37.《ネタバレ》 チミノ映画の有る意味決定版ともいうべき作品です。
ただこの映画で一躍スターに踊り出たミッキーロークですが日本で起こした猫パンチ事件が。。。
(まあ、今から考えれば洒落と笑ってあげても良かったと思いますが某有名コメディアンの過剰反応にマスコミが乗ってしまいましたね^^;)
さて、本編ですがこの映画はベトナム戦争以降、経済も治安もどん底でどうにも成らなかった
アメリカの1時代を克明に描いています。
主人公はベトナム帰還兵のはみ出し刑事です。成績は優秀ですが犯人逮捕には手段を選ばない。
自分の周りに居る人間は手当たり次第に利用します。
チャイ二ーズマフィアの抗争が激化し彼にお鉢が回って来ると
事件現場で知り合ったテレビキャスターと強引にねんごろに成り彼女の家を捜査アジトにしたり
警察学校に通う新人を引き抜き潜入捜査させたりともう無茶苦茶です。
私生活では奥さんにキャスターとの浮気がバレて関係が最悪に成る。
その反動で主人公は事件に対し益々過激な捜査を行って行きます。
そしてマフィアの若きボスは報復として潜入捜査中の新人を殺し そして彼の奥さんをも殺します。
たまたま居合わせた彼の上司が走り去る犯人に向け発砲、犯人は脳味噌を飛び散らせて車ごと壁に激突して爆死しました。
しかし主人公は怒りに任せて炎上する車内へ突入しようとする。
驚いた上司は必死で止めました。
主人公「コイツに泥を吐かせるんだ!」
上司「よく見ろ!もう死んでるんだよ!死んでるんだ!」
我に返り髪を焦がしてその場にへたばる主人公、半泣きで彼を引っ張り出す上司。。。
このシーンが私は一番好きです。刹那的で破滅的な主人公を一番良く表した場面なので。
またこの役はやはりミッキーロークじゃないと出来ないなと感じたのも
この場面が有ったからです。
主人公の上司はそういう彼をよく分かっていてその後必死で彼を諌めます。
だが彼は聞き入れません。刺し違える様にして若きマフィアのボスと対決して行く。
ともかくチミノの凄い所は見ている者グイグイと引き込んで行く感情の移入度でしょう。
主人公の行動と共に否応無く増して行く言い様の無い憎しみと刹那感。
そして際限の無い暴力の果てに待っている物は皮肉にもそれを利用し更に大きくなる巨悪だった。
チミノは本編の最期 そうやってあの頃のアメリカを締めくくっています。