28.嫌がらせのように役者のアップ以外見せないカメラ。完全な制作者の自己陶酔だけの世界です。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2023-05-03 00:20:31) |
27.《ネタバレ》 真っ当に生きたい。失業率が20%を超えるベルギーでは切なる願いなのだろう。キャンピングカー暮らしで身体を売る母に嫌悪しながら、ロゼッタは新しい職を探しに奔走する。辛酸を舐め切った悲壮に満ちた強い表情を常に崩すことはない。そう、ワッフルを売る青年に出会うまでは。不本意ながら彼と微かに距離を縮めつつも、不法にワッフルを売ったことを社長にバラし解雇させる。仕事にありつけるも、女としか見ていない彼への復讐で募らせていく罪悪感。そして強く硬い心が折れた瞬間、彼に曝け出した泣き顔で終わるエンドロールに何を感じるのか。ハリウッドとは対極的なタッチで現実を映し出したダルテンヌ兄弟。ラストの"フィクション"の後、決して希望があるとは限らない。それでも前に進んで可能性を信じるしかない。ぬくぬくとこの映画のレビューをしている自分がどれだけ恵まれているか実感する。生活のために働く"だけ"で素晴らしいと思えないと、過酷な現実に気が狂うだけだ。 |
26.《ネタバレ》 ドキュメンタリー風に映画を撮る監督は数多くいるが、これほどの透明感、つまりは現実の質感をもった映像を生み出す監督はダルデンヌ兄弟をおいて他にない。強いていえばハネケの90年代までの映画があるくらいだ。そしてその透明映画の旗手であるダルデンヌ兄弟の最高傑作がこの「ロゼッタ」である。幸の薄い少女が主役の映画では決まって美少女がそれを演じる。ぱっと思い付くところで散り行く花のリリアン、少女ムシェットなどなど。しかし美少女とそうでない少女とでは同じ悲劇でも救いの道の数が違うのではないか。美少女に悲劇はありえないとは言わないが、はかなくも美しいその姿は否が応でもみなの同情をひき、そしてその観客の暖かな眼差しがそのまま救いの道になってしまうという自己矛盾を孕んだ悲劇になってしまうのではないだろうか。ロゼッタの容姿はといえば、力強くも美しい眼や凛々しい眉など決して不細工とは言えないが、ごつごつした輪郭に男っぽい無骨な表情、がっしりした体格など従来のヒロインのように繊細な美少女とは無縁といえる。この無骨なヒロインは食べていくのがやっとの貧困と唯一の家族である堕落した母親とに挟まれて生活をしている。こういった極限状態だからこそ、生活とは労働であるという自明の事実が際立ち、その鋭利な現実を観るものの喉元に突き立ててくる。職がなければ労働はないし、労働がなければ生活はないのだ。そんな切実さの中をロゼッタは必死に生きる。その姿はともすれば醜悪ともとられかねない。しかしそれゆえに胸を揺する泥臭い感動を呼び、この少女の幸福を心から願わずにいられなくさせる。ラストシーンで少女は涙を見せる。鋼鉄のトンネルを一人で駆け抜けきる少女などいるわけがない。 【吉田善作】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-12-03 12:36:19) |
25.いかに映像から多くのことを読み取るか。説明的でないからこそ多くのことが語られている映画だと思いました。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-07-28 21:41:15) |
24.仕事を探し、必死に生きる少女。 生きることの過酷さを淡々と映像に綴る。 そこには作られた物語はなく、一人の少女をカメラが後ろから追う形でドキュメンタリー風に捉えていく。 必死に生きる、一人のか弱き少女の生活を覗き見する様な感覚を覚え、観る者を画面に惹き付けるだけの何かを感じる。 ただし、面白味という点においては、若干不満を感じた。 そして、少女を演じた女優が、もう少し儚げな美しさを持っていたら、また別の感銘を受けたかもしれない。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-01-11 01:48:07) |
