31.《ネタバレ》 テーマは洗脳・マインドコントロールなのでしょうが、その手段は単に薬物だった、というコトのようです(=そーいう様にしか見えません)。序盤からの香川照之の怪しげな挙動、特に高倉家に徐々に侵食してゆくコトの意図・意味とゆーのがまずボヤけてしまっている様に思いますし、そもそも結局、序盤~中盤の描写は(川口春奈の方の話も含めて)殆ど後半と繋がり・脈絡が無いという様にさえ見えます。そのワリに前半はタルい展開運びで尺も長いし、そんでもって肝心の後半がこんなファンタジックなオチになってるとゆーのは、結論、私にとっては完全に(サスペンスとしては)許容範囲の外ですね。 もう一点、いくら何でも警察がポンコツすぎてココにもリアリティの欠片も無い、という様に思われます。一家3人失踪してて、6年後に隣の空き家に実は死体が在りました!てアホなのですか?んで出てくる刑事はみんな単独行動して返り討ち、の繰り返しで…最初の野上は百歩譲ってまだしもとしても、その野上がこないだ殺られた現場に行く時にまた単独で行かせちゃう、て流石に在りえん!でしょ。だから結局、私には今作のサイコパスとゆーのは別になんにも恐ろしい人間には見えませんでした(不自然極まりない映画的御膳立てがそー見せようとしてるダケという上っ面)。 香川照之の演技を褒める向きもある様ですが、演技とゆーのは何らかのつくり込まれた内面的なクオリティの表出でしょ?ソレが伴わない演技とゆーのに評価もクソも無いですよ(無意味です)。まあ、香川照之が悪いワケでは全くないのですケド。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(邦画)] 3点(2021-10-31 22:21:43) |
30.最近仕事が忙しく、二日間に分けて鑑賞する結果になりました。1日目はほんとに時間がなく30分だけ。ここまでで鑑賞を止めればよかったかなと、全て見終わった後素直にそう感じた。 冒頭のつかみは完璧でした。冒頭のサイコパスの一件から始まり、それを機に刑事から足を洗い犯罪心理学の講師として大学で働くことにした高倉(=西島さん)がふとしたことからある未解決事件に関心を持ち、それがまさかの展開になっていくというあらすじ。 キャスト評をしていくと、竹内結子さん、やはり超綺麗。魅力的。ただ普通に振る舞ってるだけなのにどうしてあそこまで目を引いてしまうのか。率直に美しいと思った。亡くなられたのが惜しまれてならない。 川口春奈さん、犯人を追うのにヒントを与えてはくれましたが途中で切れて脱落。どこかでまだ出てきて何か残すだろうと思いきやそのまま終劇。え、もう出番ないの?そこそこ重要な立ち位置のキャストだと思ってたのに。同じような理由で笹野さん。いや、あんな終わりかたないでしょうに。川口さんも笹野さんも、なんだか使い捨てられたようなキャスティングなされかたに違和感。よく言えば贅沢キャスト。悪く言えば無駄遣い。なんだかフラストレーション溜まりますね。 ストーリーも上述のように途中までは見てる側をドキドキワクワクさせてくれる展開なのですが、野上刑事(=東出さん)が単独で探り入れて殺されたあたりからは興醒めですね。なんだか『ザ!サイコパス!!』的な家の作りもやりすぎ感ありありでまた萎えたし。殺される人たちの不用心さとか、薬の効きの意味不明なヤバさとか、もっと丁寧に作り込めばいいのに、見せる要素が雑になっていたのが残念でした。 西島さんが警察で取り調べを受けた後、一瞬だけ冒頭でサイコパスを尋問した部屋に入るのですが、あのシーンもっと大事にして欲しかったな。 前半で観る側をいい感じに盛り上げて、後半は悪い意味でそれを裏切り続ける。そんな映画でした。 【TANTO】さん [インターネット(邦画)] 4点(2021-04-09 23:51:47) |
29.《ネタバレ》 黒沢清監督の中では一番良いと思った。回路や散歩する侵略者では設定に無理があって、ついていけないものがあるが、この映画は、ある程度リアリティーのある世界でストーリーが展開するので私の好みにハマっていた。 映像、カメラワークが素晴らしいし、役者の演技も素晴らしい。黒沢監督はその役者の最高の演技を引き出すのが実に上手いと思う。特に竹内結子は完璧。ただ、余りにも薬?の効きが良すぎて、そんな薬あるかよ、お前は医者か?薬剤師か?と突っ込みたくなったのと、刑事が一人で行動する→殺されるというベタな展開にマイナス2点です。 【ブッキングパパ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2020-11-09 16:15:59) |
