8.やたらと顔を出す現代絵画とオペラ、そして変則的「罪と罰」といった小賢しさや、登場する人物も含めたこの映画を形作る浅くて薄っぺらなオブジェが、ストーリー以前に映画のいかがわしい雰囲気を見事に成立させている。ロンドンを底とした鋳型にはめ込まれる典型的なブルジョワ家族、魅力的な女優志望の女、そして元テニスプレーヤーで野心に満ちた(そうでもないか)主人公、彼らは自分の役柄を逸脱する事はない。観客を試すようないやらしい面を持っているとも言えるが、冴え渡った演出の巧みさに唸らされること間違いなし。スカーレット・ヨハンソンのファーストショットは堪らないでございますよ。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-10-25 11:16:07) |
7.スカーレット・ヨハンソンが兄貴(マシュー・グッド)と別れてからの展開は、東海テレビの昼メロドラマのようだった。 【芦毛牝馬】さん [映画館(字幕)] 3点(2006-10-13 01:53:23) |
6.うーん。うーん。うーん…。 『陽の当たる場所』ってのはまあ、そうかなあ。どっちかというと『死の接吻』みたいなドライさを期待してたんですが。あと序盤は、主人公の立場から猛烈にバラードのセレブリティ犯罪小説『コカイン・ナイト』を思い浮かべました。ソッチへ進んでくれると…ってウディ・アレンはやんないか。製作がBBCだけあって、ロケーションはいい場所押さえてます。そこは評価できる。スカーレット・ヨハンソンは何かダメだったなあ。熱演はわかるんだけどね。 結局、ラストのアレが政治的なメッセージになる点だけが評価ポイントになりますた。あえてイギリスで撮るからには言っておかねば、みたいな印象も受けますが…。 件の《運》については、あんまし…驚きがないからかなあ。コロンボが出てくれば吹っ飛んじゃう程度の、微妙な運でした。 【エスねこ】さん [映画館(字幕)] 4点(2006-10-07 02:35:55) |
5.ウッディ・アレンは好きなのだが、映画館で観たのは初めてだった。決して最高に面白いとはいえないが、やはり私の中でこの人は大きくはずさない。上流社会での暮らしを手に入れた男が、妖艶な女と出会いで、足を踏み外していく…。よくある話を、安定感のある演出で、緊張感のあるストーリー展開を最後までみせる。とくに、最後のシーンのアレンならではのシニカルなせりふ回しは、絶妙だと思った。ただ、ちょっとストーリー展開の整合性のために、主人公たちの性格が後半異常に単純な感じがして、ちょっと安っぽかった。映画館まで足を運ぶほどの作品ではないか…。主人公は「ベッカムに恋しての監督役」だ。この映画では元テニスプレーヤーという役回りだが、この人、体育会系俳優なのかしらん。 【如月CUBE】さん [映画館(字幕)] 6点(2006-09-10 22:26:18) |
★4.《ネタバレ》 少し期待しすぎたのかもしれない。ぎりぎりで7点を付けたいと思うが、手放しで絶賛できる映画ではなかった。 ロンドンで新境地をみせたと言われており、確かに今までのアレン作品とは一風趣きが異なるような気もしたが、このストーリーならばどうしても「重罪と軽罪」を思い出してしまうだろう。しかも、苦悩する主人公が、そこにはいないはずの者と会話する手法も「重罪と軽罪」で使われている手法でもあり、なんら驚きもない。アレン映画が好きな人ならば、むしろ失望に繋がるシーン。「重罪と軽罪」という本作よりも素晴らしい作品を知っている者には、本作はあまり高い評価は期待できないと思う。 「重罪と軽罪」になかった要素としては、「運」というものがあったと思うが、あまり「運」が効果的なポイントになっていたとは思えない。 「オチ」には一役買ったとは思うが、「運」に翻弄される人々という感じには受けなかった。様々な偶然や運があったから、確かにこのような展開になったのかもしれないが、もっと「運」が効果的な使われ方をした方が良かったのではないか。「浮気」がばれそうになったときに「運」によって救われるとか、または「運」によって浮気がばれそうになり、窮地に追い込まれてるとか。「結婚」や「仕事」にも「運」がもっと関わってきてもよいだろう。 鑑賞前には、強い野心を抱く主人公が、「運」によって救われたり、「運」に見放されたりして、「人生」がどんどん転がっていく、そんな男の人生をみれるのかなと思っていたのだが、どうも本作の主人公のクリスという男の考えていることがよく分からなかった。確たるビジョンもなく、言われるがままに結婚し、言われるがままに仕事に就き、なんとなくノラに惹かれ、ただひたすらに身体を求める。「運」に賭けるというよりも、ただひたすらに流れに身を任せる平凡の男にしか映らなかった。もっと、クリスの人物像に深みがあれば、面白くなったかもしれない。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-08-20 01:55:12) |
