2.《ネタバレ》 まだ若いアイドルが突然亡くなるというのは痛ましい。
映画としては前作「ジョーカーゲーム」(2012)の続編であり、劇中世界も連続した形で作ってあるが、内容はレベルダウンした印象がある。
まず劇中の教育プログラムに関して、前回はまだしも政府の意図が読めたのに対し、今回は見たところ単に支離滅裂で、結局は「この国の忠実な僕となる」人材を残すのが目的というのでは何も考えていないも同然である。どうやら今回はまともな社会批評は完全放棄されたらしく、悪いことは全部国家権力のせいという安易さだけを残した形になっている。また軽目ではあるが残酷描写や、変質者のようなのが出ていたのも志が低い印象を生んでいる。
ゲームについては副題通りの単純な脱出の話で、ババ抜きは最後の人数調整にしか使われていない。途中で出る「七つの大罪」もほとんどこじつけでしかなく、前回に比べても単調な印象がある。また前回の登場人物と今回初出の人物に姉妹関係があって、これが最後に意外な結末につながる構造になっていたが、前作を見た立場としても姉妹設定のことを終わってから思い出す始末であって、少なくとも個人的にはあまり有意義な趣向ではなかった。ちなみに姉妹役の2人は、外見的な印象では明らかに姉妹が逆である。
結果として“社会は厳しいので信頼関係など求めず、とりあえず肉親の情を優先すべき”という話に見えたが、そういう理解でいいのかどうか。正直あまり褒めるところはないが、個々の出演者はイメージダウンを恐れずに頑張ったのだろうから全否定もできない(吉田まどかさんは毎度悲惨な役でご苦労様)。主に社会性の面での退歩を反映して前作△1点としておく。