2.《ネタバレ》 作者はユダヤ人作家で娘に作品の入ったトランクを託しアウシュビッツで死去。
60年後に開かれ世間に発表され、ベストセラーになり映画化。
もし自分が物書きだとして、明日どうなるかわからない戦況下におかれ身の振り方もどうなるかわからない立場に
おかれた状況ではたしてどこまで「物書き」としての本分を全うできるであろうか…と
前情報として知っていたのはここまで。
ユダヤ人作者だからと勝手に想像してしまいがちな
ありがちなアウシュビッツの悲惨さを語ったり状況に翻弄されながらけなげに生きる一般女性を描くといった
『戦争体験を語る苦労人』のエッセイではありません。フランス人女性とドイツ人将校との恋愛物語がベースです。
原作未読なのでこれがすべてではなく、おそらく本編から切り取った部分での改変が大きいとは思うのですが
的を絞り込んだ上で当時の状況や環境を客観的に冷静に中立的に捉えています。
主人公の目を通して語られる町に滞留しているドイツ兵達の奔放な描写やそこに色目をつけて誘惑する女性も出てきたりと
観ながら頭の片隅で開高健の「青い月曜日」「破れる耳」を思い出していました。
役者が皆豪華で演技力も高く、観ていてだれる事なく緊張感を保ちながら楽しめました。
個人的に出演しているサム・ライリーの奥様であるアレクサンドラ・マリア・ララが出演していたのが印象的です。
「ヒトラー~最期の12日間」ではドイツ人でヒトラーの秘書役を演じており
「フランス組曲」ではユダヤ人でドイツ兵に拘束される一般人役を演じているところは非常に対極的で唸らされました。
ここは原作にない模様なのでオリジナル箇所のようですが…