28.《ネタバレ》 無策無謀で無防備な刑事が一名消され脱落、そして出て来たベテラン刑事であったが、イコール、ベテラン俳優なんだが、、 笹野刑事、まさかアンタもか! 少しはまともな刑事出て来てほしかったんだが、ほう そうか まさかアンタもアホ要員だったのか というか、なんであんなとこにハマるん(?) 冗談だろ まさかオファーはギャグ要員だったのか まったくもって信じられんほどのアホ警官ばっかりだ。 さてと、話は変わるが、マックスよ(犬) あんた注射打たれてないだろ なのに、なぜ西野になびく(?) なんでそんなにモフモフしてる? かわいいじゃないか マックス欲しい マックス飼いたい だけど、このお犬、最後、西野に背後から首筋に銃を突きつけられた時すごく良い芝居をしてたよね とてもリアルなマジびびりをしていらっしゃったところを見逃してしまっては勿体無いです。そこ傑作だった。でも最後、澪について行ってしまったね 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-06-21 21:35:35) (良:1票) |
27.《ネタバレ》 序盤から中盤、不気味な隣人像は上手く演出されていました。でも、怪しい奴がそのまま悪人だったオチにガッカリ。この犯罪が過去も含めて成立していたことへのシナリオ的説得力が壊滅的に不足していると云う感想です。 竹内結子は倦怠に付け込まれたと見えなくもない。でも、それなら西島・竹内なんて美男美女じゃなくて、もっと中年臭いオヤジとおばさんをキャストして貰ったほうがそれらしく映ったと思われる。ある意味ミスキャスト。刑事が死んで元刑事が怪しいと指摘しているのに、対応皆無の警察は無能が過ぎる。両親を殺された娘の行動原理も全く分かりません。竹内の慟哭でこの雑なシナリオが清算できるとは思わなかった。 マインドコントロールがキーワードになった犯罪がありました。それを映画にしたかったようです。でも、Wikiに依るとあの犯罪は主犯が周囲を主に性行為で操っていたように読めました。本作は性行為をクスリに置き換えています。甘々ですね。実際に起こった事件の方がよほど刺激的で映画的だったと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2018-02-13 01:59:56) |
26.《ネタバレ》 かみ合わない会話、とくに社交辞令に絡むあたりから、するするっと隣人が心の奥に入っていく過程は、同じ黒沢清監督のCUREを思い出す。そういえば、本作の展開もよく似てた。ただ、CUREが「あんたは誰だ」というわかりやすい問いで絡んできたのに対し、本作は、どこで入り込まれたのかよく分からないままに気づいたら支配されてしまうというのが怖い。そのプロセスについては、いろんなメタファーが劇中に用意されている。たとえば、西島さんの演技が終始下手くそに見えるのだけれど、「刑事」「犯罪心理学者」「大学教授」のベタな役柄を演じている人という設定なんだろう(とくにあのわざととしか思えない棒読みの大学講義シーン・・・)。冒頭の刺されるシーンでの、それは「致命的だ」という教訓から結局学ばず、事件に首を突っ込んで、刑事ごっこ、犯罪心理学者ごっこに夢中になる。そして当然ながら「夫」としての演技も基本に忠実すぎて、まったく中身がない。妻はそれに気づいているからこそ、役割や社交辞令を逸脱して踏み込んでくる西野に、なんだかんだで近づいていってしまう・・・。あと「隣人」ではあるのだけれど、家と家のあいだにある「空き地」も象徴的。これは6年前の事件とも共通しているのだけれど、人と人の「距離」を象徴するようなあの場所は、西島さん演じる主人公、そして役割演技に忠実な現代人の対人距離でもあり、西野はその向こう側からいつもこちらを眺めつつ、いったんそこを越えれば、いきなりつけ込んでくる。そう考えれば、アイデンティティっていうものの自体を問うたCUREよりも、より現代的な問題設定であり、2010年代の黒沢映画らしい一作でした。ただ、後半のバランス崩れるところも同じ。前半の緊張感、妻が取り込まれるまでの恐怖はどこへやら、結局はサイコパスvs間抜けな警察、薬と銃をめぐるドタバタ劇で終わってしまう。最後の絶叫シーンで救われる部分はあるけど、もはやこのがっかり感、チープ感こそが黒沢印の様式美となっているようにも思えます。 【ころりさん】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-12-16 09:30:51) |
