2.《ネタバレ》 イタリアン・レアリスモの教祖的存在のロッセリーニが放った痛烈なる作品。
終り方が特に良い。
ストロンボリ島に渡った経緯、渡ってからの環境と心理的葛藤、そしてラストの神頼みな絶望的心境に至るまで、小気味いいまでのリアリティが貫かれている。
映画で描かれがちな嘘っぽい甘さなど、どこ吹く風。
世間の厳しさを決して大げさに表現することなく、リアルに描いている。
この辺りの演出力は、他の追随を許さない確固たるものを感じる。
さすがはロッセリーニといった演出だ。
バーグマンは、本作では(?)とても美しく、本作の後にロッセリーニと駆け落ちしたというのも納得の雰囲気。
他の作品ではそんなに魅力的に感じなかったバーグマンが、本作ではその魅力を十二分に発揮していた。
これはロッセリーニとバーグマンの相性を象徴しているかのようで、微笑ましい。
痛烈でいて、リアルなラストの描写は、「ハッピーエンド」とか「バッドエンド」とか「アっと言わせるだけのラスト」とかに勝手に縛られているハリウッド映画とは異なる、別格の余韻を残した。