわけですね。だから人生で一番幸せなときなのに、全然幸せを感じてない。この主人公は、まさしくラース・フォン・トリアー監督それ自身なのでしょう。彼もまた、鬱に悩まされていたそうな。惑星メランコリアが衝突するという時、ジャスティンはある種、悟りを開いたかのように平穏としていて、姉の方が落ち着きなくなるわけですが、これはまぁ、独り身のやつが街中で幸せそうなカップルを見つけて「うぅ~、地球が爆発すれば良いのに」て思うのとそう変わらないような気もします(笑) 。自分の怖いもの、邪悪だと思うものが全部吹き飛んじまえばいい、監督自身が、こういう映画を作ることである意味治癒効果にでもなってるんじゃないかしら。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-08-07 10:50:25) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 メランコリアがうつ病とは知らないで見ました。後で知って、なるほどと思える作品です。背景にある地球滅亡というのは、実は私も持っている感覚です。最近の異常気象、地球温暖化、金持ちしかやっていない株式投資などのマネーゲームでおかしくなり、そこに貧乏人も払っている税金で救済し、経済がおかしくなり、年金などのなくなっては困るお金をギャンブルし、発展途上国が次々と発展してきて、地球をどんどん汚します。しかし、これを止める手だてがありません。なぜなら、それを私たち先進国がやってきたことだからです。なんという憂鬱なことでしょう。ただ、地球があのように滅亡するとは思っていません。人類が滅亡するだけなのです。そう、恐竜のように。地球のガイア論がありますが、私はそれも信じています。地球が息をとめるか、寒くするだけでほとんどの動物が死にます。それをしそうだと思っているのです。私もうつ病かもしれません。 【matan】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-05-20 15:15:48) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 鑑賞直後の不思議なほど清々しい気分といったら! 前半でいかにジャスティンが常軌を逸していて、健常な人から見るといかに不快な女であるかを、不快なくらい長時間見せつけて観客をイライラさせるテクニックが良い。そして人類全体にメランコリア(ここは鬱病と解釈したい)が忍び寄るにつれて、健常だった人々はまさに鬱の症状を呈し、鬱病のジャスティンは全てを悟り健常に…。 そうか、鬱病ってもしかすると自分だけが苦労しているとか、不幸であるとかいう孤立感から引き起こされるのかも。だからジャスティンは人類はこの地球上にしかいない、そしてそれがもうすぐ根絶やしになると悟って生き生きとして、人類代表のクレアと旦那(と執事?)は鬱へと進んでいくんだね。 真実はどうなんだろうか…自分も人類は地球上にだけしかいないような気がします。 そして有史以来ずっと孤立していた人類が生み出した大きな大きな鬱がメランコリアとなってやって来たのかも。 【HAMEO】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-04-17 16:21:14) |
★4.《ネタバレ》 監督はジャスティンに救済の最期を与え、クレアに苦痛と恐怖の最期を与えた。うつ病のジャスティンに、自分自身を投影したのかもしれない。でも僕は、ジャスティンなりに勝ち取った最期だったのではないかと感じる。 風邪をひいて熱が出る。なぜ熱が出るかというと、悪い菌を殺すためだ。怪我をして傷ができると、白血球が集まってきて膿ができる。ストレスを感じたら、酒を飲んだりスポーツしたりブログ書いたりして精神を安定させようとする。このように、生命を安定的に維持させようとする我々は、なんらかでそれが脅かされたとき、バランスをとろうとして何かを作動させる。 つまり、うつ病ってのももしかしたら、傷ついたメンタルに対してバランスを保とうとする機能なのかもしれない。 だとして、ラースフォントリアーはその機能を自己肯定するために、ジャスティンに安らぎを与え、対照的なクレアには恐怖を与えたのだ。 |
3.《ネタバレ》 実は試写会で一足先に鑑賞しました。 何て言うか、私にはただただ退屈な時間でしかなかった。 冒頭の映像は神秘的で美しい。 だが、それも長すぎて『え?まだ本編に行かないの??』と、冒頭からイライラ。 見終わった後は『やっと開放された!』という気持ちしかなかった。 とても観客を選ぶ作品だと思う。 私には良さを見つけることは出来なかった。 【ななのじ】さん [試写会(字幕)] 1点(2012-03-11 14:14:57) |
2.《ネタバレ》 冒頭8分間の映像、ある程度予備知識があったにせよこれが最後まで続くのかと思ったら何か笑えてしまったのですが、それ以降は一応映画としての体をなしていて一安心。全部見て解ったのですがあれは「メランコリア」を8分で見たら的なダイジェスト版でこの監督さんはあれだけが撮りたかったのか?。このオープニングにどんなラストで落としてくれるのかと思いきや、ちょっと拍子抜け。それとサザーランドさんも信じられません。前半義妹に対し「信じられない」と散々ぼやいていた彼の最後の行動、有り得ない。妹編、姉編の2部構成ですが、よくあるシュチュエーションでの異常な妹、まともな姉の置かれた有り得ない状況の対比が面白かったですが、他人に勧められるかといえばビミョーな映画でした。 【ハチロク】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-02-20 22:33:14) |
1.《ネタバレ》 なんか、すごかったです。 映画の仕立てとしては全くリアリズムのない作品で、そういうSF映画ではないというのは一目瞭然。 そもそも、前半(乱痴気ウェディングパーティー)のほうが後半(惑星衝突)より登場人物が多いなんてちょっと笑っちゃうぐらいですよね。マスコミによる報道も完全にスルーだし。 でもだからこそゾクリとさせられる。 確かにどんなに多くの人に囲まれていようが正確な情報を逐一得ていようが、それらが全く意味無いものになるという絶望的状況が、逆説的に描いているからこそより切実に迫ってくるのかもしれません。 また、あえて「生命の完全なる死滅」を主人公に語らせるなんて容赦ない無慈悲さ加減にも… それでも最後の最後には……?と思い続けるなんて私が甘っちょろいってこと? もっともあのラストは、 前半のアンニュイで不毛なやりとりを我慢して見続けていた価値あったと思えるものでしたが。 今日になって、この監督が「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を撮った人だと知りました。 ……なるほど、ですな。 またもガツンとやられた感じですが、前回よりは後味よくやってもらえたようです。 好感触。 【ぞふぃ】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-02-20 17:18:53) |