25.ひどい、あまりにひどい映画でした。 前半で良い映画になる予感だけさせといて、後半のひどさと言ったら近年稀に見るお粗末さ。 もうどこを指摘したら良いのかわからないくらい穴だらけの脚本でもう最悪でした。 特に西野の子役は最近の朝ドラで良い役をやってたので好印象だったのに、これ見てガッカリしちゃいました。 あの娘が一番の被害者かもしれませんね。 あ〜時間のムダだった。 【杜の都の映画好き】さん [インターネット(邦画)] 2点(2017-09-24 01:05:00) (良:1票) |
24.《ネタバレ》 前半観て、これは面白くなりそうだったんですけどねぇ。 香川さんの不気味なキャラクター、効いてました。 不穏なカメラワーク、音、俯瞰の画など丁寧な撮影も素晴らしかった。 なのに、です。 後半は辛かったなぁ。 説明がないのは、まぁよしとして、どう観れば(解釈すれば)良いのか、すっかりわからなくなってしまいました。 前半の期待感があったので、なおさらです。 西島さんの演技が『棒』なのか『演技』なのか、そこが判別しづらく非常に手こずりました。 最後の竹内さんの慟哭、あれは素晴らしかった。 支配され主体性のなくなった主人公たちの目覚めを表すに、最高の演出でしたね。 それを体現できるのはなかなかにお見事でした。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-09-16 07:30:42) |
23.《ネタバレ》 前半は結構面白かったですが、後半、西野が正体を現してからは一挙に失速、早く終わって欲しいばかりでした。ものすごく頭の切れる犯人なのに、やってることが大胆過ぎて、普通あれだけの事をしたら警察にばれるでしょう。主人公の高野も元敏腕刑事なのに警察に信用もなく奥さんの異変にも気付けないのは、おかし過ぎます。残念。 【ぽじっこ】さん [ブルーレイ(邦画)] 6点(2017-09-09 21:50:46) |
22.《ネタバレ》 いーかげん無能な日本警察の描写は見飽きました。もうよして欲しい。 冒頭の、サイコパスが人質から刃物を離して、高倉を突き刺した後の数秒間、何もせずに見ていて人質まで殺されるシーンに この監督のセンスが、とてつもなく遠い所にあると痛感し、後は下らない映画が早く終らないかと待っている始末。 元捜査一課の刑事なのに、自分の嫁が薬物で朦朧としてるのに気が付かない。現職刑事も危険人物のアジトにノコノコお邪魔して 人知れずヤラレちゃう。自分が関心持って調べ始めた事件の、その犯人の家の隣に引っ越してしまう都合の良い設定。 高倉も、先に入った刑事の気配の無くなったアジトで、元刑事なのにお客さん状態。長い間、状況支配しコントロールして来た 犯人も、澪の母親に殺されそうになって、少しは勉強したはずなのに、高倉に銃を預けるアホな下りに、顎が外れるかと・・。 いやいや、こんな穴だらけのシナリオでよくまあ大金使って映画にしたもんだ。誰かシナリオに穴があると指摘する身内は居ないの? このサイトで評価が低いので予想はしてましたが・・ その通りでした。 記憶が戻った早紀ちゃんの態度が硬化したのは、何だったのか説明無しって・・ねえ。記憶が曖昧なのは薬のせいだったとする? 警察は精神不安定な関係者の検査はしないって・・?? だめだ、他の映画見て口直ししないと・・ 【グルコサミンS】さん [DVD(字幕)] 4点(2017-07-29 19:46:29) (良:2票) |
|
21.《ネタバレ》 本当に怖いのは西島秀俊さん演じる高倉です。香川照之さん演じる西野は、まぁ実際にいるだろうし、変な人ということで距離を置ける。ただ、高倉は自らが危険な感覚の持ち主であることに気付いていないし、周りからも判断が難しく距離を置けない。こんな人たちに挟まれて殺された隣人はアンラッキーです。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-06-05 01:44:33) |
