17.《ネタバレ》 人生どこで転機が訪れるかわからないものだなあ。 死のうとしてたのに。仕事もお金も、何よりこの主人公には生きる希望が無くて。 なのに、特に何もしていないのに、ふっと心に気力の灯がともる。モノクロだった彼の生活に色を伴った彼女が現れたから。 かくして依頼したはずの自身への殺し屋からは逃げ続け、病を患っているというその殺し屋へ見舞いの言葉すら口をつくまでに彼の心は回復を見せるのだった。 けれんみとかドラマチックとかいう言葉をどこかに置き忘れているカウリスマキ作品群の中でもとりわけ淡々としている本作。イギリスに住むフランス男の情操が、暗いんだけどユーモアを帯びているのがいかにも同監督ぽい。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-11-10 23:48:56) |
16.《ネタバレ》 ジャン=ピエール・レオっていうのに驚き、もっと驚いたのはクラッシュのジョー・ストラマーの登場です。いや~ほんとにびっくり仰天で私にとってはとんでもないサプライズでした。 そして舞台はイギリスで言葉は英語でイギリス在住の死にたかったフランス人なんですね、雰囲気といい花売りとかいったい年代はいつなのかと不思議でもあるんですが、花売りのマドンナとか自殺を試みる人とか「街の灯」を思い出し、花売りのマーガレットはヒッチコックの映画に出て来る主人公と恋に落ちる ワケあり女みたいだし、いろいろと思い出しました。 いちばん笑ったのは「フレンチ・バーガー」何がフレンチなのかと思えば、その店の主人はなんとセルジュ・レジアニでして、フランスを代表する俳優二人のバーガー屋だからフレンチなんですかね、笑いました。いつもダークスーツのアンリがサングラスをかけたら一気にフィルム・ノワールを醸し出すとこもいいです。イギリスが舞台のフィルム・ノワール的なブラックコメディですかね。 このフランスの名優二人をロンドンの酷い背景の中で撮影したのか。。。とにかく最初から最後まで皮肉満載と感じる映画でした。 プレスリーの肖像画が飾ってある店で軽快に歌うジョー・ストラマー、彼は先天性の心臓疾患を抱えていたらしく50歳で亡くなっている。本人はそれを知っていたのかどうかはわからないんですが、死にたい、死にたくない、死が迫っているという登場人物の映画にジョー・ストラマーが出演してることが、今だから言えることだけどなんだかズキンときてしまいました。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-11-14 13:49:46) |
15.《ネタバレ》 カウリスマキって絶望してる人が淡々としてるんだよね。他の国の映画だったら、大声で騒いだり、誰かを傷つけたりするのに、この国の風土でしょうか、静かに運命を受け入れるんだよね。じゃぁそんな国だったら、みんな優しいのかって言ったら、「人生は美しい」とか言う殺し屋が殺人現場で彼に罪をなすりつけたり、結局、損する人は損をするんだろうね。彼の映画はホント、そう。損する人は損するんだけど、ある限界点が来たら、犯罪でも自殺でも淡々と実行する、そんな人たちを見つめてる。結局、どこの映画にもあるパターンなんだけど、彼はそれをのんびりしたテンポで描くもんだから、こちらとしては、そんなに気が荒まないんだよね。不思議な感性だね。彼自身も絶望通り過ぎちゃって、不思議な心の安らぎの中にいるよう・・。彼は、表現を通して、不安を押しつけない監督なんだね。だから、彼の作品はもう一回観ようって気になるんだ。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-05-31 21:33:44) |
