18.《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。パルムドール受賞作とのことですが、正直言って面白くありませんでした。アンリ・コルピは編集の専門でもあるというのだけど、意図のよく分からない唐突なカットやカット繋ぎが散見され、はたして映画表現として優れているのかどうか疑問に感じます。抑制された叙述の中で何が描かれるか期待したものの、総じていえば、記憶喪失をネタにした通俗的なメロドラマという印象しか残りません。わたしは成瀬巳喜男が苦手なのですが、自分の価値観と国際的な評価が乖離する点でも、成瀬の映画と似たものを感じます。 【まいか】さん [インターネット(字幕)] 6点(2022-06-09 00:36:20) |
17.もう60年も前の映画なので、時間がゆっくり流れています。無声、無音の時間も鑑賞できるなら楽しめるのでしょう。私は「夫と確信したいなら身体的特徴を確認した方が早いだろう」とか、もどかしさも感じたのも確か。 【毒林檎】さん [インターネット(字幕)] 4点(2020-05-20 14:35:46) |
16.《ネタバレ》 アルベールの失われた記憶が「甦らんのか、何とかならんのかっ!」じれったくてじれったくて。テレーズの思いは私の何千何万倍ものでしょう。両手を上げるアルベールに体に刻み込まれたかのような記憶がどれほど過酷なものであるか目に浮かびます。「何時までも待つ」思いが彼女の生きる糧になるのであろう「冬になったら帰ってくるわ」が深い余韻を残します。 2回寝てしまって3回目で完走。リトライした価値のある秀作。 |
15.《ネタバレ》 静かな映画である。1960年、パリ。スマホはおろかFAXだって無い、今よりずっと社会全体がゆっくりだった時代。さらに季節はバカンスを迎えて通りに人がいなくなり、静まり返った日常にふいと現われた行方不明の夫。 妻は一人必死に記憶を呼び覚まそうと奮闘する。性急にならぬよう、自制しながら。レコード音楽がゆるゆると流れ、妻の激しい一念とは裏腹に、何もかもがスローにおっとりと描写される。1カット固定でじっとしているシーンも多いし、オペラを一曲聴かされるのも退屈で苦痛に感じる人もいるだろう。 だけど、それまでのどっちつかずのもやっとした空気がラストシーンで一変するのだ。妻の努力が、周囲の気遣いが無に帰すあの瞬間。どんなに必死に思いをかけても、彼の脳裏に甦るのは収容所での苛酷な記憶なのだ。 かくもかくも、その不在の長きことに胸を衝かれる、非情のラストなのでありました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-12-18 23:45:52) |
14.昔のヨーロッパ映画って退屈です。描き方とか余韻の残し方は文句のつけようがないんですけど。奥さんの演技が秀逸でした。 【色鉛筆】さん [地上波(字幕)] 4点(2008-12-29 10:54:33) |
13.なんというつまらなさ。 苦痛の100分だった。 もし本作が生まれて初めて観たフランス映画だったなら、二度とフランスを映画を観たいとは思わないでしょう。 なんでこんなに肌に合わないのか・・・と思案していたら、アラン・レネ監督の名を思い出した。 下の方のコメントを読んでびっくり。 やはり、この監督はアラン・レネ絡みだったのか。 フランス映画は数多く観ているけど、自分的にフランス映画ワースト5に入る程の退屈さだった。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 1点(2008-03-10 22:06:32) (良:1票) |
12.《ネタバレ》 第二次世界大戦の真っ最中に夫をナチスドイツ軍に連れ去れらた妻を演じているアリダ・ヴァリの心の美しさ、人間的な温かさが染み入る。これはどこから見てもいかにもフランス映画らしい優しさのあるドラマ!戦争映画ではあるけど、戦争シーンを描くことなく戦争の傷跡、傷みというものを描いている。ここらがいかにもフランス映画らしくて良い。ハリウッド映画がよくやるようなドンパチ、ドンパチの戦争ものとは違う。記憶を失い放浪者となってしまった夫の記憶を取り戻そうとカフェで思い出の曲を流しダンスをするシーンが何とも言い難い印象を残しそうなほど心に染み入る。フランス映画を見ていて思うのは、こういう映画作り、ムード作りの上手さを毎度ながら感じます。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-02-27 20:29:35) |