23.《ネタバレ》 カメラは徹底してヒロインに密着する。ロゼッタの登場しないカットはない。ときにヒロインが見ている方を捉えるが、それは彼女の視界としてより濃厚にロゼッタを存在させる。長靴履いた少女って、たくましくていいな。愚痴らず、ただまっとうな暮らしを熱望し続けてる。それでいて、自分の代わりに失業した女性が気にかかったりもする。これがあるから、あとで男友だちのリケを密告する凄味が生きてくるんだ。自分が溺れかけ、母が逃げた池、リケが溺れかけたとき、ちょっと助けるのをためらうとこも怖い。職が転がり込んでくる可能性。仕事で抱え込む小麦粉の袋の重さが、ラストのガスボンベの重さと拮抗する。この重さを運び続ける彼女は死ねまい、と思う。そして初めて彼女が他に頼ろうとする瞬間が待っている。立派な作品なんだけど、この振り回されるカメラが、どうも生理的に苦痛で。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-09-30 12:20:20) |
22.ファーストカットの瑞々しさにはつい目が奪われるのだが、1分と待たずに蔑視に変わる。ベルギーの貧困問題を眼前に厳密に提示することこそ主題と呼べる代物だが、ドグマ95に純潔の誓いを立てたかのような手持ちカメラ、効果音の欠如に独自の軽薄なクロースアップが加えられ、構図の喪失を招き、程々のダイナミズムを獲得している。出来事性と卑俗な設定と押し付けられる感情に支配されたえもいえぬ貧しき映画。一過性の流行だと断言しておく。 【stroheim】さん [ビデオ(字幕)] 3点(2008-02-07 14:07:27) (良:1票) |
21.《ネタバレ》 ダルデンヌ兄弟の作品らしく、音楽も無く淡々としています。「ある子供」「息子のまなざし」より更に説明が少なく、ロゼッタという少女を近い位置から観察しているけど、決して手を差し伸べないような冷たい空気で進行する映画です。彼女が求めているものは特別な幸せの形ではなく、押しつぶされそうな絶望感に対して、自らを鼓舞する様がとても痛いです。横流しで仕事をしていた少年を密告する部分に関しても、生きていく上での彼女なりの正義。腹痛の原因や、山に鉄柵を張り、靴を隠している等の理解不明な部分もある意味ではリアルで(人間は時に理解不能な事をするし)、1人の少女のめいっぱいの苦悩と頑張りをカメラを通して知る事により、我々は生に対する価値観や苦しみを痛感せざるを得ません。ベッドの中で、心の中に隠している本当は弱いもう1人の自分に語りかけるシーンや、最後の最後で涙を見せる弱さ。等身大のロゼッタが求める希望への哀願がひしひしと伝わってきました。 |
20.あまりに淡々としすぎた展開に途中からは映画と我慢比べになってしまった。「見せる」映画でないことは確か。ただ何ヶ月かすると内容を忘れてしまう映画が多い中、この映画は何年経っても詳しいストーリーを覚えていることから「魅せる」映画ではあるのだと思う。 【こまごま】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2006-12-27 23:33:19) |
19.《ネタバレ》 いきなり怒ったロゼッタが突進してくる。止めに入る上役の手を振りほどき怒りをぶつけてくる。カメラが必死にその一部始終を捉えようとする。カメラの振れはロゼッタの怒りの象徴か、はたまたロゼッタについていけないゆえの不可抗力か。とにかくインパクト大である。怒りの原因は解雇。定職に就くということに異様な執着を見せる彼女の生活が徐々に露にされてゆく。アルコール依存症の母とトレーラーハウスで暮らす彼女が人間として生きる最後の砦が定職に就くこと。そんな人間らしく生きたいという一途な想いが人を蹴落としてまで職に就きたいという人間らしくない行動をとらせてしまう。人間らしく生きたいという目的のための手段であったはずの就職がいつのまにか目的になってしまう。カメラは淡々と冷徹な社会と弱い人間の悲鳴を捉え続ける。歯車が狂った。死に向かうが死すらもうまくいかない。衝撃のラストは「救い」だととりたい。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-10-31 10:18:22) (良:1票) |
