4.《ネタバレ》 ホロー荘の殺人は、クリスティファンなら誰でも知っているが、単なるミステリーファンなら知っているか知らないか微妙なラインにある作品。ただ、男女の心理的葛藤が前面に出てくるので、映像化はしやすいのではないだろうか。本作はそれぞれの人間関係をうまくさばけておらず、てんでばらばらな印象。そのため三田村邦彦や和由希子、藤真利子は核心部分にはほとんど触れてこないのに、そこそこ描写があるので、何のためにでているのという気分になってしまう。その点、デビッドスーシェのポワロでは、人間関係がうまく描かれており、危険な女たちでは無駄に思えた人物も、必要不可欠な存在になっている。巨匠野村芳太郎老いたりと感じさせる映画だが、安野ともこの主題歌「ミステリユ」は、なぜか今でもそらで歌えてしまう。