★11.映画『かくも長き不在』に関しては生まれて来る前の作品ですが、 修行不足の方々に対して少しでもお役に立てればと思います。 便宜上、この物語は序章プラス4つの重要な場面で構成されているものとし、 主演の二人(テレーズと浮浪者の男)の位置関係を中心に説明すると判りやすいんじゃないでしょうか。 まず序章。オープニングでは小説を読んでいる時に誰もが思い浮かべるイメージを印象的な映像として映し出す。 それはあたかも絵画や写真を観ているようで、これから始まる物語に否が応でも期待してしまうし、決してその期待を裏切らない。 ①彼女はカフェの女主人として働き、接客姿勢は少々ぶっきらぼうで男勝りな印象を受けるし、また、 恋人がいることから、戻ってこない夫を待つだけの女ではない自立した女性を表現しているようである が、どことなく陰のある暗い表情を浮かべているような気がする。 そんな折りに、ナント、長い間戻ってこない夫にソックリな浮浪者の男が目の前に現れる。 彼女の記憶の片隅にある、忘れようにも忘れられないどうしても引っかかっていることを解決してくれそうな出来事だ。ここから忘れかけていた時間を取り戻そうと 彼女は変化していきます。 ここでの二人の位置関係は手が届きそうで届かない距離にある。 そこで彼を店に連れて来ようと試みるが、男勝りな性格は鳴りをひそめ、 第三者を介して行い自分は店の裏に隠れているといった姿はあたかも思春期の 恋する女性のようである。 ②一緒に食事するシーン。「チーズ好きでしょ?」過去の記憶が走馬灯のように駆け廻る。 もう彼は手を伸ばせば届く距離にいる。 夫に違いない。でも、様々な感情が入り乱れる。 ③一緒にダンスするシーン。 とうとう彼に手が届いてしまった。ふと彼の後頭部に手をやると大きな傷がある。 これは彼が記憶を失ったんじゃなくて、ナチスによってロボトミー手術を施されたと僕は勝手に解釈します。 この時、彼にもたれかかり哀しい表情を浮かべる彼女にはどうしても心が打たれてしまう。 彼女にとって、もはや夫でも夫じゃなくてもどちらでも構わないんでしょう。いや、話の流れ上、夫であって欲しいと思います。 ④ラストでホールドアップする男。 戦争シーンなんてなんにも無いにも関わらず、戦争の悲惨さはひしひしと伝わってくる。 反戦映画・恋愛映画・ドラマとして胸を張ってオススメします。 【Fatman】さん 9点(2004-12-09 14:06:39) (良:1票) |
10.映画によって、戦争を描くとき、さらにはその非人間性を描こうというとき、果たして、このような「幻想的」なアプローチをしてみようと、普通、思うでしょうか? しかも、まさかこのアプローチがこれほどの効果を上げるとは? 一人の女と、記憶喪失の旦那(とよく似た男)のやりとりが、時にはセリフを抑え、回りくどいほどじっくりと描かれ、気だるいような弦楽の響きの音楽ともあいまって、幻想的な雰囲気を醸し出しています。もちろんこの幻想性を根底で支えているのが、「男は夫なのか、他人の空似なのか」という謎(ミステリー)。そう、「戦争」への対比として「日常」を持ち出すのではなく、この映画では全編が、戦争とは別の一種不安定な「非日常」で貫かれてます。そしてクライマックス、その「非日常」が突然断ち切られ、裏返される、この衝撃。その先にあるのは結局、絶望的な「日常」なのか? ラスト、主人公がまだ何か言いたそうにしてるのにプツンと終わっちゃいましたね(笑)。なんだか、これ以上見せるに忍びないと言わんばかりの終わり方で、印象的でした。 【鱗歌】さん 8点(2004-08-01 01:12:51) (良:1票) |
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9.私はフランス映画はよく理解できないことが多いのであまり見ないのですが、このサイトで評価が高かったので見ました。でもやっぱり肌に合いませんでした。前半はストーリーが進むようで進まなくてものすごく退屈、後半はストーリーが少し進みますが、曖昧模糊としていてすっきりしませんでした。虚学図書之介さんと同じように私も修行不足かもしれません。平均点下げてごめんなさい。 【チョコレクター】さん 5点(2004-06-06 16:11:47) (良:1票) |
8.記憶の無い男と、彼を自分の記憶の中に何とか引き込もうとする妻。二人の心のすれ違いが静かに進んでいきます。男は妻に対する感情は無いに等しいが、妻は夫への感情が不在であった期間を超えて大きくなっている。かみ合わないじれったさ、受け入れてもらえない悲しさ、いつか必ずといった希望が、さり気無く描かれる戦争の傷跡や条件反射のように断片的によみがえる記憶により、重く心に響きます。記憶に縛られ、記憶を生きがいにするしかない人間の本質が悲しい。 【パセリセージ】さん 8点(2004-06-02 20:05:20) (良:1票) |