20.《ネタバレ》 『これがあんたの落とし穴だ』高倉が西野(仮)に吐き捨てた最後の言葉は、鈍痛を伴い胸に響きました。そう、それは高倉自身に向けられた台詞でもあったことでしょう。犯罪心理学を学んでいたが故の慢心が、墓穴を掘る形となった1年前の出来事。そして今一度、最愛の妻をも巻き込んで同じ轍を踏んでしまった愚かな自分。“サイコパスとはこういうもの”そんな決めつけ、思い込みが、最も危険だというのに。講義で学生に「参考にならない」そう自ら口にしていたはずなのに。医者の不養生。幸いにも(?)、西野(仮)もまた今までの獲物と高倉を“同質”と“決めつけた”おかげで、主人公は命拾いしたワケですが。数多く過ちを犯した者が勝利した結末とも言えます。夫の胸で号哭する妻の声は、魔界から現世に戻ってきた証。それはまるで産み落とされた赤子の鳴き声のようでもありました。漆黒の中の救い、と受け取りたいと思います。黒沢清監督の映画にしては、筋立ては明快。お馴染み難解ミステリーを予想していた身としては若干物足りなくも。ただし、監督のもう一つの顔“ホラー上手”の面は、如何なくなく発揮されていました。映像面では、光と影の使い方、画における間の取り方。極め付けは“スタジオ撮り乗用車シーン”でしょうか。ツクリモノ丸出しの感じが、異世界を進む西野(仮)ファミリーの地獄道をよく表していたと思います。また、脚本面では、早紀の身の上に起きた6年前の事象を、西野娘の姿を通じて間接的に知らしめる手法が技ありで、得も言われぬ恐怖と不快感を創出していたと思います。黒沢ホラー、ここに在り、です。今回のMVPは勿論香川照之。怪演でしたが、同じくらい西島の体温低い単調な演技も(氏の平常運転ですが)見事だったと思います。願わくば、手品(人心掌握)のタネは、クスリではなく純粋に西野(仮)の人間力であって欲しかったところです。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-05-25 18:29:46) (良:1票) |
19.《ネタバレ》 全体的な雰囲気はいい。ただ、どうしてみんな洗脳されたのか、洗脳の手口がわからないとこの物語に本質的な怖さが伝わってこない。極めつけはラスト。洗脳し切れていないのにどうして拳銃渡すかなー。ある意味衝撃的なラストでした。 【木村一号】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2017-05-15 12:49:43) |
18.《ネタバレ》 現実にあった事件を連想させるので最後犯人側の勝ち逃げだったらあまりにも胸クソ悪いので2点でしたが、一応そうはならなかったのは良かったかと思います。香川照之の笑ってしまうほどの怪演と竹内結子の最後の叫びが実にリアルで良かったですね。いろいろツッコミどころが多く、主人公が元警察なのに警察とのやりとりが下手すぎるせいで解決に向けて進展しないのと、簡単に人を服従させてしまうような薬なのに最後主人公があっさりそれから解放されて犯人側を撃ち殺すってあまりにも都合よすぎてちょっとという感じ 【映画大好きっ子】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-05-14 22:02:21) |
17.《ネタバレ》 黒沢監督+香川=怪しい隣人、とワクワクさせといて、大オチが「洗脳じゃなくてヤク中でした」ではずっこける。 実は香川がマッドサイエンティストで、薬の壮大な実験だった、とかならわからなくもないが。 いまから思えば、東出が隣人役だったら、いち早く大化けしてたかもね。 【ぱふ】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2017-05-13 20:21:37) |
★16.《ネタバレ》 面白かったな~… そう、途中までは。西野さんが面白い(香川照之の力もあって)。彼がどうやって他人を支配していくのか… 期待は膨らんでいったが、その答えはつまらないし、いまいち腑に落ちないしで、もうがっかり。「実は高倉こそが…」という手垢のついたオチじゃなかったのは救いかもしれないが、警察の無能ぶりといい、後半は残念な印象が強い。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2017-05-13 10:13:48) |
