★1.《ネタバレ》 映画界でスタントウーマンとして働く女カン(ミシェル・ヨー)にスポットをあてた作品。代わりのスタントを探していた時に居合わせたカンに「お前スタントできるか?」って感じで、チーフのサモ・ハンが率いるアクション班グループに所属することから話が始まります。/しかしこのテのお話しって、いかにリアルな人間像を描くかが大事だと思うのですが、カンが声かけられて「クンフーならできますよ!」といってバク転とか披露する場面で、そこだけリンチェイのワイヤーアクション映画風な速回しになったり、ヤクザと遊園地の船でバトル演じたり、サモ・ハンが部下の喧嘩を仲裁するのにクンフー使ったりと、スタントウーマンを真摯に捉えた人間ドラマを撮りたいのか、娯楽作品を撮りたいのかどっちつかずな印象。/それでも序盤は撮影所でのアクションシーン撮影の裏側的な話なのでけっこう面白いんですよ。このトーンで最後までスタントウーマンとしての泣き笑いなんかを撮ってくれれば、そこそこの作品になったと思うんですが、進むにつれてどんどん本筋とは駆け離れていき、男に騙され、ヤクザもんとの抗争に巻き込まれ、中国へ逃げようと密入国未遂・・・と、わけわからん話に発展していき、最後は密入国手前でヤクザに発見され、そこで1バトルあり、警察官のリチャード・ンがコミカルに助けに現れて「あぁよかったよかった」でエンド─というめちゃくちゃ中途半端な終わり方…。エンディングで「ミシェルはこの作品中のスタントで怪我を負った」などと、動けなくなったミシェルの映像が流れてくるのもなんだか白々しく思えてきます。/アクション班チーフのサモ・ハンが、部下の不始末でお偉方と話をつけたり、みんな連れ立って飲みに出かける面倒見の良さ、仕事では厳しく、それ以外では父親のように振舞う姿は、みんなに大哥(タイコー=兄貴)と呼ばれ慕われる人だけに、実際もこんな感じなのかなぁ――と微笑ましく思います。 |