24.《ネタバレ》 原作既読。終末SFという『ノーカントリー』原作者らしかぬ題材だが、根底にあるものは変わっていない。純文学のテイストを損ねることなく、分かりやすく映像化している。ひたすら救いのない重いトーンを貫くも、詩情すら感じさせる映像。自分たち父子を"火を運ぶ者"として言い聞かせないと、妻のように自殺し、または人喰いになり果てる絶望の世界。いつ野垂れ死ぬかわからない熾烈なサバイバルに生存本能と倫理と生きていく意味を問う。やがて父を失った少年は、同じ"火を運ぶ者"に出会うが、本当に希望があるか定かではない。火を絶やさないための戦いはこれからも続くのか、いずれ人食いに堕ちるのか。「幸せなことより、辛いことの方が記憶に残る」。人生に対する諦観を感じさせる映画である。 |
23.文明が崩壊した世界。状況をやりすごせば希望があるわけではない。主人公(父親)には特別な力はなく、とりあえず寒さが弱いはずの南へ向かうだけ。この設定だけで魅力的です。派手な事件は起こりません。しかし、父親が自分の倒れたときを見越して息子へ一人で生きることを教えようと必死な姿に泣けてきました。 【次郎丸三郎】さん [DVD(吹替)] 7点(2014-12-23 15:18:21) |
22.静かに展開する物語は好みですが、本作に関しては崩壊した世界で色々な人と出会ったり、とんでもない組織があったり、話が大きく展開したりというFallout3のような内容を期待していたので、かなり物足りなかったです。 【DAIMETAL】さん [DVD(吹替)] 2点(2014-08-19 20:12:25) |
21.《ネタバレ》 B級という評価もできる脚本だが、観る側に想像する余白を残してくれていて、余韻に浸ることができる良い作品だと思う。ツッコミどころと考えさせるポイントを混同していない稀有な作品。 【馬】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-04-04 23:37:59) |
20.世紀末ムービーはいろいろありますが、私のベストワンです。これほど、殺伐とした映画は他にありません。人類の終焉はこういった感じになるのかな、がうまく描かれていると思います。最後の最後に希望と思われる描写が有りますが、、 【たきおか4号】さん [DVD(字幕)] 10点(2013-06-19 19:59:36) |
19.評価は小道具やセット、衣装やヘアメイクに重きがいきました。素晴らしい世界観表現です。最後までどうして荒廃したのか理由は語られませんが、途中から理由なんてどうでも良くなってきました。ある時代のある親子の姿を追っている、そんな映画。なかなか惹きつけられました。ただあんなに必死こいてた割にラストがあまりにもあっさりしていたのでこの点で。 【movie海馬】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-05-01 00:04:45) |
18.《ネタバレ》 あまりジーンと来る映画は見ないタチなんだけど、最近FOをプレイしたばかりで荒廃した世界に興味を持ってしまった。生き抜くには父親の生き方が正しいんだろうけど、人類の理想は子の生き方なんだろう。子の「心配なんだ!」でグッと来た。私の心には火などないだろうし、あるのは非なんだろうな。 【悲喜こもごも】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-01-09 01:27:16) |
17.《ネタバレ》 森で子供が盾にとられたり、難破船を調べに行ってる間に息子が危険な目にあうなど、息子を何よりも大事に思っているにも関わらずあまりに軽率というか間が抜けたような行動には少し違和感を感じてしまったが、ハリウッド映画にしては今時珍しいストイックな感じの作りで、雰囲気作りもしっかりしていてなかなか貴重な映画だと感じた。人を信じることが出来なくなった父親が死んだことによって新しい出会いが始まるという展開は何か考え深いものがあった。 【映画大好きっ子】さん [DVD(吹替)] 7点(2012-07-25 01:19:38) |
16.《ネタバレ》 荒廃した世界が見事に描けていたと思う。世界が滅亡した理由や、明確な旅のゴールが示されないままのロード・ムービーで2時間弱引っ張るところは好みが分かれるところだろうと思うが、個人的には最後まで飽きずに見ることが出来て良かった。 作物が育たない世界なんだろうとか、動物が一匹も出てこないところとか、説明がなくても何となくわかった。 徹底的に動物を写さないことで、コガネムシが飛んで行くシーンや、最後の家族の連れている犬のシーンで未来に関する希望が表現できていたように思う。 最後の家族の奥さんの微笑とかも印象的で良かった。 【かずろう】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2012-06-20 23:35:58) |
15.映画見て、原作読んで、また映画見ました。この映画、父親としてみるのと、そうでないのでは評価が変わると思います。いつか巣立っていく息子、その息子に生き方ではなく、死に方を教えなければならない父親。正義を教えながらも、悪事も働かなければならない世の中の矛盾。極端な世界の中での話ですが、なんだか考えさせられます。ロードムービーなんで地味だけどいい映画です。 【木村一号】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-06-16 12:06:44) |