15.《ネタバレ》 前半までは、『羊たちの沈黙』ばりに良い雰囲気だったけど、後半からアホな警官としょうもない薬が出てくるので急にトーンダウンした感じが否めない。 稲城で撮影しているぽかったけど、近隣に住んでいる人間としては少しイメージが悪くなるのがヤダ。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(邦画)] 5点(2017-02-25 23:26:53) |
14.《ネタバレ》 オープニングで「あぁ黒沢清なんだ」と気づく。映画を観終わって、その後味をどう整理したもんかと考えていると、「あ、そうか。この映画、黒沢清だった」と思い出して、納得感を覚えて、映画から日常に戻る。それ程までにこの映画は、黒沢清を知らずに見ると、トラウマになりそうな毒を含んでいる。昔はこの手の映画が多かった。「羊たちの沈黙」なんかまさにそうだ。日常生活にサイコパスが潜んでいる、というテーマ。だけど今はスマホの時代だ。こういう感触の映画、忘れてた。だもんで、逆に新鮮だった。しかし疲れた。最後の竹内結子の本当の嗚咽かと思えるような迫真の泣き声で、一気に日常生活の感触を思い出し、涙が出た。竹内結子がはまり役。こう言っちゃ気の毒だが、香川照之もはまり役。本当にぞっとするような映画だった。でも完成度は高い。映画ファンとしては、この日本映画のレベルの高さは嬉しいのだが、正直先行きの見えない時代に、このような不安な映画はあまり観たくない気もする。 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2017-02-25 18:53:11) |
13.《ネタバレ》 僕たちはこの映画を「黒沢清だから」観に来ている。なのでそのつもりでこの映画と対峙するつもりでいる。するとオープニング、取調室の窓枠ただそれだけで吐き気がこみ上げてくる。窓枠の格子に合わせて字幕でキャストの名前が現れて消えていくが、「黒沢清」は文字数の関係かもしれないが、窓枠の格子からずれている。僕は開始3分のこの時点で、満腹感。 考えすぎだバカと思うでしょ。でもさ、ちゃんとこの取調室の窓枠、映画後半で再び登場したんですよ。ほらちゃんと意識的に撮られている。 隣人の登場も秀逸。ただ「日陰に立ってる」だけなのに、なぜあんなにヤベエ感じに撮れるのだろう。玄関手前に揺れるカーテンがきっと効果あるんだろう。揺れるカーテンは、『トウキョウソナタ』のラストシーンでもあった。あの時は清々しい風だったけど、今回は禍々しい風だった。室内から外に風が流れるとは、家の奥のドアが開いたり閉じたりしたときではないか。つまり、あのカーテンがたなびいているとき、奥のあの鉄扉が開いていたのか。 昔の一家失踪事件の生き残りの女もクリーピーだ。確かに被害者で気の毒な人なんだけど、どうやら彼女は黒だ。 誰もが記憶に残る、大学での尋問のシーン。そこでの彼女の証言「私は2階にいて、その男を見下ろしていた」という表現が僕は引っかかった。そして映画の後半、彼女は住んでいるアパートの2階の廊下から、西島秀俊を見下ろした。 てことは自動的に西島もクリーピーだ。そして映画ラスト、一見気持ちいいリベンジを果たすんだけど、西島は隣人にとどめをさそうとする(が弾切れだったので竹内結子に「もう死んでるわよ」と諌められる)。この映画の中でもっともサイコパスなやつは、何を隠そう西島その人であった。 そもそも香川照之が一番悪い奴で、こいつさえいなければ良かったんだけど、現実に我々の世界にはあんなやつが存在していた。北九州一家殺人事件とか、尼崎角田美代子事件とかもきっとこんな感じだったんだろう。ぶっとんだサイコパスの行き着く先には、現実がある。 |
12.《ネタバレ》 前半は奇妙な物語展開ではあるものの、その中で現実感を残し興味をそそられましたが、要塞化した怪しい隣人宅や、その怪しい隣人宅へ一人で乗り込んでいく警察官たち…。もう、この辺りで「あぁ、完全なフィクションだな」と興味を失いました。雰囲気は良かっただけに勿体ない。今更ながら、香川照之の怪演っぷりは、流石です。 【はりねずみ】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-12-24 17:53:22) |