6.《ネタバレ》 この作品、元のお話自体に違和感があって、40年前の映画もまあまあていう程度。
なので全然期待してないのに、世間じゃ話題なので観てきました。
音と映像はもう、ハリウッドの底力炸裂で、これが昨年公開なら、ゴジラの受賞は無かったかも・・。
2時間40分の長さじゃ、見せ場はほんの30分で、あとは間延びしたドラマかなと思ってましたが
「この監督」にしては淡々と話を進めて、スペクタクルな見せ場が次々とやってくるという、
予想外に編集努力が見える仕上がり。 眠くなる暇はありませんでした。
40年前のリンチ監督の作品では、スルーされたエピソードも追加したので、話が長くなってますが
ビックリしたのは、リンチ版のエンディングが、今回のパート2で出てきてしまいました。
確かパート3もあるとの事でしたが、この続きはどうなるのか、早く見たくて仕方がありません。
そんな気になるのも、この映画がそれなりに面白かったからでしょう。
しかし、大画面のド迫力に圧倒され興奮して帰ってきて、少しクールダウンして思い返すと、違和感が
戻って来てしまいました。 基本原作の問題なんでしょうが・・
まず、砂の中を泳ぎ回る巨大生物というのが、荒唐無稽過ぎて、SFとして評価できません。
で、みんなで砂虫の背中に乗って旅をしていますが、乗り込む絵がありません。止まってくれたの?
何千年も未来の世界で、最強の兵器が核ミサイルってのも、興醒めでした。
重力を制御して浮遊し飛行する乗り物だらけで、銃もレーザー兵器もある時世に、刀で戦う歩兵部隊。
大量破壊兵器がありながら、砂虫に対しては攻撃しない理由が述べられないのも違和感。
というわけで、この映画はド迫力なファンタジー作品としてカテゴリせざるを得ない。
さらに物語が、英雄&救世主のみならず、奇跡を起こして信者を増やしていく新興宗教のソレに見える。
その信者の振る舞いをみれば、まるでイスラム教にも見えてしまう。 これも原作のせいなのかなあ。
女性の扱いもどうなのだろう、和平の為に皇帝の娘を嫁に寄越せと一方的に要求って、前時代的すぎる。
女たちも誰の子を産むべきかとか打算的な会話ばかりで、殺伐としててロマンスの欠片もない。
終盤では、権力を得る程に強引で傲慢になっていくポールにも違和感。 末は冷酷な支配者になるのか?
ヒロイン「チャニ」とは寄り添って終わって欲しかったのだが、正反対のエンディングも残念。
と、勢いに圧倒されながら見終わったのに、よく考えると後味の良い映画ではなかった感じ・・。
もとより、1話完結しない映画は、絶対満点にはしない主義なので、今回はこの点数ですかねえ。
点数の大半は、音と映像の迫力に対してのものです。 レンタルで観たら面白くないかも・・