14.この人の映画はまず上映時間がいい。かつてのベルイマンもそうだったが、北欧って映画時間を無駄に長くしない伝統があるようだ。そしていつものように、ついてなさ・不運を過剰に受け入れていく主人公がいい。寝てるイギリス人よりも働いているフランス人のほうが首切りの対象になる。机も持ち去られる。で彼はちょっと上を見上げロープを買う。ガス自殺に失敗したわけは、新聞(ガス会社のストライキ)で明かされる、と無駄がない。で殺し屋に自分の殺人を依頼する(金時計の金)。『豚と軍艦』の丹波哲郎だ。向かいのパブに行くのに、メモを扉に残しておく律儀さ。請負人を街で見かけると宝石強盗をやっており、ピストルを渡されじっと防犯カメラを見上げ、振り返ると窓いっぱいの目撃者、なんてあたりアキの本領発揮。殺し屋のところでかいがいしく家事をしてる娘もいい。そしてぶきっちょにハンバーガーを焼く手つきからの再会となっていく。充実した80分。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-10-14 09:46:51) |
13.はっきり言ってしまえば、こんな人間いないでしょうね。でも、リアルと呼ばれるそれを追い求めたってつまんないです。映画の可能性が萎縮してしまいます。それをぶっ壊すくらいのつもりでやっている監督は今までも、これからも次々現れます。その中で、カリウスマキ監督が突き詰めていこうとするのは映画の限界だと思います。映画そのものにある力を極限に引き出したいと考えているのでしょう。だから、脚本を始め、演技、演出全てがシンプルなんだと思います。立ち上がる、座る、横を向く、驚く。とにかく全てがシンプルで、無駄をそぎ落とした感情そのものが伝わってきました。死にたいが愛する人に出会い、生きたいへ変わり、殺す者に追われ、逃げる。ただそれだけだけど、その表面にある生を見つめ、死から逃れようとする行為、全てが活き活きしていて、輝いて見えた。耳を塞ぎ、台詞を読まなくてもわかるこの作品。これぞ映画。これぞ芸術。 【ボビー】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-06-28 19:56:32) |
12.こんなサスペンスコメディを撮らせてもこの監督は相変わらず、あっさりと淡々とした雰囲気は絶対に崩しません。好きなんですが、地味になりすぎてしまっているので。もうほんの一味ほしいところです。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-04-14 17:36:12) |
11.本当に心に沁みるアキ・カウリスマキらしい「大人のための童話」といった感じの作品ですね。いろいろと考えさせるものがありました。イギリスが舞台ということで、他の作品とはまた違った雰囲気ではありましたが、中々新鮮で良かったです。 劇中、ジョー・ストラマーがちょこっと出てましたけど、やっぱ格好良かったですね。 【TM】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-09-16 22:09:25) |
10.《ネタバレ》 会社をクビになった男が自殺をしようと、殺し屋に頼んで、自分を殺してもらおうしたら、ある日、1人の女性に恋をしたからやっぱり死にたくない。そしたら今度は殺し屋から逃げることになる。まあ、ありそうな話ですが、結構、面白く出来ていて悪くはない。ただ同じ監督の作品なら「浮き雲」の方が私は好きです。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-05-15 21:53:41) |
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9.この監督の作品は、どれもが引き込まれていく不思議な魅力だ。 ところで、常連のマッティ・ペロンパーが一瞬出ていたような気がしますが、いかがでしょう? 主人公がサングラスを買う場面、「1ポンドだ」とお金を請求する人。(これ、恐らく店のではないでしょう・・・) |
8.とても面白かった。生真面目だけど間抜けなところが魅力的な主人公はじめキャラクターがみんな素敵。普通ならすっとばしてしまうような細部を描いて、決めのところは敢えて隠して、という描き方が観る者の想像力を膨らませてくれました。笑わせてくれるのに最後はしっかりカッコよくきまったのはジャン=ピエール・レオの名演技によるところが大きいかもしれません。いい俳優さんだなあ。 【クリロ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-09-19 13:03:24) |