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14.しみじみ来ますね、この映画。父との別れのシーン、父の庇護のもとから一人の男へと変わっていく瞬間がよかったです。 【noji】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-05-31 23:34:47) |
13.《ネタバレ》 いや~、実に地味な作品ですね。本当にハリウッド映画なのかと思っちゃうぐらいの地味っぷり。文明が崩壊した、荒れはれた世界観は、画面から染み渡っていてリアリティあったと思うんだけど、さすがに単調すぎる。原作は読んでないけれど、映画化、映像化することの難しさをちょっと感じてしまう。極限の状態でも、人間性を失わない事、それが尊い事なんだという教えがあるのかもしれないけれど、このへんはなかなか難しい。人間性というものは、生存出来るレベルの土台の上に成り立っているから、その土台がなくなったら人も獣と変わらなくなる。父親が、人は食わないけれどそれ以外の悪事はいろいろしてたように思うが、そのへんのいい悪いの基準もよくわからない。悪い映画とは言わないけど、基本的なところがどうにもひっかかってしまった。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-03-13 22:54:12) (良:1票) |
12.殺伐とした展開の中でも息子の純真さが救いか。その息子がC・セロンに似ていてかわいい。 【kaaaz】さん [レーザーディスク(字幕)] 7点(2011-03-04 23:30:55) |
11.《ネタバレ》 2011.2.20鑑賞。原作未読。世界が滅亡した理由が一切描写されていないという大胆さは、人間ドラマをテーマにしたこの作品においてはプラスに働いた。また、荒廃した木々の描写や降り積もった埃(灰?)、寒さ対策にビニール袋で身体を包む、靴が貴重品であることなどリアリティを追求した描写の積み重ねで「終末の世界」を表現しているのも素晴らしい。劇的な出来事も起こらず、明確なゴールもないストーリーのため、好みの分かれるところだ。個人的にはもっとドラマチックに展開してほしい。ただ息子を思うあまり、「内なる火」を失ってしまった父親に訪れた死と、それを引き継ぐ新たな家族の登場には心が揺さぶられた。スキッ歯のガイ・ピアースは一見、人肉を喰らう人々と大差ないが、家畜として犬を飼っているという事実がそれを見事に打ち消す。この辺の演出も巧みだ。 【かんちゃんズッポシ】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-02-21 18:14:08) |
10.《ネタバレ》 原作既読です。荒廃未来系の作品が大好きで原作に非常に唸らされパンパンの期待で鑑賞しました。活字の合間から立ち上がる灰色の荒廃した世界を見事に映像化したことにまずは拍手を贈ります。小説の映画化はえてして脳内映像に勝ることが少ないなかではよく作りこまれています。ただ決定的に掛けているのはその見せ方。深い谷をつなぐ荒廃した高速道路、同じ角度で傾き連なっている電信柱など、親子ドラマの背景にしておくには余りに惜しいように思います。荒廃した世界にはショットを固定し、幾何学的な文明の遺物を連ねて映すだけで満腹になったと思うのですが何とも残念です。また、越冬するため荒廃した世界を南に歩いて下るという極めて途方のない感覚は映画では欠落しており、ストーリーは原作に忠実ではあるものの、ハプニングを連ねて飽きさせないように腐心した脚本家の苦心が伺えます。ただ、原作と異なる心地よい感動を得て映画館を後にできたのは、ラストでガイ・ピアース一行の女性(妻?)と少年が会うシーンです。女性が少年に笑いかけながら「あなたを見ていた」と告げたとき私は強烈な母性を覚えました。回想部分も含め全編を通して少年と母親との交流を描いた場面は(原作でも)皆無であり、父親に庇護され命を保証されてきたとはいえ、母親という存在がいかに子供にとって不可欠であるかを感じました。父親とは明らかに異なるやわらかな輪郭と全てを肯定するようなまなざしが非常に印象的です。荒廃した世界に生まれ、父、母、通りがかりの老人とカートを盗んだ男性が世界のすべてだった少年にとって、まさに新しい世界が開けたこのエンディングは素晴らしい余韻をもたらしてくれます。 【さめがい】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-02-05 22:33:56) (良:1票) |
9.この世界で自分ならどう生きるのだろう?という疑問が生まれ、そのヒントを知りたくて最後まで集中を切らさず観ることが出来ました。そりゃあ最後に出てきた家族を守る男のように生きたいですよ・・・。人が人を喰らう世界で犬を守るような人間でありたいですよ・・・。素晴らしい美術スタッフにも支えられた力作だとは思いますが、陰鬱な気分にもなりました。観た人それぞれに何かしらの思いが浮かぶ映画だと思います。8bitさんのレビューを拝見して思ったのですが、確かに最近のガイ・ピアースはちょい役が多いですね。ルックスはもちろん、眼の雰囲気なんかも独特なものがあって好きな俳優なんで、そろそろまた主役で観たいです。 【マリモ125cc】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-01-18 10:22:42) (良:1票) |