7.ものすごく退屈で、途中で何度も居眠りしてしまいました…。カンヌのグランプリということですが、私には理解できませんでした。修行不足でしょうか…。 【虚学図書之介】さん 2点(2004-06-01 12:29:50) |
6.まず浮浪者風の男のシーン、次に大音響と共に軍隊のパレード(パリ祭だろうか)が映し出される。そしてアコーディオンが流れる陽気なタイトルロールへとつながる。この映画は戦争が背景にあるということを暗示させており、切り口早々から監督アンリ・コルピのセンスの良さにヤラれてしまう。本作では、アリダ・ヴァリが主人公の中年女性を魅力たっぷりに演じており、これが抜群に素晴らしい。記憶を失った夫(実は夫ではないかもしれない)に向ける情感を込めた優しい眼差し、何とか夫の記憶を呼び戻そうとあれこれ試みる姿などなど…まさに大人向けの愛のドラマ。後頭部にある深い傷の跡、名前を呼ばれ一瞬記憶を取り戻したもののそのまま悲劇につながるラストシークエンス…たったこのふたつのシーンで、この男が戦争の狂気に巻き込まれ記憶を失ったことが分かる。切々と描いた夫婦愛の名作にして、見事な反戦映画。 【光りやまねこ】さん 9点(2004-05-13 10:43:35) (良:1票) |
5.コラ・ヴォケールの「三つの小さな音符」が好きで好きで、それで映画も見ました。でもごめんなさい。映画の感想はよく覚えてません。がっかりした覚えもないので、この点数です。コラ・ヴォケールが日本にきたときコンサートにも行ったのですが、さすがにもう死んじゃったかなあ・・? 皆さんの熱心な書き込みを読んでいて、久しく忘れていたこの曲を思い出しました。しんみり・・。 【おばちゃん】さん 7点(2003-07-28 11:04:11) |
4.アリダ・ヴァリが素晴らしい。考えてみれば、マルグリット・デュラスの原作・脚本作品って、『二十四時間の情事』のエマニュエル・リヴァといい、『雨のしのび逢い』のジャンヌ・モローといい、『夏の夜の10時30分』のロミー・シュナイダーにしても、ほんと女優を魅力的に見せるなあ。正直言って、アンリ・コルピの演出はただ筋を追ってるだけという味気なさを感じてガッカリなんだけど、とにかくヴァリや役者の魅力で映画は救われている。とにかく、デュラス自身が監督してりゃきっと素晴らしいものになったんだろうけど… 【やましんの巻】さん 6点(2003-06-28 15:35:26) |
3. チャップリンの「ニューヨークの王様」やアラン・レネの「二十四時間の情事」を編集したコトで知られていたエディター、アンリ・コルピの初監督作にしてカンヌ映画祭グランプリに輝く傑作。夫の名を叫ぶアリダ・ヴァリの妻。記憶喪失の夫ジョルジュ・ウィルソンの脳裏にフラッシュ・バックしたのは忌まわしいゲシュタポの記憶。「撃たないでくれ」と哀願するかの如く、両手を上げて立ち尽くす余りにも悲惨なラストに戦慄を禁じ得なかった。残酷な戦闘描写なしに戦争の恐怖と戦後の傷跡を一層感じさせる見事な手腕。マルグリット・デュラスの脚本、ジョルジュ・ドルリューの音楽いずれも絶品。コラ・ヴォケールのシャンソン「三つの小さな音符」がジュークボックスから流れる中、二人が踊るダンスの切なさに胸が締め付けられた思いであった。正に極上のフランス映画! 【へちょちょ】さん 9点(2003-01-21 02:02:00) (良:2票) |
2.(ネタバレしています)'61カンヌのグランプリ。パリ郊外でカフェを営む女の前に現れた消息不明の夫にそっくりな浮浪者。彼は記憶をなくしていた。彼は夫なのか、それとも別人か?・・・ラストで男が思い出せれば単なる甘口のロマンス。しかし、思い出さない・・・「又冬になれば戻ってくるわ」という妻の執念。二人の愛が戦争にそのまま負けてたまるかという執念を感じた。辛口の映画です。 【Tomo】さん 8点(2002-02-24 15:50:24) |
1.中学の時、淀川さんが絶賛していた。そのあとすぐ、深夜のTVでほうそうした。人生の「闇」の部分に初めて触れた映画だったのかもしれない。悲しい、本物の愛の姿なんです。そして大学にはいり、銀色夏生(←知ってる人いる?)の詩集のタイトルに「こんなに長い幸福の不在」ってのがあった。真似です。たぶん。ものまね芸人は大好きだが、真似は大嫌い。詩人を名乗る人物が、言葉の真似はいけません。引用でも、加工でもなく、「たぶんみんな本物を知らないだろう」という発想の、真似を感じずにはいられない。 【阿佐ヶ谷】さん 7点(2001-03-28 22:29:02) |