★1.《ネタバレ》 おそらくは文化大革命のせいで海外発表が20年位遅れた作品。ここに出た俳優さんがどれだけ生き残れたかが可哀想だ。なぜ日清戦争で中国が負けたのか?という理由の一つが、李鴻章に代表されるような、外国の肩ばかり持つ役人のせいだということをこの映画は言う。この辺は、今の日本の腐敗政治にも通じるものがあって面白い。一旦列強への建前として鄧を失脚させておきながら、黄海海戦の切り札としてとっておくという李のやり口はなんとも腹黒い。どうせ海戦の折には恩着せがましく復職させたんだろう。 中共の愛国的プロパガンダ映画でありながら、歴史は書き換えることができない。そして「南京1973」などと比べると可愛げがある。優勢だった鄧の艦「定遠」は弾を撃ち尽くして、最後に特攻もかなわず沈められる。鄧の戦術が悪いとかではなく、物不足で戦った中国の準備不足も暗示している。なお、外国人の事実上立ち入り禁止時代の作品なので、米英の顧問役にはみな白人系少数民族が当てられているのも面白い。日本の軍艦が出てくるシーンには、演歌調のメロディーが流れるが、この映画が出た1962年から今でも中国人が日本人に抱くイメージは演歌なのだそうだ。1983年ポルトガルの某映画賞を受賞。 |