7.《ネタバレ》 ひたすらとぼけた空気感で進んでいく、絶妙な雰囲気。それを横からぼーっと見ているかのようなカメラワーク。この作品はそこだけでOKです。ただし、女性の方に話の重心がシフトしていったのはもったいなく、3人のオッサンの絶妙なかけ合いをもっと見たいところでした。 【Olias】さん [映画館(字幕)] 6点(2014-11-08 22:58:21) |
6.《ネタバレ》 貧しくても、何とか乗り切っていく知恵。これがあると、貧しくとも女はいるし、酒も飲めるし、ぼろいが車もある!何より共に生きていってる仲間は絶大だ!恵まれてるじゃん!?不思議、不思議。故郷にも帰るとこなくて、都会でボヘミアンやってるのかしら?けだし名言!「餓死するほどの勇気があるなら、腹一杯食って死ぬこともできる」う~ん、芸術家たちのこの暢気さは、無敵だ。でもそれなのに、主人公の恋人、死んじゃうし・・・気づいたときは手遅れってか。恋人、幸せにしたかったら、働きなさいよ、まったく!恋人にふるまう料理が犬のしゃぶってた骨のだし汁だし、贈る花はそこらへんの雑草だし、食事をしに行ったら、無銭飲食で警官くるし、彼女に「金持ってない?」なんて聞くし、それでもこの女性、結局この男性のもとに帰ってくるし!?でもこんな男性たちのこだわる芸術があの演奏じゃ、別れたくなるのはもはや当然か!?ラスト、「雪のふる町を~」なんて日本語の歌聞きながら、日本語の字幕読んでて、頭が変になりそうだよ、まったく!!!そんな寂しそうに歩く姿で終わるなら、きちんと生きなさいよ!アキカウリスマキの美学は一体?って思ってたら、最後、「ヨルマ・カウリスマキに捧ぐ」なんてクレジット出てきて、え?この監督、恋人殺しちゃったの?でも死期が迫ってきて、かつての恋人のもとに帰ってくるこの女性にも問題あるのかしら?結局、私はこう思うことにした。貧乏でも愛を忘れぬ男のもとで女は死にたいのだと・・。でもそれなら、「貧乏耐えられないの」と他の男のとこに行かないで、「私を愛してないの!」と毎日喧嘩してた方が建設的な気も・・・。女もめんどいんだろうね。男もめんどい。生きるのがめんどい。でも愛は忘れない。そういう人たちのドラマでした。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2013-04-02 01:48:39) |
★5.《ネタバレ》 モノクロ映像が抜群に格好良い。 特に、室内シーンの抑えの効いた雰囲気はどのショットも皆素晴らしく、自分が今まで観てきたモノクロ映像の中でも1位2位を争うほどだと思います。まさか、1992年の映画に絶賛すべきモノクロ映像が存在するなんて夢にも思いませんでした。 ストーリーは、残念ながら個人的にはあまり好きではないタイプのものでしたが、モノクロの映画らしく、貧しい芸術家たちの生き生きとした姿を時にユーモアを交えながら描くというクラシックな感じが出ていた気がしました。 自分の愛した女が病に倒れ、医療費を捻出すべく絵や車などを売る姿は特に印象深いシーンとして心に残ります。 映画の中で流れる音楽が、作曲家の奏でる曲も含め効果的に用いられていましたし、ラストの「雪の降る町を」も、とても良い雰囲気が出ていたと思うのですが、もし他の国の人が観たら、突然の日本語に違和感MAXなラストに感じられてしまうのでしょうか? しかし、我々としては日本を贔屓してくれる人に対してはどうしても好意的な感情が生まれてしまうので、より味わい深いラストに感じられるのです。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 6点(2012-11-16 22:40:06) |
4.《ネタバレ》 フランスのボヘミアンたちの生活と恋を描いた作品。墓に原作者のアンリ・ミュルジェールの名前を出している辺りに「ボヘミアン生活の情景」への並々ならぬ思いを強く感じます。この時代のカウリマスキ監督の映画は登場人物がものすっごく惨めなんだけど優しい人間として描いており、ただ現実の厳しさに喘ぐ様も同時に描けている点が好きです。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-05-12 22:21:19) |
3.《ネタバレ》 この人の映画では、ついてない人がやたら出てくる。その自分の「ついてなさ」にうんざりしているのに、「ついてなさ」を過剰にどんどん受け入れていってしまう。その勢いに奇妙な爽快感すら感じられる。少なくとも彼らは、同情してほしいような素振りを見せない。まるでそれらの不幸が、自分が自由であることの証拠とでも思っているのか、人出に渡るのを惜しむかのように手あたりしだい受け入れていく。で本作、「若くて貧しい」芸術家のメロドラマが、カウリスマキの手にかかると、「もう若くなくてしかも貧しい」に変換されてしまうのだ。芸術家として名を成せるかどうかもう自信も挫けてきたころの、ふっと華やいだ一場面を掬い上げたよう。ピクニックのシーンがいい。これを若い連中がやってたらハナモチならない気分になったかも知れない。それをもっさりした中年男たちと、反メロドラマ的としか言えないミミというキャスティングでやられると、なんとも切なくていいのである。繰り返し現われる「花」のモチーフも彼らが冴えないからこそ生きてくる。まっとうな連中なら仕事をしているような時間に、中年の男女が花を摘んだりしていることが、ユーモラスであると同時に、どうしようもない切実さも伴って観客の前に展開するのだ。これを観ていると「貧乏なんて若者には贅沢すぎる」とつい思ってしまうのだ。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-01-31 12:12:08) |
2.アンリ・ミュルジェールの原作「ボヘミアン生活の情景」を、フィンランドの名匠アキ・カウリスマキが映画化。何やらプッチニーニのオペラ「ラ・ボエーム」は原作を台無しにしてしまっているとかで大激怒したそうな・・・。時代設定がよく分からない19世紀のパリを舞台に、ボヘミアンな生活を送る3人の若者の物語。いきなりあのマッティ・ペロンパーらが音楽や芸術について真剣に議論し始めるのには笑ってしまうが、物語自体はけっこう本気。お金がないから生活を切り詰めて仕事を探したりと、貧乏な芸術家たちの放つ哀愁のオーラが画面一杯に広がってきます。しかしそこはカウリスマキの映画だからユーモアも忘れない、例のごとく登場人物が留置所に入れられたりする展開はもはやお約束事。劇中にチョイ役として出てくる役者さんたちもやたらと豪華で、主人公ロドルフォのパトロンにはトリュフォー映画の常連ジャン=ピエール・レオ(「コントラクト・キラー」にも出ていました)、鬼才監督のサミュエル・フラー、そして今は亡きフランス映画界の大御所ルイ・マル。う~む、一体どこに出ていたのでしょうか・・・(汗)。エンドロールに流れる「雪の降る町を」のメロディも、いつまでもいつまでも耳に残ります。 【かんたーた】さん 8点(2004-05-25 18:06:01) |
1.アキ・カウリスマキ監督の作品の中では、この作品が一番好きです。私にはこういう社会の周縁で生きる若者たちを淡々と描いたような映画が一番ぐっと来るようです。1992年作品とはとても思えないような古風な映像で、決して派手さはありませんが、じわじわと心の底の方に染みてきます。マッティー・ペロンパーはじめ、主人公の3人がとても味わい深い。最後は涙が出ました。ラストの選曲も凄いですね。鳥肌ものです。 【藤堂直己】さん 10点(2004-01-26 12:10:51) (良:1票) |