73.《ネタバレ》 かつてのマトリックスが好きだった人、
中でもネオの宿敵エージェント・スミスに魅力を感じ
尚且つウォシャウスキー兄弟の脚本が好きだ
というだけで見た人の期待を見事に裏切る作品だ。
斯くいう私もその一人。
では何が先ずダメなのか?
それは脚本でもなく配役でもなく監督でもなく、しょぼいマンガチックな演出だ。
1605年代に英国国会議事堂を爆破しようとした伝説の反逆者
ガイ・フォースになぞらえてVというキャラを配置したは良しとしよう。
しかし肝心の権力者たる側の恐怖感が全く伝わらない。
独裁者たるサトラー議長のヒステリックな顔が
画面イッパイに出てきて喚き散らしても煩いだけで全く怖くない。
N・ポートマンを態々拷問に掛けてまで人物試しをしても
意味が分からないしボーズ頭にして何の恐怖が見出せるのか?
第一、一番イケてないのがあの仮面だ。
正直、あの仮面で斜に構えた時には笑うしかオチがない。
ブレランの様なSF的暗さを演出したつもりだろうが、
単に画面が暗くて見辛い印象しか残らない。
刑事役のルックスもさっぱりだし捜査も杜撰だしで、まるで良い所がない。
脚本的には権力者対反逆者という王道の構図で
それなりの俳優を使ってるにも関わらずまるで活かし切れてなく
むしろ役者の演技を殺してるかの様な演出に見事にスポイルされた。
最後に監督に言いたい。
V演じるヒューゴであるが、こんな可哀相な役はない。
可哀相と言っても役の悲惨さではない。
仮面を付けるほどのミステリアスな演出をするならば
せめてそこに至る過程の段階でチラっとでも良いから顔出させてやれよ。
エンドロールを見るまでヒューゴが演じてるか分からんだろうが!
よくこんな役引き受けたな、あのオッサンは!?