3.放浪紳士チャーリーさんの書かれていた、「登場人物全員が愚鈍」にはたしかに!と激しく同意。全員が単細胞で、自己中心(というより自分+αしか見えない)。上流階級の余裕ゆえか、主役の二人の「上に上がりたい」「この人が欲しい」という強い欲望ゆえかはわかりませぬが。もっとも複雑なキャラ(と思われる)の主人公ですら、単純なアスホール。ヨハンソンは、かわいくてセクシーだけど頭は悪げで、アメリカから来たものの女優としては成功できそうにない(役)。観客に感情移入とかして欲しくない、意図的なアレンの演出なのだろうけど。 実際、やたらとモノローグやらキャラの顔アップなどで心情やら状況やらを説明し、感情移入を促すほとんどのアメリカ映画とは、一線を画しているとは思う。そんな中での数少ない冒頭のモノローグが、映画内でどう生かされていくのか・・・というのはネタバレになるのでアレだけど、私は最後の10分で、ウッディ・アレン、こう来たか・・とやられました。そして、観終わった後、実は124分という長さにびっくり。体感時間は100分くらいだったので。 ウッディ・アレンの他の作品で、もはや彼の作品を生理的に受け付けなくなりそうになっていた私ですが、この映画は楽しめた。もう70代なのね・・・。次の作品も、観たいって思わせてくれた。ちなみに、スカーレット・ヨハンソンには、後半のビッチ振りも含めて9.5点。アレンの次回作(Scoop)でも登場してますよ。鈍くさいメガネっ子役で! ※北米で映画館鑑賞 【オカチ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-06-29 19:29:41) |
2.《ネタバレ》 出て来る人物全員、恐ろしく鈍感、呆れるほど無用心、あまりの愚鈍さにウンザリ、始まって三分の一位までは期待できましたが、観ている内に興が醒めていきます。この映画、海外の批評じゃあ「太陽がいっぱい」が引き合いに出されているけど、どちらかと言えば「陽のあたる場所」の下手な焼き直しって言った方が早いです。最初の主人公とヒロイン、スカーレット・ヨハンソンとの出逢いシーンなんて、ビリヤードが卓球に変わっただけでそっくりだったし。でも主人公の野卑た目元周辺と、ヨハンソン嬢の相変わらずのぽってりした口元はやけにセクシーでしたね、これだけは保証!後半あたりからは何だかフジテレビ「こたえてちょーだい!」あたりの再現ドラマに出て来そうな痴話喧嘩的展開になっちゃってるし、アレン先生はサスペンス描写にまだ慣れていないのか、クライマックスの押しの演出もイマイチ弱いような感じを受けます。あと白いテニスウエアの上に字幕スーパーが重なる事が多くて非常に解読しづらかったですね。公開までには修正して貰いたいなあ・・・。 【放浪紳士チャーリー】さん [試写会(字幕)] 5点(2006-06-23 11:44:48) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 ひと言で片付けるなら、現代版「重罪と軽罪」といった感じ。おおよそのストーリーはほぼ一緒。ただ「重罪と軽罪」が「人生の不公平さ」「諦めと無常観」を描いたのに対し、本作は“運”ということを強調していて、それをテニスにおける「Luck」と掛けて人生を描いている。タイトルの由来は安易だが、うまくまとまってはいる。最後のオチは「ほう、そっちを使ったか」と、まずまずの出来。また、「あのウディ・アレンがロンドンで撮った!」ということで話題になったが、それほどロンドンっぽさが出ているわけではない。さしものアレンもNYほどロンドンを知らないのは当然といったところか。いつものように配役、キャスティングはさすがにうまい。どの俳優もその役とまったく違和感なし。関係ないが、本作におけるスカーレット・ヨハンソンは確かに艶かしく、魅力的でエロティック。ときおり「瀬戸朝香にそっくり!」と思ったのが意外な発見だった。 【給食係】さん [映画館(字幕)] 6点(2006-05-19 05:45:59) |