13.《ネタバレ》 地に足の付いた、王道のモンスターパニック映画って感じですね。
オーストラリアの奥地を舞台としており、適度な「旅気分」を満喫させてくれるし、始まって十分もしない内に皆を乗せた舟が「クロコ探し」に出発するのもスピーディーで、良い感じ。
川下りの際に「アフリカの女王みたいだ」って、自分が思った事を劇中人物が口にしてくれるのも、妙に嬉しかったです。
ワニに襲われる恐怖だけでなく「緊急避難先の小さな島も、やがて満潮になれば水没してしまう」っていう恐怖を付け足してる辺りも上手い。
救助を待つべきか、危険を承知で脱出を試みるべきかという二択問題に「制限時間」が設けられている形であり、緊迫感を高めていたと思います。
・遭難者の中で最も頼りになりそうな人物が、真っ先に喰われてしまう。
・嫌な奴が「実は良い奴だった」と判明した直後に喰われてしまう。
・餌にされずに済んだかと思われた犬が、結局は喰われてしまう。
・喰われたかと思われたヒロインのケイトが、実は生きていた。
って具合に「誰が生き残るのか」を読めなくする、適度な意外性を盛り込んでいる辺りも上手かったですね。
主人公についても、途中で手を喰い千切られる場面があるもんだから(もしや?)と思えて、最後まで油断せずに観ていられましたし。
「自らを囮にして、木の杭で串刺しにする」っていうワニの倒し方も、派手で良かったです。
翻って、短所を述べるなら……
やはり「島から脱出した後が、少し冗長」って辺りが挙げられるかな?
これを欠点と言うのは可哀想な気もしますが「小さな島に漂流してしまい、周りにはワニがいるので逃げられない」ってシチュエーションが魅力的だっただけに、島からの脱出に成功した後は、もっと手早く纏めて欲しかったんですよね。
漂流者グループの人数が多かった割に、島の脱出後は主人公以外が殆ど出てこなくなるってのも、流石にバランスが悪い。
お陰で、主人公とワニが戦ってる最中にも(他のメンバーはどうなったの? 無事に逃げ切れたの?)って事が気になって、折角のラストバトルに没頭出来なかったですし。
結局「途中で別れたメンバーは全員無事に助かった」ってオチになるので、ハッピーエンド色を強める効果はあるんですが、マイナスの方が大きかったんじゃないかと。
「中盤までは面白くて、終盤ちょっと退屈」って構成なので、鑑賞後の印象という点では不利になってしまうのが残念ですね。
呑気なエンディング曲も味わい深いし、憎めないというか、愛嬌のある映画ではあるんですが、傑作とは言い難い……そんな一品でありました。