2.《ネタバレ》 英国の名家マリヨット家を中心に話が進みますが、敢えて言うなら主人公は時代の変化そのもの。マリヨット家はその中の一例にすぎず、さまざまな階級の家庭にそれぞれのドラマがある……というところでしょうか。ストーリーの進行は時代に沿ったエピソードの羅列であり、全体として統一された物語はありません。が、時を経るにつれ一家も山あり谷あり。その道のりをたどるだけでも面白味があります。
映画全体を貫くものとしては、戦争の存在があります。序盤はボーア戦争で、一家の主も召使いも、アフリカに送られます。男の子は単純に戦争を楽しんでいますが、残された妻たちは悲しみにくれる。ここは、階級は違っても同じような光景が展開するところがミソでしょうか。
その後時代が進むと、第一次世界大戦がはじまります。もともと舞台劇なのでここはどう処理するのかと思ったら、いかにも元が舞台劇らしい扱いでした。しかし、これはこれでありでしょう。ここでも、「残された妻の悲嘆」が繰り返されます。しかも、今度は子供まで戦争に行ってしまうことで、嘆きがより強調されています。その後戦争が終わって「現代」、つまり1933年の正月を迎えて映画は終わるのですが、終盤は当時の情勢不安を反映してか平和への祈りを強く感じさせます。このため見終わると反戦映画という印象が強く残ります。が、そうしたメッセージがなくとも、マリヨット夫妻が歩んだ道のりを堪能させてもらって、かなり楽しみました。満足です。