7.《ネタバレ》 ノルウェー語は別に詳しくないが、少し調べると原題をほとんど直訳したのが英題のようである(つまり邦題は上品だということ)。
中身はどうしようもないお話で、苦笑はするが共感するどころのものではない。これが向こうの15歳の実態なのか(本当か?)と呆れていたが、どういう形で締めるのか見るまで態度を保留していたところ、ラストの学校~食事の場面で評価が急上昇した。その直前に出ていたパリ行きの件とあわせて全体がうまく収まった感じになっている。終わってしばらく笑いの衝動が止まらず、これはなかなかよかったと結果的に思わされる映画だった。
そのほか気づいたことを適当に書いておくと、まず劇中の場所が山間部のように見えながら、すぐそばに海面(多分)があったりするのはいかにもフィヨルドである。劇中の台詞からするとノルウェー南部のスタヴァンゲル市に比較的近い場所という設定のようで、首都オスロからもそれほど離れていなかったと想像される。首都まで行けばさすがにさばけた雰囲気だったようだが、日本よりはるかに少ない人口が分散して住んでいるからには田舎の人間関係が狭くなるのも仕方ないことで、劇中人物のうち役割の全く違う人々が実は1家族の成員だったりする。あるいは、家族であっても人の個性はそれぞれだ、というように解すべきことか。
また現地ではなぜかアメリカの存在感が大きかったようで、わざわざ国連本部まで行ってエレベータで交わる妄想というのは失笑した。この辺は当然ながら現地住民にとってもお笑いネタだろうが、15歳のレベルでは頭が単純なのでアメリカに憧れ、大人になればパリの評価が高まるということか。主人公が突然英語を話す場面は、アメリカ文化の権威で相手を圧倒しようとしていたのかも知れない(日本の田舎なら東京言葉でまくし立てれば済む)。
なおアルマ役の女優は多分この時点で18歳くらいだと思うが、それで15歳の役ということは、向こう標準ではこれでも童顔ということなのか。正直それほど可愛らしいとも思わないが、さすがにラストの学校の場面では相手の男ともどもなかなかいい顔を見せていた。