8.とても丁寧によく作られている映画で脚本もよかったのだとは思いますが、後味が悪く実は何かから逃げる夢をそのあとにみてしまったのです。口直しにめっちゃめちゃ明るいものをみたい。。。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-01-11 07:36:02) |
★7.《ネタバレ》 文明崩壊後に、親子が二人で南を目指して彷徨うだけの映画。 悪人から逃れるために隠れて、食べ物や物資を探し求めるだけで目立ったストーリーがないだけに、好き嫌いが分かれそうな作品に仕上がっている。 素晴らしい作品とは思うが、正直言って自分の好みの作品ではなかった。 ただ、本作に描かれているメッセージは深い。 生き残るために他人を襲い、あるいは人間ですら食べるということが当たり前の世界の中で、善という“心の火”を灯し続け、その精神を息子に叩き込もうとする父親の姿が心を打つ。 文明が崩壊して秩序が崩壊して混乱した世界になっても、人々が“心の火”を灯すことで秩序が回復できるのではないかと、かすかな“希望”が感じさせる。 唯一の“希望”が自分達を撃つための銃弾という設定も泣かせる。 平和だった日常生活が随所に回想として挿入されているが、何でもないようなことが実は幸せだったと思わせる。 ラスト間際の父親の幸せそうな夢を見たときに、「悪夢を見る者は生きる希望を失っていないから」という言葉を思い出して、彼の死期を悟ることができるようになっている。 本作中においては、文明が崩壊した理由も明らかもされず、最後に楽園に辿り着くわけでもない。 そういった映画らしい展開を無視する辺りも本作の個性ともいえる。 むしろ、そういったお約束を描かない方が本作にはプラスといえるだろう。 “心の火”を灯した親の子ども達が出会うことが、自分には希望と感じられた。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-12-28 23:16:56) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 「信頼できる仲間がいなくなっても、人間として生きていたいか」といったテーマが『ゾンビ』や『ドラキュラ』映画にあるけれど、それをも少しリアリティある設定にすると、こういう映画になるかなーという気がしました。地下室で飼われてる人間のシーンは忘れないと思います(『第9地区』とか『アイ・アム・レジェンド』とか似たような映像は思い出すけど)。でもこの作品が大事にしたいことは「心の灯」のことだと思えたけれど、そこがなんだかうすらぼやけて感じられてイマイチ。心の灯を絶やさず後世に継ぐにしては、父親の行動はそこから逸脱した感じが大きいし、むしろ息子に軌道修正させられる。ただ、弱肉強食の世界で息子がたった一人でも生きていけるようにと願う父親の焦りはよく描けていたと思う。浜での別れのシーンは泣けました。劇中できちんと描かれない「心の灯」は、ラストの家族の姿で強烈に感じてほしかったのかもしれないけれど、僕はあの奥さんの語りで真実が示された時「あのとき息子が男の子を追いかけたのを止めなければ・・・」とか「この家族がこそこそ尾けてこなければ、父子はシェルターに長居できた」とか思えて、気分的にはちょっと後味良くなかったです。父親の存在は、そんなに近寄りがたいものがあったかなー? 父親は警戒し過ぎの人間だったということか? まじめに何かを伝えたい映画に感じるけれど、その主張がよく分かりませんでした。ガイ・ピアースのセリフに「賭け」という言葉が出てくるけど、結局「善い人と出会えるかどうか、人生は賭けだ」ということなのだろうか? 強いて挙げれば、シャーリーズ・セロンの陰鬱さと対照的な、ラストのガイ・ピアースの奥さんの表情から「微笑みを絶やさない女性の存在」は大事やね~、ということは感じられたと思います。 【だみお】さん [DVD(吹替)] 5点(2010-12-07 04:29:18) |
5.《ネタバレ》 原作未読だが、おそらく活字だと面白いであろうこの作品も、映像化した途端、よくある終末SFに見えてしまうのは残念な結果だ。同時期の『ザ・ウォーカー』と内容的に被っているし、アクションよりもドラマ性を重視した本作が「退屈…」と評されるのも頷ける。しかし、終末世界で「生きる」ことの過酷さを徹底的なリアリティで描いた本作は、他作品にはない品格があり、単純に酷評することはできない。ヴィゴ・モーテンセンの抑えた演技も素晴らしい。人が人を食うこのような世界で生きることにどんな意味があるのか?そこに希望はあるのか?我々は果たして「正しく」生きているのか?そのような問いが我々に厳しく突きつけられる。 さあ、「自分ならどうする?」 【フライボーイ】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-12-06 23:39:49) |