10.《ネタバレ》 「私への愛を証明するために人を殺して」ー悪女モノなどでよく見られるプロット。そんな女との愛に落ちていく仕事も真面目にこなし、家族思いの無口で大人しい男。そんな男を演じるブノワ・マジメルの繊細な演技と風貌が実によく本作の世界観にはまっています。 一方女の方は見た目には微妙。決して美人というわけじゃない。しかし彼女は恋愛サスペンスなどでよく出てくる悪女とはまた違う。その女の病的な愛を演じるローラ・スメットもまた本作の世界観に見事にはまっています。 暗いトーンの映像、ジメッとした暗い雰囲気が漂う彼女の家、どこか脆さを感じさせる2人と、2人の周囲にある人間関係。感情移入しづらい物語ながらも、2人の醸し出す空気とこんな作品の世界観に気が付けば見事に引き込まれていた。そしてラストにはぞっとさせられる結末が待ち受けている、静かなるサスペンスドラマ。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-08-12 00:25:52) |
9.《ネタバレ》 フランス映画は愛が盲目的に暴走するのが多いけど、これにはついて行けない。 【afoijw】さん [DVD(字幕)] 4点(2013-06-10 02:49:42) |
8.またしてもやられた。最初に誘拐報道があるのにすっかりとそのことを忘れさせてしまうその手口に。わけのわからない不穏を纏いながら母子家庭ゆえの些細な諸問題が描かれる。そこにはファムファタルとしか言いようのない女を招いてしまうことになる男の性が描かれている。例えば冒頭、息子と母親の執拗なまでの切り返しで見せる会話よ!ただ親子の会話があるだけなのに、あきらかにその映し方は「異常」を演出している。映画はいずれ終幕へと向かう。物語全てがその終幕を演出している。いつものシャブロルの映画のように。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-08-31 14:49:05) |
7.明るいホームドラマのようなブノワ・マジメルの家族の雰囲気とは対照的な異常めいた彼女(ローラ・スメット)のゾクッとすもような言動。ルース・レンデル原作らしく猟奇的部分とロマンチックな部分が程良く交わった上質な仕上がりで引き付けられます。 【白い男】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-04-15 12:54:24) |
6.《ネタバレ》 これは所謂不思議ちゃんに翻弄される男の物語。フランス映画らしくオチはなくとも彼が破滅に至るその経過だけで充分見せちゃう。若い頃はバカだからこういう得体の知れない女に惹かれてしまったりするもんだ。しかし不思議ちゃんというのは程度の差こそあれサイコの一種なのだから、平穏な人生を送りたい人は気を付けなくてはいけません。その手のエキセントリックなヒロインにごく平凡な外見を持つ女優を持ってきたキャスティングはリアリティがあって素晴らしい。さすがおフランス!しかし不思議ちゃんも彼女ほどの大物になると、ただ普通の外見というだけではちょっと物足りない。例えば前歯が一本無いとか靴が凄く汚れているとか、精神的ないかれ具合相応の外見的ダメージがあっていいのではないか。そこまでやってくれれば絵に深みと迫力がぐっと増したと思うのだが、原作付きだから仕方ないか。臭い部屋で異常性欲のサイコ女と常軌を逸したセックスが出来たのだから、その後の人生がどんなに悲惨でもいいじゃないか。そんなほのぼのとした心持ちになる良い作品ではある。ただ監督は薄味な奴なのか、女体に対する執着があまり感じられないのは残念。ローラ・スメットとという女優さんは尻がそこそこでかくて旨そうなのに、ほんの一瞬しか映してくれないので真価がよくわからんかった。尻を舐めるようにね~~~~っとり撮って欲しかったよ。勿体ないなあ。オレは女の巨大な尻が見たいんだよう。 【皮マン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-04-07 18:36:23) (良:1票) |
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5.《ネタバレ》 いやーー、、、これはスゴイ 突然始まった一方的な情愛 得体のしれない女 人を殺すことが愛の証しと迫る 虚言かと思いきや後〃分かる事実… おぉぉ怖ぇぇ こんな人に惚れられたら恐ろしぃぃ(うらやましい部分もあるけど(苦笑)) 決して美人じゃないけど引き込まれる妖しさ ハリウッド系映画では絶対出せない、この独特の「空気感」はまさにヨーロッパならではデスネ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-03-18 23:15:38) |
★4.《ネタバレ》 しばらくレビューの間隔が開いていたお陰で、シャブロルと決別したのを忘れてうっかり観てしまいました。 映画を含め全ての経験が糧になるという信念により、厚かましくもレビューをさせて頂くと、エロい女は好きだけどエロさを露骨に画面に出した映画は嫌い。そういうのが見たいのなら、それ専門の映画館に行けば良いわけで。 そういう意味でこの映画はあまり好きではないですが、この映画に限っていえば、それ(最後の死体の直接的な描写も含む。普通は死体の一部を映すだけで十分。)がないと映画自体が成り立たないので、過去に観たシャブロル作品同様、非常に評価に悩むところです。 この映画を語る上で欠かせないのが、センタという女性。何か、肌の質感やボディラインを強調するような撮り方なので、肉感的なエロさがプンプン出てて凄く良いんだけど、ちょっと重い。