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18.《ネタバレ》 少し前にフランスで若者が怒ってデモを起しましたが、その理由はフランス政府の若者に対する雇用政策が原因のようです。もしロゼッタがこの時代に生きていたならば、間違いなくこのデモに参加して暴れまわったことでしょう。日本の若者はフランスほど「仕事」に対する執着はないと思うから多分無関心でしょうね。 この映画は今こそ観るべきです。「仕事」というのは単に賃金を稼ぐための手段ではなくて、社会とつながりを持つための手段だと思う。 ロゼッタの場合は母親の存在が強烈な反面教師となっており、そのために「まともに生きたい」と願う気持ちが「仕事」に対する執着につながっているようで、母親との人間関係しか持たない彼女にとって「仕事」とは人とつながり、社会参加するための唯一の手段だったと考えます。彼女にとって「仕事」をクビになるということは、社会参加を拒否されることと同じ意味を持ち、自ら「仕事」を辞めなくてはいけなくなることは絶望を意味したのだと思う。絶望の中、ロゼッタが最後にとった行動は分かりにくかったけど、母親と一緒にガス自殺することだったのでしょう。しかしそれも失敗に終わり、ついにロゼッタは泣き崩れてしまうシーンが切ない。それでも絶望の中からひとすじの希望が生まれてきそうなラストがある。その結末の行く末は観客の想像力に委ねられていました。こういう映画はハローワークに毎日通っている飽き性で無気力な若者に見せるべし。働くことは素晴らしい。映画は人を救う。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-04-29 11:59:32) (良:1票) |
17.駄目な母親の話は個人的にシンクロしやすいのですが「スイートシックスティーン」のような愛情が感じられなかったので他人事のように見ることが出来ました。ハンドカメラの画面の揺れも計算しているとはいえ見づらかった。社会の底辺で真面目に頑張っている人を描いているけど他の人に対する主人公の態度が好きになれなず、全編を通してなんで私ばかりこんな目にあうんだろうと言いそうな気がしました。自己憐憫ばかり感じられる主人公の少女に共感はおろか興味さえ沸かなかったです。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-01-03 15:09:17) |
16.《ネタバレ》 これはまた撮影泣かせな映画ですね…。まずファーストショットから度肝を抜かれます。画面から迸る熱気、まるでカメラなんて存在していないかのように振舞う俳優たちの荒々しい演技。常に新鮮さを感じます。特に少女が池に放り込まれるシーンでは、こっちまで池に突き落とされたような衝撃を受けました。互いに反目し合っていても、最後には手と手を取り合って立ち上がる希望的なラスト。情け容赦無くも優しいダルデンヌ兄弟の一面を垣間見たのでした。それにしてもベルギーではやっぱりワッフルって人気なんですね、何だか無性に食べたくなってきたので自分は冷蔵庫にあった冷凍タイ焼きで我慢します(泣)。 【かんたーた】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-12-11 17:56:38) |
15.終始、眠気との闘いでした。主人公の行動は訳がわかりませんね。知的障害者なんでしょうか。 深読みしようとすればできるんでしょうけれども、そうする気になれないほどつまらない。エンターテインメントしろとは言わないけれど、少しは観客の興味を惹こうとする努力をしてはどうかと。いや、他の方のレビューにもあったように、ロゼッタに感情移入できれば面白いのでしょうが……。僕はロゼッタにむかつきこそすれ、全然好きになれませんでした。 同じ監督の『息子のまなざし』はなかなか面白いと思ったんですけどね。40分くらいの短編にしてくれれば良かったと思います。90分観てこれだけだと、とても損した気になります。 【no one】さん 2点(2005-03-07 00:26:24) |
