10.《ネタバレ》 今まで観てきたルイ・マル作品のイメージとは毛色の異なる作品で、ファンタジー色が全開。
そこにチラリズム的エロスが散りばめられていて、大人のいたずら心が感じられる内容。
胸の開いた白いシャツに淡いピンク色のカーディガン。
そして赤いスカートを身に纏った“少女っぽい”大人の女性が主人公で、すごく美人というわけではないのに、妙にそそられる不思議な魅力を感じた。
26歳とは思えない雰囲気だが、よ~く見るとやっぱりそれなりの年齢も感じたりで、作品の内容と同様、幻惑させられた。
暖炉の前の椅子に寝そべり、スカートから脚が伸びている。
そこに男が近寄り、脚をなでまわす。
このシーンはこれ以上なくエロく、その後に出てくるパイオツ丸出しのシーンなんかより、ずっと興奮した。
それを見て怒り出す醜い老婆がまた余計で、とてもウザく、美と醜の対比を感じさせる。
舞台になっている世界全体が不条理な空気で包まれており、次に何が起こるか分からない面白さもありながら、一方で、ああだこうだ言いながら、そこに居続ける少女にイライラしたりもする。
あんな屋敷なんか抜け出せばいいのにとか、老婆の居る部屋に自ら何度も入るのがおかしいとか、その設定そのものが不条理だったりする。
結局、少女はその不条理で狭い世界にはまり込んでしまうわけだが、夢オチの方が良かったのではないかとも思う。
いや、むしろ夢オチにしてほしかった。
夢オチを嫌いな私が、初めて夢オチにしてもらいたいと思った、貴重な作品。
美しい世界でありながら、同時に不愉快な世界でもあり、何度も観たくなる不思議な魅力に満ち溢れた作品である。
(P.S.)
むむ、そういえば肝心なことを書き忘れていた!
前半に登場した、巨大な節足動物。
ムカデのハサミがないヤツというか、なんというか。
あんな虫が本当に存在している(撮影したわけだから)こと自体が、マジでおぞましい。
あのムカデもどきはマジで怖い。
おそろしい。
ヘビなんかよりずっとキモい。
他にもキモい小動物が盛りだくさん。
これこそが、本作の隠れた見所!!