7.《ネタバレ》 よかったわー。 展開は誰でも予測できるようなわかりやすさだし、BGMもほとんどなく淡々と進むのに、いつの間にか映画の中の世界にしっかり引き込まれちゃってたわ。最初は死にたがってたくせに途中で気が変わっちゃう主人公と、殺し屋なのに病気で自分の命のほうが危ないコントラクト・キラー…人生を達観しまくったような、この絶妙な雰囲気がたまらないわ。 主人公の男も最初はうっとうしいオッサンってだけだったのに、女ができて生きる希望を持ちはじめると、だんだん魅力的になってくるのが不思議ね。 それにしても、金かけなくってもCG駆使しなくても二時間観客をひきつけることは十分可能だっていう、なんか見本みたいな映画だったわ。 【梅桃】さん [地上波(字幕)] 7点(2004-04-01 17:18:31) |
6.他の事をしながらテレビ放映を何気なく見ていたら、意外に面白くて途中からは作業を止めて見てしまいました。カウリスマキという名は聞いたことがありましたが、この作品が初めての出会いでした。地味ながらも、ほくそ笑んでしまうようなネタが多く、こぢんまりと上手くまとまっている良作と思います。 【プミポン】さん 6点(2004-02-22 22:21:57) |
5.《ネタバレ》 わざわざ日曜大工店でロープを買ってきたりして、結局自殺できない主人公ジャン=ピエール・レオの姿が笑える。殺し屋(コントラクト・キラー)に自身の暗殺を依頼した直後に生きる意欲が湧いてきたりと、テーマは重そうだけど紙一重のところでコメディになっているのが面白い。主人公を追い回す殺し屋さんの方も、癌を患う子持ちの父親という泣けるキャラクターでしたね。やっぱりアキ監督の映画はまった~りとしていて良いです。 【かんたーた】さん 8点(2004-02-20 23:44:37) |
★4.《ネタバレ》 役者の顔があまりにもいい。カウリスマキ作品の中ではテンポも良くて初めての人でも見やすいのではないでしょうか。ジョー・ストラマーが頑張っているところが見られるのも嬉しい。色使いも綺麗。 【藤堂直己】さん [映画館(字幕)] 9点(2004-01-24 12:33:09) |
3.《ネタバレ》 あー、もう。世の中嫌になった。という気分で死を考える事はよくある。すぐに怖くなってやめるけど・・・。この主人公の行動パターンは分かりやすい。なんか友達にいそうだった。それがなんかおかしかった。人生なんてくだらねぇ、と言って死んじゃった殺し屋さんが、かわいそうだった。本当はもっと生きていたかったんだろうな。子供にももっといて欲しかったんだろうな。反面、死にたがっていた主人公は悪運強く生き延びて・・・。運命って本当にどうしようもないもの。誰かのセリフ、「人間は誰でも死ぬという運命にある」のは確かなんだから。せつないね。でも、あの医者のセリフは名言。「神を信じなければ地獄は無い。」確かにその通り。信仰心を捨てることで逆に前向きになるって素晴らしい発想だと思う。ああ、映画っていいなって思えるようなストーリーだった。BGMのセンスも良いし、画面の色使いもとてもきれいだし、ほんとまったりできる良い映画だ。難を言えばまったりしすぎてちょっと眠たい。 【ぷりんぐるしゅ】さん 6点(2004-01-21 20:45:04) |
2.《ネタバレ》 深夜にテレビでやっていたのを偶然見つけ、少しのつもりが結局最後まで引き込まれて観てしまいました。映像も暗くてちょっと不気味なんだけど、ちょっとしたタイミングのズレや関わる人間の事情なんかで結局主人公が生き延びてしまうのがおもしろかったです。不気味なのにクスッと笑っちゃうっていう感じです。この映画は真夜中に観るといいと思います。 【きょうか】さん 7点(2003-12-01 16:52:30) |
1.自殺したいが死にきれず、殺し屋を雇って自分を殺してもらおうとするが・・・ブラックな話の展開の面白さもさることながら、「殺し屋といえば→初老で肺病、余命幾ばくも無し」みたいなインチキ臭い設定が、何とも人を食ってます。 【鱗歌】さん 8点(2003-06-08 00:39:57) |