★14.う=ん、わたしには何がいいたいのか良くわからなかった。作っているほうも特に言うつもりはないのかもしれないが、それにしても伝わってきませんでした。パルムドール作品ってこういう気持ちになる映画が多い。私の頭が悪いから? |
13.《ネタバレ》 これは単なる少女の職探しの物語ではなくて、もっと残酷で痛切な戦いが根底にあるような気がする。ロゼッタは理不尽で冷たい社会と向き合うと同時に、自分自身が根本的に持つ暴威とも向き合っている。男により「女」にされ、堕ちるように大人になり、いつかは自堕落な生活を送る自分の母親のようになるかも知れない、その焦燥感と必死に戦っている。外からの暴力と、内からの暴力。社会に負けること、自堕落な大人になること、汚らしい「女」になること、その全てを彼女は拒否しようと、勝ち目のない戦いに脆弱な力で臨む。突然の解雇通知、駄目な母親、自分を「女」としてみる男性の出現…。世間はそんな試練を次々にもたらし、強制的に彼女を組み入れようとする。それを拒否するように、ロゼッタはひたすら動く。その抵抗は必死だけれど、儚く、痛々しく、力を持たない。そしてブツ切れのように映画は終わる。最後の瞬間に彼女が見せた顔、張り詰めていたものが切れたような顔、たった1度だけ彼女が見せる弱さ、世の中に「負けた」とどこかで認めてしまった瞬間のあの表情が忘れられない。 【ひのと】さん 8点(2004-04-10 21:17:36) (良:2票) |
12.画面揺れでちょっと気持ち悪くなった。ロゼッタは馬鹿だからやることが単純でワンパターン。憐れみの気持ちしか湧かない。展開が早いので、だるだるの映画ではないけど。 【ぷりんぐるしゅ】さん 4点(2004-03-10 04:38:15) |
11.もろに原寸大の女の子の話で、ビックリするくらい生々しい日常を描いていて、飾った物語が一片も無いその部分に逆に好感は持てます。カメラワークも多少疲れはしますが面白い。この作品、絶賛はしないんですが、何だか心に残ります 【ゆうしゃ】さん 6点(2004-03-08 17:09:02) |
10.池に溺れておっかさんに助けを叫ぶ。来ない。彼女も、まとわりつく男が溺れているのを冷淡に黙過しようとする。これは男の暗いリアリズム(合理)であっても、女の子の情意(不合理)ではない。女の性の崩壊であるとおもう。が、本当は分からない。おれは女じゃないから。腹痛(生理痛)、これも制作者の男たちにそんなこと分かるのかな。おっかさんが泥酔して戸外で倒れている。それを抱えて家の中に連れて行くのが救われる。彼女の世界は母子関係だけである。母がいかに崩れていても侮蔑しない。が、その後に無表情に結論をだす。死である。さんざん苦労して得た収入の道を「仕事やめます」と電話する。それの道具ガス ボンベイを交換に行く。絶望の淵で、敵である男にそっとやさしくされる。最後のあの泣く表情は圧巻である。おっかさんは男型でしかありえない社会への不適応で酒に逃れる、その娘ロゼッタは両性具有になった。現代欧米の「解放」された女の惨劇である、ということでこの映画は印象ぶかい。 【トリル】さん 8点(2003-10-02 10:20:40) |
9.ここまでリアリティを追求するなら、ドキュメントでも良さそうだが、前知識なしで見たもんだからかなり衝撃的。まあ、ロゼッタに共感できなかったら、クソも面白くないでしょう。酔いを誘う手持ちカメラ、ロゼッタのどアップ、共感していなければかなりしんどい。それでも、彼女のねたみ、執着心が極限までリアルに描かれていることに驚く。訴えかけるような映像に映画の本質を見た。 【ゆたKING】さん 8点(2003-04-04 19:25:36) |