毎回、登場する毎にいろんな表情で出てきてくれて、僕はなかなか好きなんですが、やはり重くてキモい。主人公の男フィリップが浮浪者を殺したと嘘をついてセンタと関係を維持しようとするところなんかは、自分でもたぶんそうするだろうなぁと思ったり・・・。「いとこ同志」より後のシャブロルは奇妙な映画ばかり撮っているような気がしますが、この映画はセンタという女がちょっとオカシイだけで、ストーリーは入っていけます。 まぁ、このサスペンス感や狂気を味わえるかどうかが評価の分かれ目だと思うので、好きな人は好きなんじゃないですかね? ところで、あの石像は一体何だったのだろう。親子ぐるみであの石像に思い入れがあるようで、“フローラ”などと名前も付けたりなんかして。ただ単にあのような顔がフィリップの理想だったというだけのことなんでしょうか。持ち主が狂気じみてきたりとか、いろいろ勘繰ったりしたのですが、特に何もなかったような感じです。 まぁ何というか、あの女の存在自体がちょっとしたホラーかと。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 5点(2009-12-26 23:05:15) |
3.《ネタバレ》 似たようなタイトルの映画がありましたな。そっちは、とびっきりと言っても良いイイ女に関わった男の転落話。こちらも女に関わって被る受難という意味では類似している。もちろん、邦題もそれを意識して付けている。決定的に違うところはその女である。ハッキリ言って美人じゃない。醜くは無いけど、ブ○という蔑称を使う男もいるくらいのレベルだろう。だけど、形容しがたい魅力がある。言ってることがエキセントリックで、狂気じみていて、変な地下室に住んでいて、いつも不機嫌な顔で、でも肉感だけはタップリとある。なんだか、気になる女という意味では、すごく説得力のあるフェロモンを発散しているのである。理屈では説明できない不可思議な女の魅力。この映画の狙いって、それを見せることだけじゃないかなぁ。でもそれには成功してますよ。人によっては、病み付きになる。ドリアンみたいなものでしょう。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-08-31 21:45:19) |
2.《ネタバレ》 クロード・シャブロルはここ数年も撮り続けているはずだが、全く日本に入ってこない。困ったものだ。この映画を見ればクロード・シャブロルが枯れ果てた爺様になってなどいない、むしろ年を重ねますます映画が冴えてきているとさえ思えるだろう。こんなにも無駄を排した濃密な映画はなかなかない。 終盤、警察署内の扉が幾度となく開閉され、それを性急なまでに移動し、細かくモンタージュしていく。この辺りからこの映画の終幕へ向けての極度の緊迫感は高まっていく。 「もうしばらく会うのはよそう」とブノワ・マジメル演じるフィリップは、ローラ・スメット演じるセンタ(決して美人とは言えずとも、この怪しげな色香は一体何事か・・)に電話を通して言う(ここでも単純ながらも秀逸なカットバック)。しかしフィリップの衝動は抑えきれない。キャメラは浮遊感たっぷりにセンタの家へと入っていく。自然と玄関の扉は開き、半開きとなっていた地下への扉をくぐり抜け、左へ穏やかにカーブした階段を下りると裸電球がぶら下がっている。この緊迫感に唸りをあげない人などいないだろう。しかしセンタは地下の部屋にはいない。フィリップは階段を上り、義理の母とその恋人がタンゴを踊っている2階を通過し、悪臭が漂う3階へと足を踏み入れる。そしてまたひとつ扉を開けると、そこには椅子に腰掛け、前屈みになり煙草をふかすセンタがいる。この時の戦慄、もはや説明するまでもあるまい。そしてまたひとつ扉を開けると、そこには腐ったネズミではない、あの誘拐されていた少女の死体があるのだ。 この終幕までの10分から15分足らずで、幾度とない扉が開け放たれ、そこにはフィリップが虚構の世界に止めておきたかったものが現実となって広がっていく。勿論、このラストだけではない。この映画は常に扉が開かれること(あるいは閉ざすことで)、そしてその中を、その空間を移動することで物語が展開し、極度の緊迫感を醸し出している。この扉を開ける、閉めるで映画は作られ続けてきた。この扉というたった一枚の板に蝶番がついた装置が、ここまで機能してしまう。映画って凄いな、素晴らしいな、と感じる濃密なサスペンス。 【すぺるま】さん [映画館(字幕)] 9点(2008-10-31 02:26:03) (良:1票) |
1.ローラ・スメットという女優の魅力を、どのように表現すればいいのだろうか。抜群の美貌なりプロポーションを持っているわけではないが、薄い衣服を身につけ、鋭い眼光でブノワ・マジメル(彼女にだけでなく母親・姉妹・さらには仕事先の顧客である老婆にまで振り回されながらもおいしい所はちゃんともらってくその「ツヨシしっかりしなさい」のツヨシ的な姿立ち振る舞いがとにかく見事。まさにはまり役)に迫り、かと思えば突然姿を消しブノワ・マジメルを狂わせる。この速度の緩急がそのまま「石の微笑」全編を通じて感じる印象へとつながるのだが、というのもヒッチコックを彷彿とさせるこの官能的なサスペンスにおいて、舞台となるフランス郊外の日常生活にふと生じる亀裂は、不可解な行動を続けながら不可解な魅力を発散するローラ・スメットの存在そのものであり、この不安定性が映画をコントロールする事で、映画全編が綱渡りの綱の上に乗っかって揺れているかのような感覚を受け取るからである。そんな搖動によって導かれるラストの戦慄といったら!超おすすめ。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 10点(2007-09-14 21:01:55) |