3.《ネタバレ》 アルノー・デプレシャン監督の必殺家族物語。
この人の作品で出てくる家族の問題って、いつも一筋縄じゃいかない重ったるい話ばかり。
また例によってマチュー・アマルリックがキーパーソンとなっていて家族の元凶的な存在であるのだけど、親子間・兄弟間以外にもそれぞれの家族で何かと深い問題がありそうな人間たちがクリスマスに親元に戻ってくる。
ちょっとした群像劇にも捉えられそうなこの物語、主役級はもちろん、子役までも自然な演技が出来ているところが、人物描写から全体的なストーリーに及ぶまでのしっかりとしたベースとなっており、加えて重厚感のある映像もそれと同時に安定感をもたらしているように思えます。
また、手紙をモノローグ調で語る演出はとても効果的で、もはやデプレシャン映画の十八番と言えるでしょう。
手術前は周囲からは感情論のみでアンリを非難するような態度ばかりが見られた中、結局母親を救ったのは問題児のアンリでしたが、そこに人生とは如何なるものかという事が如実に描かれていた気がしました。
ラスト、晴れ渡るパリの空。
それまで夜のシーンばかりだった事もあり、とても清々しく気持ちの良いエンディングだったと思いました。